ダイワボウホールディングスは、グループとして企業価値とコーポレートブランドの向上に取り組んでいます。そのための重要な取り組みがグループ連携による新しい価値の創造です。そこで今回はダイワボウホールディングス(以下、ダイワボウ)と、ダイワボウ情報システム(以下、DIS)、大和紡績、オーエム製作所(以下、OM)の3社の経営企画室の担当者が集まり、グループ連携の可能性と未来について語り合いました。

 

経営企画室から見える会社の姿

 

有地
当社は中期経営計画で掲げるように、グループとしてのコーポレートブランドの向上を目指しています。わたしはこれまで繊維事業会社で主に海外事業などを担当してきましたが、経営企画室に異動になってからは、グループの企業価値を高め、働く人が活躍できる環境を整備することが経営企画室の重要な役割だと考えています。そこで、まず、皆さんが経営企画室の業務を担当するようになって、どのような感想を持ったかを自己紹介も兼ねてそれぞれお聞きしたいと思います。


わたしは入社後、繊維事業の紡績部門に勤務しておりましたが、1999年から経営企画室に配属になりました。振り返るとこの10余年は、まさに激動の時期でした。2011年からITインフラ流通、繊維、産業機械の中核3事業による新たな経営体制をスタートしており、事業計画の策定、実績管理、組織変更など様々なことがありました。

山田
私は長岡出身で、入社して20年間は長岡工場で主に総務、経理、労務など工場の管理部門を担当していました。経営企画室に異動になってからは、2015年に米国で3社合弁による販社の設立などもあって、合弁パートナー企業との交渉も経験しました。これも経営企画室の仕事のひとつであるということが分かってきました。

竹林
私は19年間営業を担当してきましたが、昨年から経営企画室に移りました。改めて感じるのは、営業を担当していたときに理解していた会社の姿というのは、やはり限られた領域の姿だったということです。経営企画室に移って、それまで見えていなかった会社の姿がよく見えるようになりました。

 

 

西川
私も入社してから最初の12年間は営業、そのあと3年間、営業推進の部門を担当して経営企画室に移ってきましたが、やはり竹林さんと同じような
印象があります。

善本
わたしはまだ入社して5年目です。入社後は経理部門を担当していました。まだまだグループ全体の姿が見えているとは言えません。本日はみなさんのお話をお聞きして、数字以外の会社の姿が見えてくればと期待しています。

有地
見えなかった会社の姿が見えてくるというのは面白いですね。

竹林
DISは商社ですから、やはり販売力、仕入力というところに企業としての力が集約されていることは事実です。しかし、営業以外の数字も重要だということが分かってきました。ただ、逆に会社全体の姿が見えるけれども、現場の姿が見えなくなってはいけないとも考えています。

山田
OMグループは工作機械、自動包装機、鋳造の三本柱ですが、私が知っていたのは以前に担当していた工作機械だけでした。しかし、経営企画室の立場から、OM全体を見るようになって、自動包装機のモノ作りは工作機械と全く異なるということが分かりました。そこから各事業のそれぞれの問題点が見えてきます。


大和紡績グループの繊維事業は持株会社体制前には、製品、産業資材、合繊の3つの事業で、合繊は製造と販売が分離している事業形態でした。それが2006年の会社分割によって、各事業会社の経営のかたちが大きく変化していく様子がよくわかりました。その成果があって、繊維事業はより利益率の高い事業体へと変化しています。

 

まずは情報共有化のためのパイプ作り

 

有地
これまでブルーオーシャン戦略会議を通じて、新しい協業ビジネスの創出やグループ連携のあり方などを議論してきました。そこには各社の経営企画室も参画しています。事業だけでなく、今後は人事やIRといった分野でも協業するケースが増えてくるでしょう。実際に今後、どのようなグループ協業の可能性があるのでしょうか。

善本私が会社に入社したとき、すでにOMはダイワボウとの経営統合の後でした。担当しているのは決算関係の業務ですが、今までグループ協業についてはとくに意識していませんでした。

竹林例えばDISの社員が他のグループ事業についてどれだけ理解しているかといえば、正直、十分に理解しているとは思えません。ただ、それで終わっていてはいけないと思います。グループとして何か協業できるのではないか、という考えを持たないといけません。ただ、各事業ともプロフェッショナルとしてそれぞれの事業に取り組んでいますから、無理につなげるのではなく、自然な形で協業できるのが理想でしょう。

有地
どうしても能動的に業務をこなしていると、なかなかグループ協業の意識を高めることが難しいのかもしれませんが、経営統合後に入社している若い人たちの柔軟な発想力と実行力で自然発生的に新しいビジネスを作っていくことを期待したいですね。

西川
そのためにも、常に協業を意識しておく必要があります。そして、なんらかの成功体験を共有できればその認識をさらに深めることができるのではないでしょうか。

山田
例えば機械の分野では近年、IoT(モノのインターネット)が注目され、国の政策としても推し進められています。同業他社ではIoT化が進み、OMも遅れをとってはいけません。しかし、こういった分野はOMだけで取り組んでも限界があり、IT分野の企業の技術や関連知識が必要です。そこでDISと連携すれば、様々な可能性が出てくるのではないでしょうか。

 

 

竹林
DISはIT機器やシステムを扱っていますが、あくまで機器を生産しているのはメーカー。しかし、そのメーカーとの人脈やノウハウは蓄積されています。OMの技術・ノウハウと、DISの人脈・ノウハウを重ねあわせることで、様々な可能性が見えてきます。それが見えてくれば、ダイワボウグループとしての取り組みもできます。まずは各事業間で情報交換のためのパイプ作りが重要ではないでしょうか。

有地
4月に開催された国際アパレル機器&繊維産業見本市「JIAM OSAKA2016」では、ダイワボウならではのITインフラ流通事業と繊維事業とのコラボレーションが話題を集めました。


バーチャルフィッティングやTシャツへのオンデマンドプリントを実演しましたが、機器やシステムで大手メーカーの協力を得ることができました。ここでDISの役割が大きかったです。

竹林
とくに今回、共同出展したプリンターを扱うメーカーについては、今まで繊維業界へ進出できておらず、業界との交流もありませんでした。そこでDISを通じてダイワボウグループの繊維事業とコラボレーションできたことは、メーカーの狙いとマッチし、双方にとって有益な展示会になったのではないでしょうか。DISはその橋渡し的な役割を担えたと思います。

山田
機械でも繊維との連携があります。例えば大学と連携した研究を行っていますが、そこでダイワボウポリテックの不織布の使用を試みたといったケースもあります。


そういう情報の共有のための取り組みも経営企画室の役割になりますね。まずは各事業の情報を発信しながら、それぞれの営業活動につなげていくような形が必要なのです。

 

グループ連携で各事業の意識に変化

 

有地
私たちはダイワボウグループの一員であるという意識をもって事業に取り組んでいます。もちろん、ステークホルダーに対してもグループの協業の成果を見せていかなければなりませんが、同時に、各事業がそれぞれの分野でグループをリードしていくことが重要になると思います。これは海外マーケットでも同じです。

竹林
確かにDISは売上高などの数字の面でグループを引っ張っているという意識が次第に高まっています。

有地
繊維事業も意識が大きく変わってきました。ITインフラ流通事業、産業機械事業も、それぞれしっかりと業績をあげてきているなかで、繊維事業も計画目標を達成し、必ず結果を出さなければなら
ないといった緊張感をもって取り組む姿勢が強くな
りました。


実際に業績が悪い部門や事業会社の改革には経営企画室が何度もヒアリングを重ね改善策を検討しました。その中で繊維事業内部での連携が進んだという事実があります。それまで繊維事業の中でも衣料品、産業資材、合繊の各事業会社がまとまりを欠いていた部分があったのです。しかし、グループにDISがあり、OMがあるからこそ、より一体感をもって繊維事業としてまとまらないといけないという認識が高まっています。繊維の事業計画では、つねにITインフラ流通事業や産業機械事業の数字を意識しています。こういったことも経営統合による相乗効果と言えるでしょう。

山田
産業機械のような設備ビジネスというのは、どうしても景気に左右される面が強いのですが、やはりグループの各事業がしっかりと利益を出しているのを見ると、経営環境が厳しくても必ず利益を確保しなければならないという気持ちになるのは同じですね。

 

グループとしての目的意識を持つ

 

有地
当社は中期経営計画でも大きな目標を掲げています。これを達成するためには、やはり経営企画部門も互いにコミュニケーションを取りながら各事業をサポートしていかなければなりません。

善本
実際にどういった連携ができているかがグループ内で知られていないところがあります。まずは知る機会を作っていくことが大切だと思います。そして、それぞれの現場の思いをホールディングスにフィードバックしていくことも必要でしょうし、ダイワボウとしての考え方を現場に伝えていくことも大きな役割です。

西川
そのためにも各事業間の人的交流をもっと増やしていくべきです。管理部門だけでなく、営業部門を含めて交流を増やしていけば、そこから新しい可能性が自然と生まれてくるのではないでしょうか。

竹林
各事業には、それぞれの強みがあります。それが何なのかを各事業で互いに理解しなければなりません。具体的な情報を共有する必要があります。その場合、同じ部門同士なら連携もやりやすいでしょう。まずは経営企画の部分で率先して情報を共有化することで、グループ全体の連携のきっかけを作っていくことでしょう。

山田
具体的な経験を積むというのは大事ですね。実は先日、中国子会社であるO-M上海の事務所の通信設備の改善について、ダイワボウの南さんに相談したところ、すぐに現地の事業会社に連絡していただき、ダイワボウノイの上海事務所から応援に来ていただいて、問題を解決したといったことがありました。こういう小さくても具体的な経験を積み重ねることも重要です。


繊維事業会社は長年にわたって海外に事務所を構えていますので、いろいろな面で経験値がありました。こういった経験に加えて、やはり目的意識を共有することが重要です。各事業の目標はそれぞれあります。そこにダイワボウとしての目的意識をどうやってグループ全体に持たせるかが大切です。

有地
そのためにもダイワボウの経営企画室と各事業会社の経営企画室が率先してコミュニケーションを深めていきたいと思います。今日はありがとうございました。