今期から始まった経営3カ年計画「イノベーション21」第二次計画。ITインフラ流通事業、産業機械事業、繊維事業、関連事業それぞれの事業統括に計画達成に向けた課題と戦略を語っていただきました。

─ 中計での繊維事業の重点方針をお聞かせください。

繊維事業は「事業構造の革新による成長戦略の加速化」「新たなステージでのグローバル戦略の展開」「グループマネジメント改革による連結経営力の強化」の3つを基本方針に掲げています。最終年度となる2017年度には経常利益を14年度比で2倍近くにまで高める計画です。キーワードはやはり“海外”となるでしょう。産業資材事業は昨年、インドネシア子会社のダイワボウ・インダストリアル・ファブリックス・インドネシア(DII)、ダイワボウ・シーテック・インドネシア(DSI)の工場増床が完了するなど、設備投資も実行しています。まずインドネシア内需に向けて販売する“地産地消”を進めます。現地における取引も開始しました。この商流を育てて、アセアン域内への三国間輸出に取り組む構想です。その軸となる大和紡績香港も売上高を3年後には4倍以上にする計画です。

合繊・レーヨン事業についてはインドネシアの不織布製造会社であるダイワボウ・ノンウーブン・インドネシア(DNI)で2系列目の増設工事が完了し試運転を開始しております。16年度からフル稼働となる予定です。一方、衣料事業は今年6月にインドネシアの縫製子会社、ダヤニ・ガーメント・インドネシア(DGI)のチカンペック工場を閉鎖し、ブカシ工場に集約しました。今後、DGIは素材の付加価値増による価格転嫁可能商品や高採算のトレンド商品、著名ブランド商品に特化し、コスト競争力が必要な商品は中部ジャワに立地するダイワボウ・ガーメント・インドネシア(DAI)に移管します。
 

 

─ 積極的な投資が目立ちますね。

グループ内外との連携も進みました。例えばダイワボウレーヨンはダイワボウポリテックと連携して不織布原反の販売など川中分野へ参入します。また、インドネシアでは社外のメーカーとアライアンスを組んで新規商品を開発する計画も進んでいます。今期から始まる中期計画に向けて前期までにかなりの準備が整い、成長への基盤が確立しているといえるでしょう。
 

 

─ 国内販売についてはいかがですか。

合繊はメード・イン・ジャパンの衛生材料・製品がアジア市場で爆発的に売れていますので当社も日本の衛生製品メーカーへの販売を増やしています。産業資材も震災復興需要なども含めて堅調な需要があります。課題は衣料品です。衣料品市場では依然としてデフレ状態が続いていますので、為替要因や海外での人件費上昇に起因するコストアップを価格転嫁することが難しいのです。今後も脱コモディティ化を進め、独自性のあるポリプロピレンやフタロシアニン加工などの開発原料の活用を強化することが重要です。

いずれにしても中計1年目から全力ダッシュをかけるための準備もできています。計画を前倒しで達成するぐらいの意気込みで臨んでまいります。