持続的成長のための環境整備を グローバル化の流れを成長戦略に取り込む

 

─ ダイワボウホールディングスの執行役員に就任され、関連事業を統括することになりました。

昨年から経営企画室を担当していますが、ホールディングスの経営企画室はITインフラ流通事業、繊維事業、産業機械事業の経営企画をまとめていくことが求められています。トップが考えていることを戦略レベルに落とし込み、それを全従業員が理解し、実行できるようにサポートすることが経営企画室の役割です。また、事業会社において自社では対応が難しい問題に対しても、当室が中心となって対応することもあります。

今期は経営3ヶ年計画が最終年度です。計画達成に全力を挙げるのは当然のことですが、同時に次期経営3ヶ年計画の策定も進めていきます。そのためのフレームワークを作り、新たな成長戦略を組み立てるとともに、特に繊維事業でのシステム面の再構築により経営効率を最大化するために、ITでのノウハウの強みを活用していきたいと考えます。

─ 関連事業もさまざまな分野に及びますね。

関連事業は、霧島国際ホテルを運営する大和紡観光、ゴルフ場運営の赤穂国際カントリークラブ、そしてエンジニアリング事業のダイワエンジニアリングがあります。このうちホテル事業とゴルフ場事業はいずれもコンシューマーを対象にしたビジネスです。いかにユーザーに楽しんでもらい、そこから収益を上げていくかが課題であり、集客力を高めることが重要です。

例えばホテル事業では外国人スタッフを増やすなど、訪日外国人対応の強化を進めています。まだまだ海外から観光客を呼び込むことが可能です。霧島国際ホテルの最大の強みは温泉ですが、最近では外国人の間でも温泉に対する関心や人気も高まっています。さらに温泉には湯治の文化もありますから、医療ツーリズムなどのさまざまなアイデアで集客力を高めることが可能です。

一方、ゴルフ場は業界自体が過当競争ですので、事業環境は非常に厳しいです。やはり地道にコツコツと集客を増やしていくことが重要です。赤穂国際カントリークラブではコースメンテナンスに非常に力を入れており、実際にプレーしていただいたお客様からも高い評価を得ています。たくさんのお客様に実際のコースを体験していただきたいと思っております。
 

 

 

霧島国際ホテル

─ダイワエンジニアリングについてはいかがですか。

ダイワエンジニアリングの事業はグループ内からの受注とグループ外からの受注があります。グループ内では繊維事業の重点戦略拠点であるダイワボウポリテック播磨工場の増設工事が進んでおります。同社はその工事全般を担っており、グループの設備投資施策には欠かせない存在です。加えて建設業界の活況からグループ外からの受注も好調です。ただ、人手不足などが深刻化していますから、人材の確保も重要になります。

─ 関連事業統括、そして経営企画室長として今後の抱負を聞かせてください。

現在、ダイワボウグループはITインフラ流通事業がグループ全体をリードし、繊維事業も収益面で大きく貢献しています。産業機械事業は独自性のある事業で存在感を発揮しており、グループとして非常に良い状態にあると言えます。そこでポイントとなるのが持続的な成長です。事業環境は常に変化し、その変化に対応できるように各事業をサポートしていきたいと考えます。そのためには私たち経営企画部門も事業に寄り添い、現場主義で課題に取り組むことが重要です。そうした中で新しい挑戦を各事業から見出すことができるでしょう。

また、私は大和紡績香港の社長も兼務していますが、同社を軸としたグループの更なるグローバル化への対応が必須です。既に繊維事業や産業機械事業は海外事業が収益の大きなウエートを占めるようになっています。今後はITインフラ流通事業でも取引先メーカーは海外企業なども多くあることから、グローバル化へのさまざま可能性が出てくるのではないでしょうか。日本を含めて市場のボーダレス化が進むなかで、各事業の成長戦略を加速させていきます。