日本最大級のディストリビューターとして、国内のICT流通を支えるダイワボウ情報システム(DIS)。全国89の拠点網を生かした「地域密着型の営業体制」、ICTに関するあらゆる対応が可能な「ワンストップサービス」に加え、独立系「マルチベンダー」の立ち位置が高い評価を得て、快進撃を続けます。変化の激しいICT業界にあって、顧客満足度の更なる向上を図るためには「アグリゲーター(集積者)としての役割が重要になる」と強調する松本裕之取締役を、マルチベンダー路線の司令塔となる販売推進本部に訪ねました。

 

機能をさらにブラッシュアップ

 

─ DISは、トップディストリビューターとして日本のICT流通には不可欠な存在です。その強みを、あらためて教えてください。

DISには、大きく3つの強みがあります。ひとつ目は、全国89の営業拠点網による地域密着型営業体制、二つ目がICTに関わるあらゆるサービスに全方位での対応が可能なワンストップサービスです。そして三つ目が、特定のメーカーさまに特化しない独立系マルチベンダー路線です。

マルチベンダーとは、特定の企業や特定の商品・サービスだけに特化しないということは言うまでもなく、全世界のいろいろな企業の製品・サービスから優れたものを組み合わせてお客さまに提供できるのがその特徴であり、最大の強みです。この戦略は、日本のみならず世界のICT業界から注目されています。うまく組み合わせれば、効率の良いシステムの運用ができるのですが、企業間での製品の相性問題が発生するケースもあり、単一企業の製品で固めるシングルベンダーよりも運用が難しいとされているからです。

DISは、ほぼ創立以来マルチベンダーとして歩んでおり、現在では取扱メーカー数が全世界で1100社、取扱商品は200万アイテムを数えます。また約3万点を常時在庫しているため、エンドユーザーであるお客さまにとって最適な組み合わせを早期に提供することが可能なのです。

DISは1年間でタブレットを含め約230万台のパソコンを販売しており、日本の企業や自治体、学校、団体など法人が使うパソコンの4台に1台がDISの扱いです。こうしたことから、当社をよくご存じの方でも「DIS=パソコンを販売する会社」というイメージをお持ちだと思うのですが、実はパソコンの販売は全社売上げの35%程度しかありません。つまりパソコン1台当たりに必要とされる約20もの周辺機器やソフトウエアなどと、最適な組み合わせで提案できるマルチベンダーDISならではの売上げ構成なのです。

一方で、これら高シェアの獲得やお客さまへのソリューションを可能にするのが地域密着型の営業体制であり、ワンストップサービスです。DISは全国に1万9000社の販売パートナーを有し、お客さまが欲しているもの、求めているソリューションの情報が常に入ってきます。同時に、上述する二つの強みによって、お客さまの要望に対して最適な商品やアイテムを瞬時に全国のお客さまにお届けすることができます。

そういったことから、私は「DISはディストリビューターとしてだけではなく、『アグリゲーター』の役割もより強めるべきだ」と考えています。集める人、集積者の意で、「持っているモノ」を売るだけではなく、「持っていないモノ、そして仕組み」も調達して、最適な組み合わせを提供するというアグリゲーターとして今後更に磨きをかけていきます。

 

来たるべき時代に備え投資を

─ DISでは、教育ICT関連や通信サービス・モバイル事業の強化にも注力されています。

教育市場は、児童・生徒1人1台という情報端末環境の到来を背景に、大幅な伸長が見込まれています。また、2020年からの学習指導要領の改訂に伴い、ICT機器を使った授業スタイルがさらに一般的になると予想されています。2013年から2年間実施した実証研究「DIS School Innovation Project」のノウハウをもとに、エリアの販売店さまのビジネスを支援しています。今後、普及が見込める普通教室型の商談はプロダクト単品ではなく、キッティングや導入ノウハウ、研修などを含めた組み合わせ提案となり、ディーアイエスサービス&サポートを含めたグループ力とマルチベンダーの優位性が生かせると思っています。

また通信サービスに関しては、「DIS mobile」のブランディング向上を目指し、取扱通信の拡充とサービスメニューの拡充を図ります。新規のビジネスパーク獲得として、クラウドPBXなど新しいサービスの取り扱いも進めます。モバイル事業としては、2015年8月にマイクロソフトと協同で立ち上げたWindowsモバイルビジネスセンターを軸に案件の創出から導入支援に至るまで、さまざまなメニューを提供して全国の営業拠点をサポートします。SIMフリーの更なる普及もあり、来たるべき時代に備えて、人の投資や勉強、メーカーさまとの連携深化に力を注いでいきます。

 

─ マルチベンダー戦略にとっても、BtoB電子商取引システムでICT業界最大規模とされる「iDATEN」(韋駄天)の存在は大きいですね。

iDATEN(韋駄天)は、DISが取り扱う約1100社・200万アイテムの商品データーベースからの商品検索や発注などの機能を24時間365日利用できる電子商取引機能に加え、ユーザーの課題解決につながるソリューションを掲載している「DiSソリューションファインダー」など、販売パートナーさまごとのビジネスにマッチした各種機能を提供する総合販売支援サイトです。 1万5000社のパートナーさまと契約しており、毎月4万IDを超えるアクセス・利用があります。

2016年10月には一部リニューアルで、主要ページのモバイルデバイス対応や情報発信力の強化なども実施しました。多様化する販売パートナーさまのあらゆるビジネスシーンにマッチし、いつでもどこでもiDATEN(韋駄天)を利用できる環境を提供することで、販売パートナーさまとともにビジネススタイルの変革と新たな成長を目指していきます。

 

進むメーカーとの連携やコラボ

─ メーカーとの連携やコラボレーションもますます重要になっています。

日本全国に拠点を持ち、年間約5,000億円のICT商品の販売やシステム・サービスを提供していますが、DISがモノを作っているわけではありません。メーカーさまとの役割分担は必要不可欠だと捉えています。その役割のひとつが、お客さまのニーズをメーカーさまに伝え、メーカーさまがそのニーズに即して作った製品をお客さまに届けることです。お客さまが喜ぶものは常に探索していますが、多くの拠点とパートナーを持つDISには、国内外のメーカーさまを含めてあらゆるところからヒントを頂戴しています。それらを見逃すことなく、取り上げていきたいと考えています。

また、コスト抑制への貢献も大きな役割になります。サポートを含めると、メーカーさまが直接パソコン等を販売するよりも私どもディストリビューターを通す方がかなり抑えられるとメーカーさま自身が試算されています。メーカーさまと重複する機能である物流やキッティングなどのサービスで効率化を図っていくなど、ローコストオペレーションを加速させます。

 

取扱200万アイテムは通り道

─ 海外メーカーとの連携など、ワールドワイドな取り組みは増えているのですか。

販売推進本部では、メーカーさまのTOPに日本の市場を正確に把握していただくとともに、当社をより理解していただくために、積極的に海外へ出向いて商談を進めています。このような機会を通して海外メーカーさまとの取り組みは着々と進んでいますが、現段階では「まだまだ不十分である」と言わざるを得ません。海外のメーカーさまにDISのことを紹介すると、「極東アジアにこれだけのことをしているディストリビューターがいたのか」と驚かれます。特に日本国内に89拠点を持ち、地域に密着した展開をしているというビジネスモデルに驚嘆されることが多いです。

海外メーカーさまが展開されている商品・アイテムをみると、DISで取り扱えるものがまだまだたくさんあります。IoTの進展等を考慮するとなおさらです。例えば自動車のエンジンをモニタリングして、故障や不具合が発生する前に運転者に知らせる。それを可能にするのがIoTの世界です。このような事例はさらに出てくることになり、DISが取り扱っている約200万アイテムではまだ対応できません。これからもっとアイテムは増えると思いますし、面白い商品も出てくることでしょう。取扱200万アイテムはあくまでも通り道であり、われわれの取扱アイテムを増やすという意味でも海外メーカーさまとの連携は不可欠になります。

そのためにはDIS自身の切磋琢磨が不可欠です。海外メーカーさまから見ても、常にわが国ナンバー・ワンのディストリビューター、アグリゲーターでありたいと思っていますし、「日本市場での展開は、DISに任せておけば大丈夫」と言われるような存在を目指してまいります。