ダイワボウポリテック/ダイワボウプログレス/ダイワボウノイ/ダイワボウレーヨン

新たなリサイクル技術や環境配慮型商品と革新加工プロセスを披露
4社合同で「エコプロ2019」に出展

繊維事業会社のダイワボウポリテック、ダイワボウプログレス、ダイワボウノイ、ダイワボウレーヨンの4社は、2019年12月5日から7日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された環境総合展「エコプロ2019」に合同で出展しました。新たに開発した繊維リサイクル技術や環境配慮型商品、革新加工プロセスなどを披露しました。ファイバーから最終製品まで幅広い事業領域を持つダイワボウグループの繊維事業が、環境問題に対してどのように取り組んでいるのかを広く発信しました。

 

 

繊維事業4社で一体となり取り組みをアピール
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繊維事業4社で一体となり取り組みをアピール

「エコプロ2019」出展で特に注目を集めたのがダイワボウレーヨンの廃棄綿布・綿製品再生レーヨン「Recovis(リコビス)」です。レーヨンは、木材から作るパルプを原料とする再生セルロース繊維ですが、ダイワボウレーヨンは海外のベンチャー企業と連携し、廃棄される綿製品や縫製工程で発生する裁断くずを原料として再利用することに成功しています。展示会では古着ジーンズやデニム裁断くずを原料に製造したレーヨンを披露しました。また世界的にサステナビリティへの要求が高まる中、ダイワボウレーヨンは専門機関の試験データをもとに、海洋生分解性レーヨン繊維「e:CORONA(エコロナ)」が海水中で早期に生分解する地球にやさしい素材であることを紹介しました。

「e:CORONA(エコロナ)」を100%使用したスパンレース不織布「アピタスE」を開発したのがダイワボウポリテックです。スパンレース不織布はウエットワイパーやコスメ用品、食品包装材など使い捨て用途が中心です。マイクロプラスチックによる海洋汚染が世界的に問題視される中、海中でも生分解性を持つ「アピタスE」の機能に期待が高まります。また、ダイワボウポリテックは、芯にポリ乳酸(PLA)、鞘にポリブチレンサクシネート(PBS)を配した芯鞘構造の熱接着性複合繊維「ミラクルファイバーKK-PL」も披露しました。PLA、PBSともに土中での生分解性を確認していることから、環境に配慮した機能性繊維として活用が期待されます。

 

 

古着ジーンズをレーヨンに再生
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古着ジーンズをレーヨンに再生

ダイワボウプログレスの展示製品では、植物の根や土壌中の生物を保護しながら雑草の生長を抑制する立体構造式雑草抑制マットを紹介しました。植物の光合成による二酸化炭素吸収と地盤強化を両立できます。セルロースナノファイバーを配合した強化ゴムも披露しました。軽量性と強度を両立していることが特徴であり、ウエットスーツ用のほか航空機部材など用途開拓も目指しています。

ダイワボウノイは、強アルカリであるカセイソーダを使わない染色加工プロセスを独自に開発し、薬剤や水の使用量削減につながることを紹介しました。ダイワボウレーヨンの「e:CORONA(エコロナ)」と組み合わせた製品サンプルも展示し、原料から加工、最終製品まで一貫で環境配慮に取り組むダイワボウグループの繊維事業の姿勢を示しています。また、ダイワボウノイは、国際綿花評議会が認証する上質なアメリカ綿「COTTON USA」の認定サプライヤーであり、科学的な精密農業によって環境負荷を抑えながら栽培されているアメリカ綿を積極的に活用していることをアピールしました。

「エコプロ2019」は企業関係者だけでなく小学生・中高生、一般市民も多く来場する展示会です。その中で各社は、合同でプレゼンテーションを実施し、「人にやさしく地球にやさしい繊維とともに」をキャッチフレーズに、ダイワボウの繊維事業が環境問題の解決に貢献していることを、多くの来場者に伝えることができました。

 

環境課題への取り組みを通じて新たな事業機会を創出

 

─ 4社合同で「エコプロ2019」に出展しました。

 

ダイワボウグループの繊維事業では、ESG(環境、社会、ガバナンス)を重視した経営を推進するうえで、環境問題を一つの重要課題と捉えています。そのため、事業活動においては、国連が提唱するSDGsの達成に向けて、生産プロセスでのロス、二酸化炭素排出量、廃棄物等の削減やリサイクルなど、戦略的に環境課題に取り組んでいます。一方、活動を通じて、新たな事業機会を創出することも大きな狙いであり、「エコプロ2019」では、プレゼンを行いながら活動の一部を紹介しました。また環境課題への取り組みは、社会共通の取り組みであり、当社グループのお取引先様に加え、展示会を通じて幅広い異業種のお客様との連携の機会を探りながら、当社グループとして拡充したいと考えています。


─ 繊維事業の提案の特徴は何でしょうか。

繊維事業は現在、独自性のある原料を活用するファイバー戦略を基軸にしており、原料から最終製品までの一貫した研究・生産体制が可能であることを紹介しています。

例えば、ダイワボウノイは、2008年に立ち上げた「エコフレンドプロジェクト」において、原料だけでなく加工技術を活用した環境配慮型商品が拡充していることをアピールしました。カセイソーダを使用しない染色加工技術などの生産プロセスも紹介しました。また、ダイワボウプログレスでは、環境保全に加えて、自然災害への対策も関心が高まる中、植物や微生物の共生を保ったうえで、地盤強化にもつながる雑草抑制マットなどを提案しています。

「生分解性」については、ダイワボウポリテックから生分解性熱融着複合繊維を、ダイワボウレーヨンからは海洋生分解性レーヨン繊維を披露しました。さらに、ダイワボウポリテックが、ダイワボウレーヨンの繊維を使ったスパンレース不織布を展示し、合同出展によりグループ連携の成果を強調しています。

 

─リサイクルへの関心も高まっています。

 

他分野と比較してアパレル製品はリサイクルが極めて遅れているのが現状です。売れ残った衣料や使用済みのものは、中古市場こそあるものの、最終的には大量に廃棄され、リサイクルもほとんど確立されていません。そこで今回の展示会では、使用済み綿製品や縫製工程で発生する裁断くずを新たなセルロース繊維として再生させる技術を発表しました。これは、海外のベンチャー企業と連携して実現したものです。繊維分野においても、リサイクル可能な素材の利用拡大、廃棄物を低減して再利用する活動、国際的な技術連携によるリサイクル・アップサイクルの取り組みが必要です。世界中でこのような取り組みが拡大することで、社会的課題を解決するとともに新たな事業機会が創出されることになります。今後も、ダイワボウグループの繊維事業の取り組みを、積極的に国内外に発信していきます。