政府が推進する第四次産業革命で需要が拡大

ダイワボウ情報システム(DIS)のモバイル通信ビジネスが一段と進化しています。スマホだけでも国内には年間3,000万台以上の市場規模があるモバイル通信市場。言うまでもなく、これはパソコン市場よりも大きな数字です。世界中のあらゆるICT商材を扱うDISは、この分野でも国内外の多くのモバイル通信機器や付属品を取り揃えて主要なMVNO①に出荷するなど、いち早く市場開拓と顧客開拓、市場形成に向けて取り組みを進めてきました。

そして現状、その需要の90%が個人向けであるわが国のモバイル通信市場にあって、法人需要という新たな市場が本格化し始めています。政府(総務省)は、M2M②及びIoT③向けのモバイル通信専用番号として、「020」を2016年春より割り当てることを発表しています。さらに、携帯電話やスマホ向けにも「060」を追加することも表明しています。法人需要の拡大に対応する動きです。地域密着営業で法人や団体に圧倒的な力を持つDISにとっては、まさに「得手に帆をあげる」流れといえます。加速するDISのモバイル通信ビジネスについて、4人のキーマンに語ってもらいました。

 

 

 

 

モバイル通信ビジネスにおける法人需要の魅力

帯包副部長(以下、敬称略)

モバイル通信ビジネスにおける法人需要への取り組みは、IoT機器やSIM カードスロットを備えた機器を新たに作るのではなく、既存のWi-Fiルーターやキオスク端末に組み込まれているWindowsタブレットなどの機器類に、020番号を付与できるモバイル通信モジュールを組み込み、デバイスとして提案していくことから始めています。その商品調達を目的として、2015年4月から販売推進本部に販売推進4部を新たに設け、MDグループがモバイルデバイス製品の調達を開始しています。

 

谷口副部長

これまでのDISの新規ビジネスは、既存のお客様に新しい製品やサービスを紹介することでした。ところが、モバイル通信ビジネスでは、取り扱う製品やサービスが新しいため、メーカー様も含めてほとんどが新規のお客様となります。しかし、すでに多くのお客様を開拓しており、これまで接点がなかった分野のお客様とのお取引も始めています。もちろんDISの既存の法人チャネルでも、Windows Phoneをキーデバイスとするなど潜在需要が多くあります。それを全社で取り込んでいく体制作りも重要と考えています。

 

神澤課長代理

PCのビジネスは、ホワイトカラーと呼ばれる事務職向けが主体です。これに対してスマホやタブレットは、フィールドワーカーと呼ばれる現場で作業をする人たちも狙えます。このユーザー層には、6人に1台程度しかICT機器が普及していません。今後、新規の市場としてモバイル需要が取り込める期待が大きい上に、DISの既存のPCビジネスと競合することもありません。

 

青井部長(以下、敬称略)

2015年にSIMロックが解除されて、SIMロックフリー④対応スマホやSIM回線のラインアップは充実し導入が進んできました。法人向けのモバイル通信ビジネスは、このSIMロックフリー対応スマホやSIM回線だけでなく、M2M(IoT)のソリューション向けのSIMロックフリー端末とSIM回線の市場も存在します。いわゆる電力やガスなどのスマートメーターや自動販売機などに搭載されている通信モジュールなどです。こうした市場に向けて、MVNOも常時接続を基盤とした低額な回線サービスの開発を進めており、同時に販売するM2M(IoT)ソリューション向けの低価格なSIMロックフリー対応の通信モジュールを流通することで、M2M(IoT)ソリューションの潜在需要が活性化され、法人向けビジネスが拡大されると考えております。
 

 

モバイル通信ビジネスへのDISのビジネスプラン

帯包

DISではモバイル通信ビジネスに対して、個人向け、法人向け、MVNO向け、サポートサービスの4つの分野でビジネスを展開しています。携帯電話は個人需要が90%を占めるため、広域営業本部のコンシューマ営業部及びモバイル営業部でリアル店舗と量販店、そしてWeb販売店、さらに新規で開拓しているMVNO事業者や携帯電話ショップで拡販に取り組んでいます。法人需要については、SIMロック解除の技術的な支援はモバイル営業部が窓口となっていますが、デバイスの調達と販売店様のサポートをMDグループで担当しています。このほか、WiMAXやLTE回線のMVNO事業では、個人需要が主体ですが法人需要にも商機があります。例えば法人ではクレジットカード決済ができないので、「DIS mobile WiMAX」で提供している年間パックプランなど、法人に適したサービスの提供ができます。

さらにディーアイエスサービス&サポート(Dsas)のキッティング機能も、モバイル通信ビジネスの法人需要の推進に大きく役立ちます。実際、MVNOに出荷する30%以上の商品には、キッティングなど何らかの手を加えているなど需要の高さを物語っています。またMVNOは端末などの在庫を持たないので、2016 年からはDsas の倉庫を利用して商品を提供する物流機能も提供します。Dsasの携帯電話向けキッティング機能は、精度とスピードが優れていることも大きな魅力です。それは、エンジニアが手入力で設定するのではなく、作業を自動化することで実現しています。具体的には、自動化するためのソフトをDsasが独自に開発し、携帯電話向けキッティング専用のタブレットからデータを送信して設定を行っています。さらに設定したエンジニアとは別のエンジニアが設定内容を確認して、二重にミスを防いで精度を高めています。
 

 

ゼロからのスタートではなくノウハウと強みが生かせる

青井

これまでモバイル通信ビジネスは、3大キャリアがそれぞれ端末、回線、サポートすべてを提供する垂直モデルが主流でした。ところが、2015年5月のSIMロック解除の義務化により、既存のモバイル通信ビジネスに水平モデルが取り入れられ端末と回線、サポートを別々に提供できるようになり、新たな企業の参入が期待されました。この水平モデルですが、残念ながらSIMロック解除の義務化により取り入れられたからと言って、SIMロックフリー端末の販売が簡単にできるとは限りません。パソコン等の物販とは違ったノウハウが必要で、軌道に乗せるまでには相当な時間がかかります。

DISでは、2009年7月からのUQコミュニケーションズとの協業によって、DIS mobile WiMAXをはじめとしたMVNOとのモバイル通信ビジネスに取り組んでおりました。この取り組みによって通信ビジネスの経験とノウハウが溜まり、SIMロック解除後の水平モデルのモバイル通信ビジネスをスムーズに展開することができました。

 

帯包

通信ビジネスは、PC やサーバー、ソフトの販売といったICTビジネスとはビジネスモデルが異なりますし、取引の方法も異なります。例えば回線サービスというハードウェアがない部分に大きなビジネスがあるため、それを理解してビジネスモデルを構築し、体制を整えて稼働させなければなりません。DISは実際に通信ビジネスを展開しており、モバイル通信ビジネスにおいても強みを発揮できます。

 

青井

通信ビジネスでは、各端末やSIMカードの単品(シリアル)管理が必須です。携帯電話では端末が誰に渡ったかを正確に把握するために、SIMカード(電話番号)やIMEI⑤番号を管理しなければなりません。この業務を出荷元である当社が行うことにより、販売店様の大幅な工数の削減が見込めます。グループ全体で活動することで、DISグループのモバイル通信ビジネスでの優位性が大幅に上がるでしょう。パソコンなどの販売で培った仕組みを、モバイル通信ビジネスにも取り込み、端末販売・回線販売をよりシンプルに早く提供し、更なる需要創出に取り組みたいものです。そのためにも今年は、「みんなのモバイル」を標榜してグループ一丸となって、モバイル通信事業に全力を傾注する決意です。
 

 

用語解説

①MVNO:
周波数の割り当てを受けずに携帯電話などの無線通信インフラを借り受けて事業を行う企業のことで、「仮想移動体通信事業者」の略。

②M2M:
機械と機械が通信ネットワークを介して互いに情報をやり取りすることで、自律的に高度な制御や動作を行うこと。

③IoT:
「モノのインターネット」といわれ、コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に 存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することで自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。

④SIMロックフリー:
利用者識別を行うICカード「SIMカード」に対応した携帯電話端末で、どの通信事業者(キャリア)のSIMカードでも差し込んで使えること。

⑤IMEI:
携帯電話やデータ通信端末、一部の衛星電話に付与される識別番号。製造業者・機種・生産国・シリアル番号・チェックデジットを表す15ケタの数字からなる。