ダイワボウホールディングスは2015年4月にスタートさせた「イノベーション21」第二次計画が今年3月で終了します。最終年度となる2018年3月期の上半期(2017年4~9月)業績は、売上高、利益ともに過去最高となりました。良い形で最終年度を締めくくり、4月からは新たな3カ年計画に取り組みます。野上義博社長に昨年を振り返っていただくとともに、新3カ年計画の骨子をうかがいました。

 

 

─ 2018年3月期の上半期(2017年4~9月)を振り返っていただきます。

明けましておめでとうございます。昨年は、米国の政策運営をはじめとした海外経済の動向や地政学的リスクなど先行きに不透明感こそあったものの、雇用・所得環境の着実な改善もあり、企業収益は概ね好調に推移しました。そうした中でダイワボウホールディングスの2018年3月期上期業績は、売上高は3,128億円(前年同期対比10.4%増)、営業利益53億円(同17.4%増)、経常利益52億円(同20.5%増)と、昨年に続き増収・増益となり、上期として過去最高の売上・利益を達成することができました。

各事業別にみると、ITインフラ流通事業においては法人向け市場で、国内企業の収益改善などを背景にIT投資が堅調に推移するなか、市場におけるパソコン需要の回復基調を的確に捉え、地域密着営業を推進し、首都圏をはじめ全ての地区で前年同期を上回る実績となりました。なかでも民間企業向けでは通信事業者や製造業における需要が拡大し、文教分野向けでは、Wi-Fi等のICT(情報通信技術)環境整備の動きと相俟って、受注が伸長しました。また、パソコン販売を軸とした周辺機器やソフトウェアを含めた複合提案の推進が実を結び、前年同期を上回る収益となりました。個人向け市場では、消費者の購買意欲改善に向けた動きがみられ、モニタをはじめとした周辺機器の販売が好調に推移しました。

繊維事業においては合繊部門で衛生材用途向け原綿や制汗・除菌関連を中心とする不織布の売上は増加しましたが、原燃料価格の高騰により利益面では低下を余儀なくされ、レーヨン部門では、対米向け防炎素材は苦戦を強いられました。また、機能製品部門では、フィルターの拡販が進みましたが、樹脂加工部門では、コンテナ関連商品の受注が減少しました。衣料製品部門では、カジュアル製品は海外生産拠点を活用した主要顧客向けの企画提案販売が好調に推移し、インナー製品は機能素材を使用した春夏物商品の受注が増加するとともに、ブランド製品は子ども向けを中心とした専門店への販路拡大により収益を確保しました。

産業機械事業において工作機械部門では、主力の立旋盤について、国内は航空機・鉄道分野が堅調に推移したことに加え、建設機械・半導体関連分野も回復傾向にあり一定の受注は確保したものの、業績面では米国のオイル・ガス分野や中国市場の低迷による前年の受注減少の影響を受け、振るいませんでした。自動機械部門では、売上計上時期が第3四半期へずれこむものもありましたが、医薬品・食品分野を中心に受注は堅調に推移しました。
 

 

─ 2018年はどのような年になるとお考えですか。

政府の経済対策や金融緩和策の継続により景気回復は続くものと推察されますが、依然として海外経済の動向や地政学的リスクを抱え、先行きは不透明な状況にあります。また、事業を取り巻く環境も、一層のグローバル化の進展に伴い、国際市場における企業間競争は、ますます熾烈化する様相を呈しております。

このような環境のなか、当社グループにおきましては、グループ協業体制の強化と戦略的アライアンスの実践により、成長市場・地域をターゲットとした新規市場開拓と販売シェア拡大に努めるとともに、顧客ニーズを先取りした販売戦略と競争優位のある独自商品の開発を推し進めることにより、事業領域の拡大に取り組んでまいります。
 

 

─ 今年4月に、新たな中期経営計画がスタートします。

ダイワボウホールディングスは、2011年7月に現在のITインフラ流通、繊維、産業機械の3事業を主体としたグループ経営体制となり、既に6年が経過しました。また、2015年4月にスタートさせた中期経営計画「イノベーション21」第二次計画は3月で終了を迎えようとしており、各事業体にて良い形で3ヵ年を締めくくるべく取り組みを進めてきました。

そして本年4月からは新たな3ヵ年計画をスタートさせますが、その最終年度となる2020年は東京オリンピックを控え、これを契機とした新たなテクノロジーやサービスが続々と誕生していきます。この大きな節目での市場の変化を事業に取り込むことで今後の更なる会社の成長に繋げていく必要があります。
 

 

─ 新たな3カ年計画の骨子は。

基本的に従来からの取り組みを進化させることが更なる事業の発展・拡大に繋がると考えています。お客様であるマーケットをよく見つめ、各事業体が持つ優位性を高めるとともに、それぞれの強みや独自性を活かすことで新しい価値を生み出すことができるでしょう。一方で、社会情勢や経営環境の変化もあり、我々も組織・人材を含め変革が必要とされています。この局面こそ、グループ各社の一体感を高めるチャンスであり、互いを高め、補い合えるような形を追い求めていくことが重要です。また、グループ規範である『「真実と公正」を認識の基準とする』、『「自己改革と自己責任」を思考の原点とする』、『「迅速と完結」を行動の基本とする』をいまいちど肝に銘じて企業価値向上に取り組んでまいります。