ダイワボウグループの発展に欠かすことのできないのが、現場の第一線で活躍する中堅・若手社員の存在。今回は、「未来を担うニュージェネレーション」として、事業の現場で活躍する中堅社員の1日を紹介します。

 

現場スタッフの知恵を生かし、若手に伝える

 

オーエム製作所で工作機械の開発を担当する長岡開発室と自動包装機械の開発を担当する宍道開発室を束ねる技術・開発部長を務めるのが中村多喜夫執行役員です。現場スタッフの“知恵”を借りながら開発を進めると同時に、若手技術者の育成にも取り組んでいます。
もともと立旋盤の開発技術者だった中村さん。「工作機械は手作り的要素の多い機械。最後は現場スタッフの“知恵”が重要になります」と話します。例えば最近、油圧レスの立旋盤開発を進めたところ、うまくいかない。そんな時、問題解決の決め手になったのが現場スタッフの持つノウハウでした。それだけに、現場で製造担当スタッフとのディスカッションは日々の仕事の中で欠かせません。「特許を取っても、特許内容自体は公開されます。でもノウハウはオープンにならない。他社に真似されないモノづくりは、これが重要になります」と中村さんは強調します。

 

これまで“匠の技”を蓄積してきたオーエム製作所ですが、そのノウハウを若手技術者に継承させていくことも中村さんの役目。「若手技術者にも、現場のベテランスタッフと、どんどん話すように指導しています」という。今年5月からは若手設計者・開発者の勉強会を立ち上げ、中村さんもオブザーバーとして参加しています。「課題にぶつかっても、オブザーバーなので途中で答えを言わない。簡単に答えが分かるようなものは結局、真似される程度の内容ですから」。若手が答えを出した後に、技術的な指導を行っています。「昔は“技術は先輩から盗むもの”でした。でも今はある程度教えないと人が育ちません」と指摘します。

技術・開発部長として宍道工場にも頻繁に出張しています。自動包装機の開発担当者との意見交換は、機種にとらわれない開発の方法論が議題の中心。アイデアの発想法や開発の方向性の定め方について議論を交わします。「現有技術で新市場を開拓するのか、既存市場に新技術を投入するのか」など、議論の種は尽きません。そのほか、地元大学でも教壇に立つなど技術教育の分野でも活躍しています。

営業部門とテレビ会議を繰り返すなど製販一体で取り組むことも日常的。ユーザーが工場に来れば、プレゼンテーションと同時に今後のニーズを探ることも中村さんの大切な仕事となります。
「立旋盤の国内トップシェアを維持し、海外シェアを拡大するための開発を進めたい。立旋盤は、完成された機械のようで、まだまだ技術的にやるべきことは多いですから」という中村さん。若手の育成を進めながら、今後も開発の第一線で全力を上げる考えです。

オーエム製作所 中村さんのある1日

7:30  出社。メールチェックと午前のミーティングの準備
8:30  開発スタッフと開発進捗確認などでミーティング
10:00 現場で開発機台の進捗確認と製造担当者とディスカッション
13:00 ユーザーの工場案内、最新製品のプレゼンテーション
16:00 開発スタッフ、製造技術系スタッフと開発機台のテスト計画打ち合わせ
17:00 若手設計者、開発者の勉強会にオブザーバーとして出席
18:30 明日からの出張に備えて早めの退社

商社とは違うメーカーとしての衣料製品事業が目標

 

ダイワボウノイで有名ブランド向けニットカジュアル製品のOEM(相手先ブランドでの生産)や対米輸出する布帛製トランクスの製造販売を担当する衣料製品部。野間靖雅部長はインドネシア事業担当と中国事業副担当も兼務し、ダイワボウノイのグローバル生産・販売の現場で奮闘しています。
ダイワボウノイの衣料製品生産は、インドネシアと中国が中心。野間さんも毎月1週間のペースでインドネシアに出張します。インドネシアでは、グループ縫製会社のダヤニガーメント・インドネシア(DGI)やダイワボウガーメント・インドネシア(DAI)で生産性向上などに取り組んでいます。「DGIはニット縫製や布帛・ニットパジャマなど新しいアイテムに取り組み、軌道に乗ってきました。今後はカジュアル製品にまでアイテムを増やしたい。DAIは、もっと生産性を上げないと」という野間さん。取引先をアテンドして、インドネシア生産の実力を知らせることにも取り組んでいます。

 

 

中国にも、やはり毎月1週間のペースで出張します。自家工場の蘇州大和針織服装、大和紡工業(蘇州)や協力工場を回り、品質などのチェックを怠りません。「ニットカジュアル製品の中級品以上のゾーンが生産の軸。差別化原料、開発素材を活用することで単価勝負だけの販売にならないようにしています」と話しています。最近では中国の協力企業がインドネシアなどに進出するケースも増えてきました。こうした企業との協力関係も構築しています。
「国内のカジュアル製品市場が縮小する中、やはり海外販売の拡大が重要」という野間さん。5月には米国に出張し、取引先を訪問して回りました。「米国市場の懐の深さを感じました。中南米品との競争もありますが、チャンスは十分にあります」と手応えも。これから年2回は米国を訪問する計画を立てています。

 

 

現在、衣料製品部は東京、大阪、香港、ニューヨーク、インドネシア、中国にスタッフが常駐しています。国内ではテレビ会議、時差のある海外とは朝にウェブ会議を行います。「メールや電話だけではダメ。少しでもスタッフの顔を見て、声を聞き、体調や精神面で変わりないか見てあげないと」とスタッフへの気遣いも大切な仕事。とくに若手社員が海外に1人で駐在しているケースも多いだけに、部長として部下とのコミュニケーションが重要になります。
「若手時代に和歌山工場のオープンエンド糸を使ったTシャツをヒットさせたことが自分の原点。今後も自社の糸や原料を使った製品で成功することが目標です」と話すように、ダイワボウレーヨンの機能レーヨンやダイワボウポリテックのポリプロピレンなどグループの特化原料を衣料製品で活用することを進めています。「商社とは異なるメーカーとしての衣料製品事業をやりたい」というのが野間さんの目標です。

 

ダイワボウノイ 野間さんのある1日

8:00 海外出張が続いたため、早めに出社して決済書類の整理
9:30 国際販売課会議(ニューヨーク事務所もWEBで参加)
13:00 衣料製品一課、同二課合同で蘇州大和針織服装の受注会議
16:00 開発担当者と戦略商品の開発打ち合わせ