売上好調も楽観せず諸策推進

 

 

─ 中計2年目に入りましたが、進捗は如何ですか。

売上は、過去最高記録を更新中で、この第1四半期も、創業以来初の1000億円を超えることが出来ましたが、一方では利益確保が非常に厳しくなりました。パソコンを中心に商品単価が下落しておりますので、売上増大に比例して個数が極端に増えていき、収益を圧迫しております。今期は、企業の買い換えサイクルの年度でもあり、2014年4月9日でWindows XPのサポートが終了し、Windows 7 又は8.1への買い替えは必須で、更には消費税増税を見込んだ駆け込み需要も予測されます。従って来年度以降はその反動が容易に予想されますので、中期経営計画を達成するためには昨年度より3割以上の増販努力が必須となります。

 

─ そのための機構改革をどのように推進していますか?

販売推進部(仕入部門)を、期初より、ハードウエア推進部とソフトウエア推進部に分割し、よりきめの細かい対応をしてまいります。特に、ソフトウエアはクラウドも含めてまだまだ、伸びしろがあります。収益を伸ばしていくためにも、ソフトウエア専門部署の新設は必然と考えます。勿論、ハードウエア部門との連携が不可欠な事は言うまでもありません。
また、販売店の販売力を更にアップするため、今期より、基幹システムを全面刷新しました。「DIS-NETⅢ」がそれです。全国の約90拠点、17000の販売店とDIS-NETⅢが有機的に繋がってくるのです。
例えば、販売店のエンドユーザーがいつパソコンを更新したのかといった情報を把握する事もでき、販売店のユーザーに合わせた的確な提案、IT資産管理も可能となり、これらのビジネスはストックして継続、成長していきます。それらの情報は日々データベース化されていっており、TCO(Total Cost of Ownership:コンピューターシステムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額)削減にも大きく寄与しております。

 

─ 教育現場でのICT(情報通信技術)導入・活用を推進する実証研究も進めています。

文科省は教育の情報化に関する総合的な推進方策として、2020年までに小中高の児童・生徒に対し1人1台の情報端末を整備していく計画です。実証研究として32校にタブレットパソコンを提供しました。学校、教育関係者、有識者、メーカー、販売店などとのアライアンス体制を構築し、今後の市場拡大に対応してまいります。

 

事業会社の協業を加速

 

 

─ 中期経営計画初年度が終わりました。

繊維事業の売上高は、ほぼ計画した数字に近づいていましたが、利益面で計画を下回ったという課題があります。十分な利益を確保できなかった要因は、「為替」「マーケット」「コスト」それぞれにありました。為替では、昨年までの異常な円高でダイワボウレーヨンの対米防炎レーヨン輸出が大きなダメージを受けました。またダイワボウノイが展開しているインドネシア生産による対米トランクス輸出なども、ドル建てのビジネスですから円換算で売上高、利益ともに大きく目減りしてしまいます。マーケットではやはり円高で輸入品が増加し、衣料品だけでなく生活資材分野でも国産品の市場が縮小しました。そしてコスト。昨年の第3四半期あたりから海外での人件費などが急上昇し、収益が圧迫されています。

 

─ 今期からの課題となりますね。

価格競争には限界があります。やはり商品の高付加価値化、高度化を進める必要があります。為替リスクに対しては、ドル建ての事業を増やすことが大切です。すでに大和紡績香港を中心に活動が本格化してきました。ダイワボウノイは香港を通じて欧米アパレルへの生地・製品販売を進めています。ダイワボウポリテックはフェイスマスクなどコスメ関連で不織布用原綿の販売が香港を起点に始まります。また、ダイワボウプログレスもカートリッジフィルターなどの海外販売に取り組んでいます。今期は、こうした取り組みの具体的成果を出すことが重要になります。コストアップに対しても手を打ちました。インドネシアの縫製事業は、昨年設立したダイワボウ・ガーメント・インドネシア(DAI)での生産を拡大させます。アセアンEPA(経済連携協定)なども活用することが欠かせません。また、来年にはダイワボウ・ノンウーブン・インドネシア(DNI)が稼働します。ダイワボウポリテックにとっては初の海外展開ですから、何としても成功させなければなりません。人材の国際化にも一段と取り組まなければなりません。

 

─ “脱”価格競争の商品開発にも力を入れています。

ポイントは事業会社のコラボレーション、例えばダイワボウポリテックのポリプロピレン(PP)、ダイワボウレーヨンのレーヨン、ダイワボウノイの綿紡績技術を融合して開発したPP・セルロース系繊維複合素材「ウォームプロPC」があります。これなどは安全性の面からも他社には真似できない素材です。それ以外にもカンボウプラスとダイワボウプログレスが連携して取り組む放射性物質除染関連製品などもあります。ダイワボウノイのフタロシアニン加工も加え、事業会社の協業を加速させることで、こうした商品を充実させることが重要です。

 

次世代商品の開発、技術継承に注力

 

 

─ 産業機械事業の中期計画初年度をどのように振り返りますか。

売上高は計画をほぼ達成しました。為替差益など特殊要因がありましたが、営業利益も大幅に目標を達成したことで数字的には及第点だと考えています。しかし中身を見ると、まだまだやり残したことがあります。オーエム製作所は中期経営計画で「グローバル市場での業容拡大」「次世代商品の開発」「モノづくり力の強化」を重点テーマに掲げています。このうちグローバル市場での業容拡大については予定通りに進捗しています。台湾オーエムの新工場完成や、現地パートナー企業であるマンフォード社との資本提携、オーエム上海の現地法人化も完了させ、グローバル事業が本格化しています。O-M(USA)では本社を置くテキサス州ヒューストン地区だけでなくニュージャージー州にショールームを設置し、東海岸地区から全米をフォローする体制ができました。次世代商品の開発ですが、付加価値の高い新商品の開発が必要です。工作機械はダイワボウ情報システム(DIS)の協力を得て、状態監視システムを搭載した機械を見本市に出品致しました。今後は、ユーザーに対して加工ノウハウを提供するような開発が必要です。自動包装機も今後はロボットを搭載したラインエンジニアリング化を深堀し、積極的にユーザーに提案していきたいと考えております。
一方、モノづくり力の強化は技術継承がもっとも重要です。当社もベテラン技術者が引退する時期を迎えています。そこでベテラン技術者に若手技術者を数名付けて教育する仕組みを作りました。当社の技術は、図面では表現できないノウハウを積み重ねるところに強みがありますので、技術・技能の早期伝承は非常に大切であります。それだけにコストをかけてでも人材教育に全力を挙げています。

 

─ 中計2年目以降の重点戦略をお聞かせください。

工作機械は、やはり中国と北米が2大重点市場です。中国はディーラーとの関係を強化し、拡販を進めます。北米は、ニュージャージー州を拠点に航空機分野の需要を掘り起こすことが重要になります。工作機械だけでなく、自動包装機のグローバル化、ソリューション化を進めなければなりません。その点ではダイワボウグループとの協業体制を更に強化する必要があります。中期計画の最終年度のハードルは低くありませんが、確実に目標を達成しなければなりません。工作機械は一段と高付加価値化、大型化に対応するため、長岡工場に生産性向上に向けた大型設備投資を検討しており、大型機需要や短納期ニーズに対する対応力を強化してまいります。