ディストリビューターの価値を再構築 サービス&サポート強化に全力

 

今期から始まった経営3カ年計画「イノベーション21」第二次計画。ITインフラ流通事業、産業機械事業、繊維事業、関連事業それぞれの事業統括に計画達成に向けた課題と戦略を語っていただきました。

─ 昨今の事業環境をどう捉えていますか。

IT業界は大きな事業構造変革が起きています。クラウド化がその象徴で、大きなタームで歴史が繰り返されているように感じます。そもそも企業でのコンピュータ導入というのは、メーンフレームと呼ぶ巨大なコンピュータを1台設置し「時分割多重利用」により、多数の会社で多数の端末を同時に使う方法が一般的でした。その後、パソコンのCPU単価がどんどん低下するのに反して、性能が劇的に向上したため、セクションごとにコンピュータを分散設置する方式が育ち、企業単位でコンピュータを個々に所有することが可能になりました。そして、最近の傾向としてクラウドの活用が加速しているわけですが、これはたくさんの企業がたくさんの端末を使うメーンフレームと同じ使い方になっているのです。


─ こうした環境のなかで、中計で取り組むことは。

従来型のディストリビューターの機能は存在価値が薄れてしまいます。クラウドという仕組みをいかに企業に使ってもらうかをコンサルタント的にサポートする機能が新たに求められるようになるでしょう。

当社がこれまでに構築した販売チャネルにクラウドを流通させていくには、従来のIT商材と同様に扱えるよう仕立て直し、使い方や、運用方法などサポート、サービスもパッケージにして付加価値を高める必要があるのです。
 

 

─ 具体的内容をお聞かせください。

一つは販売パートナーのオペレーションコストの低減に貢献することです。従来の商材のように売掛販売だけでなく、ライセンス形式、月額課金形式に対応するには甚大なIT投資が必要となりますから、当社グループがそれを低コストで吸収し、かつ、販売パートナーの生産性を高めるようなサービスの提供も必要になります。サービス&サポートの充実は収益力強化のポイントです。 加えて、販売技術の向上も重要な点です。情報の価値がどんどん下がっているなかで、我々はスピード感と最適な取捨選択で、より価値のある情報を販売チャネルに落とし込まなければなりません。さらにディストリビューターの価値を持続的に認めてもらえる仕組みを作らなければなりませんから、販売店を含めて収益を上げるビジネスモデルにする必要があります。高度な技術であるほど参入障壁が高くなるでしょう。

その一環として、当社では全社員に情報処理技術者試験の一つであるITパスポートという国家資格を取得してもらいました。販売技術の底上げにつながるはずです。

また、これは今次中計以降の方針になりますが、海外展開を視野に入れた活動も検討していきます。利益を確保する効率運営の仕組み・販売手法は当社の強みでグローバルに通用すると考えています。創立60周年を目指して進めていきたいですね。日本的な細やかさを基盤にしたこうしたことは、中計の重点戦略によって道が開けるはずです。