このほど、ダイワボウグループの事業会社社長が交代いたしました。その中からダイワボウポリテックの真下章弘社長とカンボウプラスの太田克則社長に登場いただき、新社長としての抱負と、新中期経営計画に基づく方針をお聞きしました

「さすがダイワボウ」と言われる会社を目指します

 

─新中期経営計画がスタートしました。ダイワボウポリテックとしての方針をお聞かせください。

やはり収益力の強化が重要です。長期的には売上高200億円、経常利益10億円の体制を作りたい。そのための基盤作りを進めます。現在、国内販売は家庭用雑貨、衛生材料など景気の波の影響を受けにくいものが中心です。これを今後もしっかりと取り組むことは当然ですが、やはり一本足では不安があります。そこで工業資材などを拡大させる必要があります。また、国内市場の拡大が難しい中、伸びる市場に進出することも不可欠。現在、アセアン市場の開拓を進めており、中期経営計画の3カ年で一定の形を作りたいですね。大和紡績香港も大きな足掛かりとなります。


─アジアでも工業資材の需要が拡大しています。

ニッチな商品ですが、欧米でも注目を集めた商品があります。例えばコンクリート補強材はアスベスト代替として欧米や日本で普及しましたが、今後はアジア諸国でも需要が拡大するでしょう。もちろん海外メーカーとの競合もありますから、いずれグローバル生産も視野に入れる必要があります。


─衛生材料分野も業界構造は変化してきました。

現在、当社の衛材用合繊わたも生産の10%が輸出用です。日本の衛生材料・衛生用品メーカーが海外市場で活躍しています。いずれ現地でサプライチェーンを構築する形になるでしょうから、当社もその動きに対応する必要があります。これが喫緊のミッションで、まずはインドネシアがターゲット。不織布でマーケティングから開始し、その後は販売先を確保していくことになります。一般的に1人当たりGDPが1000㌦を超えるとナプキンが普及し、3000㌦を超えると紙オムツが普及するといわれますが、インドネシア、タイ、マレーシアがまさにこの段階。間違いなく不織布の需要が拡大するでしょう。東南アジアはダイワボウグループの拠点も多いですから、グループ各社の協力も得て取り組みます。

 

─不織布製品についてはいかがですか。

昨年は節電需要もあり制汗シートや除菌関連製品が伸びました。しかし今年は天候不順もあり勢いがありません。やはり業務用や医療・介護用など天候に左右されない分野を伸ばす必要があります。この分野に関しても中国中心に需要が拡大していますので、大和紡績香港を通じて販売を進めます。アジア地域では日本製商品がスタンダードになっています。日本のモノ作りを、うまく移管させることがポイントになるでしょう。

 

─海外展開が加速する中、国内生産の位置付けはどうなるのでしょうか。

国内を空洞化させる考えはありません。国内工場はプレミアムゾーン向け開発や細かなニーズに応えることが生命線です。不織布は原綿から原反、最終製品まで垂直型で取り組む分野です。これは強みでもあり弱みにもなります。やはり研究開発をしっかりと行い、市場のニーズに応えていくことしか方法はありません。日本でしかできないモノ作りが存在します。それを捨ててはいけません。グローバル生産とうまく両立させることが大切です。

 

─新社長として、ダイワボウポリテックをどのような会社にしていきたいですか。

スマートに成果を出すことができれば理想ですが、現実は簡単ではありません。泥臭い方法でもかまわないから、最後にお客様から「さすがダイワボウ」と言われるような会社が目標です。「ダイワボウと組んで良かった」と言っていただけるように、販売と開発を進めます。お客様と一緒になってモノ作り、研究開発を進めることが大切です。それは、これまでもやってきたことです。今後もこの方針に変りはありません。

グループ協業で新規分野・海外事業展開を拡大します

 

─今期から新中期経営計画がスタートしました。新社長として、どのような方針で臨まれますか。

当社の主力商品は、メッシュシートや止水シート、養生シートなど建築・土木関連の重布です。歴史的に見ても50年以上続いてきた事業であり、ここを柱にするという基本に変りはありません。しかし、残念ながら公共事業の減少などで重布業界自体が縮小しているという現実があります。そこで重布に加えて、新たな事業分野に取り組む必要があります。一例として、デジタルサイネージ事業があります。ディーアイエスアートワークスがソフトウェアを担当して取り組んでおり、グループ協業によって拡大を進めています。また、海外展開の拡大も重要です。今期から海外事業部を新設しました。国内生産では採算が合わなくなった定番商品を海外から調達し、カンボウプラスのブランドで売る体制を作ります。重布業界は、なかなか付加価値を確保しにくい業界になっていますから、商品全般の利益率を見直し、不採算品に関しては海外品に転換していくことになるでしょう。同時に自社製品の海外販売も推進します。とくに光触媒によるセルフリニューアル膜材「ダイナスター」やテント・シート用補修粘着テープ「ペタックス」など特殊な商品で提案を進めており、手応えも感じています。とくに東南アジア市場がターゲットです。

 

─インドネシアではすでに事業を展開しています。

ダイワボウプログレスと連携しており、現地関係会社のダイワボウシーテック・インドネシアに技術協力しています。これもインドネシアの内需および外需を狙った事業。海外事業部も含めてグローバル展開には言葉の問題があるので、英語に堪能な人材を増やすなど人材面での強化も進めました。

 

─海外調達が増えると、国内の福井工場の役割も変りますね。

現在の生産量は維持する考えです。その上で、やはり福井工場でしか作ることのできない商品が出てこないとダメですね。何よりも開発が重要です。福井工場は、トッピング、ディッピング、コーティング、ラミネーティングという4つの樹脂加工設備がありますが、国内でもこの4設備を全て備える工場は、あまり例がありません。これらの組み合わせで新しい付加価値商品を開発することに力を入れます。とくにラミネーティングは樹脂押出し方式の設備を有しており、様々な活用の可能性が期待できます。商品開発と同時に用途開拓も重要になります。シート材は、まだまだ様々な用途に使用される可能性を秘めた商品だと考えています。

 

─中期経営計画最終年度となる2015年3月期でのカンボウプラスの目標をお聞かせください。

2012年3月期の実績が売上高69億円でした。これを80億円までもっていきたい。これは“リーマン・ショック”以前の水準です。なんとかそこまで回復させることが今回の中期計画での目標となります。そのため新商品として機能性シート商品に注力していきます。カンボウプラスの強みは、どんなシート商品でもお客様のニーズに対応できること。そのための生産・加工設備があります。その強みを今後も生かしていくことが大切です。

 

─新社長として、カンボウプラスをどのような会社にしていきたいですか。

「良い会社」にしたいというのは当然ですが、「良い会社」には、様々な定義があります。わたしとしては、従業員が“ずっとこの会社で働きたい。将来、自分の子供も働かせたい”と感じるような会社にしたいですね。そのためには、なにごとも従業員と話し合いながら、ひとつひとつ信頼を築き上げていくしか方法はないでしょう。そんなカンボウプラスでありたいと考えています。