メーンターゲットは米国、中国

産業機械事業のオーエム製作所は、6月26日付で大森博社長が新たに就任しました。ダイワボウホールディングスの取締役専務執行役員として産業機械事業を統括します。立旋盤など工作機械需要の拡大が期待できる米国市場や中国市場をメーンターゲットに、海外市場へのさらなる挑戦を進めます。

 

 

─ 現在の事業環境をどのように見ておられますか。

前期までは工作機械の国内販売が航空機関連を中心に活況でしたが、需要も一巡する公算が大きいことから、これまで以上に海外市場に目を向ける必要があります。メーンターゲットとなるのは米国と中国です。なかでも米国の航空機関連は需要が1.5倍から2倍の規模になるとも言われていますから重点的に販売を促進する戦略です。


─ 米国市場は昨今、シェールガスなどオイル関連で立旋盤の需要が高まっています。

米国は従来、現地法人であるO-M(USA)を中心に販売代理店の統括やメンテナンス業務を行ってきました。ヒューストンを中心とした南部地区でオイル関連企業への販売実績を重ねています。今後は、東部地区や中西部地区の航空機や重電関連の企業への立旋盤販売を拡大するため、新たな販社をシカゴに設立することも検討しています。


─ 中国市場はいかがですか。

現地法人のオーエム上海の活用が重要です。8月頃にはショールームも開設し、中国でも実機を見ることができるようにします。見本市にも積極的に出展し、中国市場で「OM」の知名度、ブランド力を高めてまいります。中国市場も産業機械や航空機、重電といった分野で立旋盤の需要が伸びてきます。また、台湾の台湾オーエムでは汎用機を生産していますが、ECFA(両岸経済協力枠組協定)によって中国本土への輸出は非関税となりますから、その強みを生かさなければなりません。中国企業だけでなく中国本土に進出している台湾企業もターゲットです。
 

 

─ 国内でも長岡工場に新工場を建設するなど積極的に投資しました。

長岡新工場は本年7月23日に竣工しました。シェールガス関連などで必要とされる立旋盤の大型化が進んでいますから、新工場ではテーブル径5mから8mの大型機を生産します。大型機生産への対応力を高めることに加え、工場内での物流効率もアップし、立旋盤の生産能力は従来より約40%拡大します。
 

 

─ 包装機など自動機械事業はいかがですか。

苦戦が続いていますが、製品別の収益管理を強化し利益面の改善を進めます。また、包装機だけでなく、新しい分野の機械へも参入しなければなりません。昨年から自動機械事業の再生プロジェクトもスタートしました。取引先、営業、工場のパイプをさらに太くすることで生産効率を向上させます。自動機械事業でも海外市場の開拓が必要です。とくに中国では人件費の上昇や品質・安全管理の面からも自動包装機のニーズが高まることから、同国に対して積極的な販売活動を行ってまいります。
 

 

─ 来期から新しい中期経営計画が始まります。

現中期計画は、利益面では1年目は計画を上回りましたが、2年目は増収増益となるものの、自動機械部門の苦戦により計画を下回りました。最終年度となる今期は一段と販売に力を入れることが不可欠です。その上で次期中計では、グローバルな業容拡大が大きなテーマになります。台湾での生産に加えて、海外調達も増やしていきたいですし、米国での販売拡大や中国市場の開拓を進め、売上高に占める海外比率を40%まで高めたいと考えております。そのために海外でのブランド力強化が欠かせません。見本市への出展やショールームの拡充、アフターサービスの充実を進めます。また、次世代に向けて、とくに自動化に焦点を当てた機種の開発を進めます。そのためにダイワボウグループとの協業が欠かせません。すでにディーアイエスソリューションと連携して立旋盤稼働時に発生する切粉の検知システムの開発なども進めています。
 

 

─ 今後、どのようなオーエム製作所を作っていきたいとお考えですか。

しっかり利益を出せる会社が目標です。そのためには、従業員が働きやすい環境を作ることが重要ですし、取引先とのコミュニケーションがスムーズに行える会社にしたいと考えています。
 

 

オーエム製作所

長岡新工場が竣工 増大する大型立旋盤需要に対応し売上拡大

 

新設備の竣工式

オーエム製作所は、長岡工場に約14億円を投じて新工場棟を増設しました。7月23日には大森社長他オーエム製作所幹部、工事関係者が参加し、無事に竣工式を執り行いました。

長岡工場では大型立旋盤や鉄道向け床下車輪旋盤など専用機を生産していますが、新型ジェット機など、航空機市場の拡大や新興国を中心としたインフラ需要の拡大によって大型立旋盤の需要が増大しており、さらに重電業界をはじめエネルギー関連業界や米国のシェールガス革命によりテーブル径3m以上の大型立旋盤の需要拡大が見込まれています。

こうした状況に対応するため、長岡工場に新工場棟を増設しました。新工場棟は建物面積2860平方m(長さ100m、幅25m、高さ25mと18mの2段)です。新工場棟の増設によって大型機組み立てスペースの拡大や生産工程の効率化、加工設備の更新も進め、生産能力の増強とリードタイムの短縮が可能になります。

 

 

オーエム製作所では、長岡工場の増設によって大型機の比率を高め、大型立旋盤はユーザーニーズに合わせて長岡工場、オーエム金属工業のほか、台湾オーエムの国内外3拠点で柔軟に生産できる体制の整備を進め売上高の拡大を図ってまいります。