ダイワボウグループの紡織テキスタイル・製品事業は、ダイワボウノイを中核に、国内外のグループ会社が有機的に連携し合う構造になっています。ダイワボウホールディングスの取締役に就任し、同事業を統括する門前英樹ダイワボウノイ社長に、今後の方針をうかがいました。

 

 

──ダイワボウレーヨンに加え、ダイワボウポリテックなどとのグループ内連携もかなり進んでいるようですが。

■門前
両社からの機能性素材は大きな力になっています。今年度計画で増収を見込んでいますが、これが、最大の要素です。グループ企業間連携によって、取り扱い素材の幅が広がったことですね。
祖業のコットンに加え、ダイワボウレーヨンの弱酸性・消臭機能などを有した「パラモス」、そしてダイワボウポリテック「ウォームプロPP」などの活用が始まり、これらが大きなパワーになりつつあります。これらの素材を活用した機能性インナーの拡販が、増収策の最大の目玉です。
二つ目の要素は、米国の中量販店の回復基調を受けて、米国向けトランクス輸出が拡大していることです。
トランクスの生産拠点であるインドネシアのダヤニガーメントの生産能力も、増やすことになるでしょう。
三つ目は、多機能マスクで切り拓いたメディカル関連分野を、除菌剤などで深耕することです。
そして四つ目が、ダイワボウアドバンス、西明の両アパレル販社との取り組みの拡大です。

 

──厳しい環境下のテキスタイルについても、販売規模を維持する方針を掲げていますね。

■門前
顧客を新規開拓することも大事ですが、それ以上に既存のお客様との取り組みを深耕することを重視します。取り組みを深める中で、製品納入に絡める部分があればどんどん取り組んでいきます。また、既存のお客様にも新素材を積極的に提案するつもりです。

 

──ダイワボウアドバンスが、新しい試みを打ち出すそうですね。

■門前
アドバンスはライセンス・ブランド商品の展開が中心ですが、ODM(オリ
ジナル・デザイン・マニュファクチャリング)的な提案もしてみようと思っています。
ノイの機能素材、機能加工には、「エコ」「安全・快適」「便利」など、アドバンスが持つブランドのイメージに合うのがたくさんあります。それを、アドバンスの展示会でもお見せしようと思っています。そうすれば、このブランドのこの商品にこの素材を使ってみてよとか、
この加工を施してみてよとかの要望がバイヤーさんから出てくると思います。そんな要望
にも対応するつもりです。

 

──中国では、蘇州大和針織服装でカットソーやコートを、大和紡工業(蘇州)で成形イン
ナーをそれぞれ日本向けに製造していますが、それらを中国市場へも販売する計画ですね。

■門前
大和紡工業(蘇州)が内販権を持っているので、そこを拠点に今期中に何らかの形で中国内販を実現するつもりです。来年度は、大和紡工業から欧米への輸出にも取り組みます。
その次のステップでは、香港に統括会社を持つことが必要になるでしょう。3年間でそ
の段階に行きたいですね。