トップブランドとしての存在感高める 技術技能の継承・人材育成にも注力

 

今期から始まった経営3カ年計画「イノベーション21」第二次計画。ITインフラ流通事業、産業機械事業、繊維事業、関連事業それぞれの事業統括に計画達成に向けた課題と戦略を語っていただきました。

─ 新しい中計が始まりましたが、産業機械事業の課題と方針をお聞かせください。

前期までは好調な売上高となりましたが、これは助成金などの関係で航空機関連分野での前倒し受注があったためです。逆に今年は、その反動があります。このため中期経営計画初年度である今期は慎重な計画としました。まずは成長への基盤を固め、2年目からは毎年12%ずつの増収とし、最終年度に売上高を14年度比で20%拡大する計画です。営業利益率も最終年度は10%以上が目標です。そのためには生産性をどうやって高めていくか。最大の課題は人材です。当社はここ数年で社員の平均年齢が3~4歳は若返りました。20代の社員も多い。彼らにいかに技術技能を伝承させていくかが重要になります。そこで今期は人材教育に重点的に取り組みます。そのために組織も変えました。また、工場内の物流システムや工程管理も見直しています。こうした「モノづくりの再構築」が中計のひとつめの基本戦略です。そうやってベースを作ったうえで16年度、17年度は「グローバル展開」「新規事業」を加速させます。
 

 

─ 海外拠点の拡充も進みました。

米国ではシカゴに米国子会社であるO-M(U.S.A.)、現地ディーラーのJapan Machine Tools, Corporation (以下JMT)、そしてKURAKIAMERICA CORPORATIONとの3社合弁で販売会社Japan Machine Tools Midwest, LLCを設立し拠点をおきました。2月から営業を開始していますが、シカゴのショールームで展示会も開き、好評です。セールスネットワークの整備も進めています。JMT Midwestを拠点に航空機関連への立旋盤販売拡大を目指します。2030年には米国の航空機生産量は2倍にまで拡大するとの予想もありますから、非常に有望な市場です。

中国も現地法人のオーエム上海がショールームも作り、立旋盤の実機を見せながらの提案を進めています。中国市場では「オーエム」のブランド力がまだ十分ではありませんので、この3年間でそれを作っていくことが重要です。
 

 

─ 新規事業についてお聞かせください。

中計で目標とする売上高を達成するには既存事業だけでは十分ではありません。そこでM&Aも含めて新規事業に挑戦したい。まずは立旋盤に関連する分野です。カーボン素材の加工機の開発に着手しました。航空機分野で専用機を開発する方向もあり得ます。また、自動機械事業でもM&Aを含めて周辺領域に事業を拡げ、産業機械事業への転換を進めます。

いずれの事業も最も大切なのは人材教育と安全です。そのための意識改革も進めます。また、ブランド力を高めるためにはオンリーワンの機械を開発していくしかありません。そのためにダイワボウグループとの協業や欧州企業とのアライアンスも検討しています。立旋盤のトップブランドとして存在感を高めることを目指します。