海外市場へ積極的に進出

 

─ 中期経営計画の最終年度もあとわずかです。産業機械事業の成果と課題をどのように分析されていますか。

当初は売上高230億円という極めて高い目標を計画していたのですが、新分野の開拓と新機種の販売が遅れたことや、拡大を目指していた中国市場で販売ネットワークを思い通りに広げられなかったこともあり残念ながら当初目標の数字には届いていません。自動包装機も採算的に厳しい案件が多かったことが逆風でした。ただ、中期経営計画の初年度(2012年)実績と比較すると、2014年度の売上高は1.28倍、営業利益は2倍の水準となる見通しです。大きな成果としては、工作機械事業で中国販社のオーエム上海を設立、またシカゴには新たに事務所を開設しそれぞれにショールームを併設したことにより、海外販売拠点の構築とさらなるサービスの提供を推進してきました。生産面では台湾オーエムで立旋盤の生産が本格化し、長岡工場の新工場棟の完成により大型立旋盤の生産能力を40%高めるなど、国内外の生産拠点で増産体制が整いました。その意味では次の3カ年計画に向けての道具立てがそろいました。あとは、そこにどうやって血を通わせ、受注拡大につなげていくかです。
 

 

─ 次期中計における産業機械事業の構想をお聞かせください。

2017年度には売上高200億円、営業利益率は現状の6%を10%以上にまで高めることが目標となります。そのためには、国内市場だけでは限りがありますので、海外市場の開拓が欠かせません。今次中期経営計画で掲げた「グローバル市場での業容拡大」「次世代商品の開発」「モノづくり力の強化」という基本方針を継続します。

「グローバル市場での業容拡大」では、シカゴに新設したショールームの活用が重要です。立旋盤はこれまで米国南部を中心にエネルギー関連などで販売を伸ばしてきており、加えてシカゴを拠点に中西部・東部市場で航空機や建機関連の受注拡大を進めます。そのために技術者を常駐させていますし、営業専任の現地スタッフも配置しました。今後、シカゴに新たな販社を設立することも検討しています。

中国では上海のショールームに実機を置き、ディーラー網の拡充を進めます。近年、中国では韓国・台湾製立旋盤を使っている企業のなかに品質面の不満から当社に引き合いを寄せるケースが増えていますので、こうした企業の設備更新や新規導入の需要を取り込むことが重要です。また、自動包装機に関しても中国で開催される展示会に積極的に出展し、中国での当社のブランド力を高めなければなりません。中国は人件費上昇や安全性の面から包装の自動化ニーズが高まってくるでしょう。

 

 

 

長岡工場の新工場棟も完成

─ 次世代機の開発も重要ですね。

ユーザーの悩みや課題を解決する付加価値を持った機種の開発を進めます。例えば立旋盤ではすでに高圧クーラント搭載機や、ダイワボウ情報システムとの協業で開発した切粉検知装置搭載機も好評です。特許も出願中ですので、今後、早期の実用化を目指します。航空機分野などでは予防保全の仕組みが重視されますので、そのためのソフトウェア開発も進めています。そのほか、カーボン関連の加工機の開発も進めます。


─ 長岡工場の増強など「モノづくり力の強化」も進みました。

次期中期経営計画で目標とする売上高200億円を実現するためには、長岡工場も高い稼働率が求められますので大型立旋盤の生産効率をどれだけ高めていけるかが大切です。そのためには工場内の物流管理の強化などが重要になります。同時に品質の維持・向上のための設備投資が次の3カ年では重要な課題となります。

モノづくり力の強化で最も大切なのは人材育成です。当社は社員の平均年齢が30歳代と若返りが進んでいますので技術継承が極めて重要です。そこで定年退職した技術者に指導役として会社に残ってもらう取り組みを進めています。また、同時にOJTによる多能工化も進めています。

何よりもメーカーは“安全”が第一です。これが確保できなければ、品質の向上も不可能です。安全のためには職場でのコミュニケーションをしっかりと取り、PDCAを回していくことが欠かせません。海外での事業展開も拡大していますので、国内外のすべての事業所で安全のための取り組みを強化していきます。