繊維事業 展示会活用で発信、新たなニーズ創出へ

繊維事業は、ダイワボウノイ、ダイワボウポリテック、ダイワボウプログレス、ダイワボウレーヨン、ダイワボウアドバンス、カンボウプラスの主要6事業会社を中心にグループ協業による新商品開発と新たな市場創出に努め、様々な成果が上がっています。
 

 

 

 

「先端繊維素材展示会」でも
注目を集めました

ポリプロピレンの用途を広げる「デューロン」

グループ協業によって生み出された素材の代表がセルロース系繊維対応ポリプロピレン(PP)短繊維「デューロン」です。PPは資材分野では一般的な素材であり、ダイワボウポリテックが早くから播磨工場で短繊維を生産し、不織布用途などに販売してきました。比重が水より軽く、公定水分率がゼロ。速乾性や断熱性も高い特徴があります。こうした特徴と綿やレーヨンなどセルロース系繊維が持つソフトな風合い、吸湿性を合わせ持つ複合素材の開発は早くから注目されていましたが、加熱により自然発火する恐れがあることなどから、日本化学繊維協会が「衣料用及び寝装用に使用する際セルロース系繊維と混用しない」との自主規制を行ってきました。また、原着でしか染色できないという性質も、様々な色柄が求められる衣料用途での普及を妨げる要因でした。

こうした課題に対して、ダイワボウノイとダイワボウポリテックが協業し、セルロース系繊維と混用しても安全なPP繊維を開発し、衣料用途に展開する道筋を開きます。そして2012年に日本化学繊維協会の自主規制が改正され、厳格な管理のもとでPP・セルロース混素材の製造が解禁されました。ダイワボウノイは現在、ダイワボウポリテックと協力してPP・セルロース繊維複合素材を多数開発しています。衣料用のPP短繊維を「デューロン」ブランドとして衣料品分野への提案を進め、高い評価を得ています。軽量性を始めとした快適性やイージーケア性は、衣料素材へ展開する上で、必ず求められる付加価値要素になっているため、セルロースとPPを複合できるようになったことは大きな意味があります。例えば、デニムアイテムであれば、経糸を綿糸、緯糸に「デューロン」を使用することで、素材の軽さを表現することが出来る上に、疎水性によるさわやかなタッチをもった、綿100%のデニムとは違う機能性に富んだ新感覚の素材として提案できます。このほかニット調のデニムライクな織物や刺子織などもそろえ、カジュアル衣料展開に向け、バリエーションを広げています。

グループを超えたコラボレーションも始まりました。ダイワボウグループでは、PP長繊維を製造販売する三菱レイヨングループのMRCパイレン株式会社と技術開発・販売促進で協業し、機能性に加えて“安心・安全”を前面に打ち出していきます。素材開発でのグループ内連携、販促・技術開発での社外協業によってPP繊維が活躍できる用途を広げようとしています。
 

 

 

まったく新しい機能を持つ
「マーキュリーC」

自己治癒する強化繊維「マーキュリーC」

PPを活用した先端素材開発は産業資材分野でも進みました。その一つが、ダイワボウポリテックが開発したコンクリートのひび割れを自己治癒させるコンクリート用強化繊維「マーキュリーC」です。十字異形断面PP繊維と特殊な表面改質技術を組み合わせ、炭酸カルシウム(コンクリートの基になるセメント構成原料の一部成分)を析出しやすい状況を形成し、コンクリートのひび割れを自己治癒させる繊維です。「自己治癒させる」という機能や概念は従来のコンクリート用強化繊維には無いだけに画期的な商品と言え、その効果の確認には、大学など研究機関との共同研究が欠かせませんでした。

炭素繊維とPP繊維を複合した中間材の開発も進行中です。炭素繊維とPPなど熱可塑性樹脂による複合材料は自動車用途などで需要拡大が期待できます。その際、ポイントになるのが成形加工であり、高い生産性を持った技術の確立が必須。大学などとの共同研究を進めています。

 

 

「RADIEX2014」で
復興支援関連商品を紹介

こうした先端素材や技術は、展示会などを通じて積極的に発信しています。繊維学会が昨年9月29日から10月1日まで東京ファッションタウンで開催した新繊維技術展示会や、同展と併催の先端繊維素材展示会(日本化学繊維協会が企画)にもダイワボウグループとして出展し、注目を集めました。そのほか、昨年開かれた除染技術展示会「RADIEX2014 環境放射能対策・廃棄物処理国際展」にも出展し、ダイワボウプログレスが除染廃棄物仮置き場用通路シート「エアースカイ」、ダイワボウノイが汚染物質吸着関連商品として「プルシアンガードマスク」を出展するなど、ダイワボウグループの震災復興支援関連の製品展示や除染関連技術を紹介しました。

こうした革新性の高い素材での産学連携、社内外での協業は、新たなニーズを創出します。様々な展示会を活用することで、お客様とともに用途開発を進めてまいります。