Neo-EX Series

産業機械事業の株式会社オーエム製作所は、中期経営計画の最終事業年度となる2015年3月期には現在16%の海外売上高比率を40%に高めることを目指しています。その中核となるのが台湾子会社、台灣鷗愛慕股份有限公司(台湾オーエム)。現在、新工場も建設中です。新工場で生産する立旋盤のアジア向け戦略機で中国本土や米国市場での販売拡大を進める計画です。

 

“日本の品質・サービス”を世界に発信する産業機械事業

台湾を起点に日本、中国、米国市場をつなげる

近年、中国や東南アジア諸国では社会インフラ整備が急ピッチで進んでおり、オーエム製作所の主力商品である立旋盤によって部品を製造する建機やエネルギー関連設備の需要が急速に高まってきました。こうしたニーズに対応するため、2010年7月に台灣鷗愛慕股份有限公司(台湾オーエム)を設立し、入門機となる中型立旋盤「OM-REXER」の製造を開始しました。

「OM-REXER」は、現地で技術指導を行いながら台湾企業で委託生産することで価格を抑えたアジア向けの戦略機です。最大のターゲット市場となるのが中国。現在、中国と台湾は両岸経済協力枠組協定(ECFA)によって関税が免除されおり、台湾から中国本土に機械を輸出する環境にも優れます。

中国のユーザー企業からは一段と高度なニーズに対応する機種への要望も強まりました。このため現在、台湾オーエムは台湾・南投市に新工場を建設中です。2013年2月に完成予定で、汎用性を高めたアジア向け戦略機「Neo-EX」シリーズを生産します。「Neo-EX」は、日本で製造し、好評の主力立旋盤「VTLex」シリーズの廉価版として開発したもの。中国だけでなく、インドネシアなどアセアン諸国にも積極的に販売する計画です。台湾の自社工場で生産する戦略機を投入することで、アジア市場でのオーエム製作所のブランド力を高めることも目指します。

台湾オーエムで生産する「Neo-EX」は、米国にも輸出する計画です。すでに米国子会社のO-M(USA),INC.が中心になって提案を進めており、2012年8月にニュージャージー州に開設したショールームにも展示する予定。米国は現在でも工作機械の大きな市場。台湾を起点に日本と中国・アジア、そして北米をつなぐネットワークが完成しようとしています。

もうひとつの主力機械である自動包装機も海外市場の開拓が大きなテーマ。ユーザー企業の多くが海外に生産工場を作る動きを強めていることから、新たな商機が生まれつつあります。そのために中国や東南アジアで開催される展示会などにも積極的に参加し、需要創出に取り組むなど、オーエム製作所も海外戦略が加速しています。

 

品質、納期対応、サービスに勝機

 

オーエム製作所では海外販売の拡大を中期経営計画の重点課題に掲げており、アジアの現地メーカーと競争するためには大幅なコストダウンが必要でした。

このため台湾での現地生産に踏みきったわけです。それでも現地メーカー機に比べれば、当社の機械は高価格です。しかし、重要なのは品質と納期対応、そしてメンテナンスなどアフターサービス・サポート体制です。中国のメーカーなどは、こういった分野が不得意ですから、そこに当社の勝機があると言えます。すでにオーエム製作所は技術者を海外に常駐させ、アフターサービス・サポート体制を築いてきました。こうした点を評価いただき、当社の機械を導入した海外企業も増えています。

今後、とくに大きな市場となるのは中国ですが、インドネシア、さらにインドなども期待できる市場です。また、米国も航空機業界やシェールガス革命によって当社の機械が得意とするエネルギー関連分野での受注が増加しており、今後も需要拡大が期待できます。

工作機械の分野で世界的なブランド力を築くことが最終目標となりますが、そのためには実績が必要。やはり品質とユーザーに対する技術サポートなどにも力を入れ、周辺機器の提案も含めて、加工ノウハウの提供までできるような事業を目指します。