ITインフラ流通、繊維、産業機械の各事業の実績をリードした部門に、2018年度の成果と課題、それぞれの事業の中で今後目指していく役割について話を聞きました。

 

人材育成と海外シェア拡大に取り組む

産業インフラに貢献し、従業員が誇ることのできる事業に

 

─ 営業本部の事業内容についてご紹介ください。

 

当社では、工作機械の製造販売をしています。工作機械はマザーマシンとも呼ばれ、機械を作るための機械です。その中でも、工作物を水平方向に回転するテーブルに取り付けて切削する立旋盤を主力としています。立旋盤は重化学工業などの産業を中心に活用される機械で、特に国内の主要重電メーカーの発電設備向けに大型製品を多用いただいています。主に自動車タイヤの製造に使う金型、航空機エンジン、圧縮機、大型ベアリングなどの製造で需要があります。最近では航空機関連やロケット部品などの航空宇宙関連の分野が拡大しており、当社売上高の50%を占めるまでになりました。国内の航空宇宙分野向けでは当社の立旋盤が90%のシェアを持っており、最先端技術を持つ顧客のニーズに対応することが、当社の技術力向上の源泉になっています。


─ 2018年度を振り返っての成果と課題は。

米中貿易摩擦の影響が後半に見られましたが、それでも国内景気に後押しされて受注、売上高、利益ともに計画を達成することができました。特に航空宇宙分野の好調が全体をリードしました。また中国では、一帯一路政策による設備投資が活況で、風力発電や鉄道関連の用途において好調が続きました。一方、課題は人材の不足です。営業、生産、管理の各部門とも人材の確保と育成に取り組むことが急務となっています。

 

─ 2019年度の重点方針をお聞かせください。

 

最大のテーマは人材育成です。各部門とも具体的な教育訓練計画を立てて取り組んでいます。営業本部では、販売先の業界ごとに独自教材を作成し、国内外の若手社員のスキルアップに活用しました。また、米中貿易摩擦による世界経済の先行き不透明感も今後の懸念材料です。その中で ①人材育成によるソリューション営業を基にお客様の利益につながる提案の実施 ②メーカーとして人材育成によるQCD(品質・コスト・納期)をさらに追求した提案 ③重点業界である航空宇宙分野でのシェア拡大、国内鉄道インフラ整備に向けた需要確保、今後の活況が予想される風力発電の旋回輪分野の需要確保 ④バブル期に納入した機械の更新需要確保─ の4項目に重点的に取り組みます。

海外シェアの拡大も重要です。米国子会社のO-M(USA)の拠点がイリノイ州シカゴにあることから、米国中西部からカナダにかけて航空機・宇宙関連を中心として販売拡大に取り組みます。また、中国市場では、これまで韓国製や台湾製の立旋盤を使用する企業が多く、より精度の高い加工に挑戦しようとしている企業に対して、当社の立旋盤を提案するなどアプローチを強化します。

 

 

 

─ 今後、産業機械事業の中でどのような役割を担うことを目指していますか。

 

当社は、高精度で高付加価値の工作機械を扱っています。その強みを生かし、生産台数としては少なくとも利益率の高い製品作りを目指します。また、航空宇宙分野などの世界的に重要かつ先進的な分野に対して、当社が供給責任を果たすことで産業インフラの一翼を担い、社会創造に貢献していきます。それが従業員にとっても誇りが持てる事業であり続けることにつながると考えています。