ダイワボウグループにとって、ITインフラ流通事業はコア事業の一つです。ダイワボウ情報システム社長としてITインフラ流通事業を統括する野上義博取締役常務執行役員にダイワボウホールディングスへの統合を経ての手応えと、今後の抱負をうかがいました。

 

 

──ダイワボウとダイワボウ情報システム(DIS)が統合し、ほぼ1年がたちましたが、いろいろ変化も生まれているようです。

■野上
設立の経緯からしてDISには、ダイワボウは親会社という意識がもともとありました。とくに若い社員にその傾向がありました。しかし、統合して1年が経ち、ダイワボウは単なる親会社ではなく、パートナーとして一緒にやっていく会社、一つの企業体だという意識が高まり、距離感が縮まってきました。もちろん十分に互いが分かり合えるほど理解が進んだのかといえば、まだまだな部分もありますが、これからますます相互理解が加速すると思います。

 

 

──すでに具体的な動きもあるとか。

■野上
まだ一部ですが、組織としての連携もできつつあります。例えば、昨年4月にダイワボウホールディングスに戦略事業推進室が設置されましたが、この7月にDIS本社内に実行部隊を置きグループ内連携を更に進めることになっています。ここにDISとしても積極的に参加し、今後の連携の可能性を議論することになります。これが具体的な連携の入り口であり出口となるでしょう。
DISは17,000社の販売先を持っていますが、お客様のほとんどがIT関連の販売先です。こういったお客様に、例えば繊維製品を販売することができるのかといえばDISのスタッフに、その知識が不足していますので、実際は難しい面もあります。しかし、可能性はゼロではありません。今後、グループ全体で交流し、上手くドッキングできるところが出てくることは大いにあるでしょう。

 

 

──見えないところでの統合メリットもありますね。

■野上
ダイワボウホールディングスの一員となったことでメーカー的な考え方がDISに伝わってきたことは大変メリットのあることですし、ホールディングスがDISの事業を理解してくれているので、新しいことにチャレンジする自由度も高まっています。その意味では、経営統合は新しい成長のキッカケになったと考えています。

 

──今後の戦略を。

■野上
これからは、すでにIT投資を実施したクライアントに対して、利便性なのかコストなのか新たな提案をしていかなければなりません。IT分野の変化も始まっています。クラウドコンピューティングなどの言葉が頻繁に登場するようになったのは典型的ですね。

 

──原点回帰と組織力を方針として掲げておられるそうですが。

■野上
今まで外部要因もあって、結果として売上を大きく伸ばしてきましたが、今までの延長線では成長できない時代になっています。改めてそれぞれが自分の役割を認識し、何をすべきかを考えて実践すること。一人ひとりの価値を高め、組織の力として結集し、売上目標を高く掲げ、堂々と達成することが大事です。
このため、結果に加えて、そこに至る過程の重要性が高まってきます。従来のように期末や月末の大口案件を獲得することを期待する営業スタイルから、プレゼン・成約・納品のプロセスをきっちり検証しながら、お客様の問題解決までしっかり見届けること。これが次の売上につながります。小さくとも毎月コツコツと成果を挙げていくことが大切になってきました。

 

──中長期的な視点からの取り組みも進めやすくなったわけですね。

■野上
そうですね。意識の変化など目に見えないものも含めて、連携の強みを生かして、今後も新しいことにチャレンジしていきます。そうすることで、もっともっと統合の成果を上げていきたいと考えています。