ダイワボウプログレス、ダイワボウポリテック、カンボウプラス、ダイワボウレーヨンなどが展開する化合繊・産業資材事業は、ダイワボウグループを支える重要な柱の一つです。ダイワボウホールディングス取締役に就任し、化合繊・産業資材事業を統括することになった柏田民夫カンボウプラス社長に、抱負をうかがいました。

 

 

──ダイワボウホールディングスの取締役として、化合繊・産業資材事業を統括されます。

■柏田
身の引き締まる思いです。いかにしてグループの総合力を向上させるかが私の任務だと思っています。総合力を向上させるには、互いに理解し合う必要があります。まずは、工場現場の技術職がいかにして交流を深めるかに取り組みます。
各社のモノ作りの技術を持ち寄るなど、連携できる部分も少なくないと思います。それによって商品開発に厚みを出すことができるはずです。そんな事例を引き出せればと思っています。
まずは互いを良く知ることです。今までホールディングスの知的財産や品質管理委員会の責任者を務めてきました。現場の技術者の交流は、互いを良く知るうえで、責任者の交流より効果的だと思っています。

 

──グループ各社の工場を訪ねていると聞いています。

■柏田
私自身も知っているようで知らないことがたくさんありますから。カンボウプラスについていえば、利益の源泉はやはり工場の力です。工場のやる気が事業の発展を大きく左右します。製造現場の思いを発露させることは大切だと考えています。
それぞれ製造する商品が原材料なのか、受託品なのか、最終製品かで、どこがキーとなるかは違うかもしれませんが、現場がしっかりしなければ商品は納期どおり納められないし、品質が悪ければ問題となります。その点で、現場の力を引き出せるような方策を採っていきたいと考えています。
そのためにまず、グループ各社の工場を訪ね、工場の智恵や工夫がどう生かされているのか、そしてそのことがどう評価されているのかを聞いてみるつもりです。仮に、製造部門の思いと営業部門の認識にずれがあるようでしたら、両者の橋渡し役になりたいですね。

 

──カンボウプラスの今期業績は、これまでのところ計画通りに推移しています。

■柏田
新たな課題も生じています。お客様の品質要求が一段と厳しくなったことです。
これまで合格点とされていた品質が、不合格とされるケースが発生しています。お客様との品質基準についてのより綿密なすり合わせと、商品設計段階からの見直しが必要になっています。
このような課題は、他の化合繊・産業資材事業会社も程度の差はあれ抱えている問題だと考えます。このような傾向や伝達しにくい情報、そしてインフォーマルな情報まで共有することができれば、トラブルを未然に防止し、将来へ的確に対応することができますね。

 

──グローバル展開の加速も、グループにとっての重要な課題です。

■柏田
カンボウプラスが主力とする重布も、国内と海外では根本的に幅の違いがあります。そこでドイツ企業と技術提携・技術指導を行い、広幅重布を生産してもらうことになりました。
これをアジア市場については当社が販売します。
ここで、単独進出で時間をロスするより、例えばダイワボウがインドネシア・中国に拠点を持っている。これを利用させていただくことも検討しなければなりません。
このようなグローバル展開も、グループ各社に共通した課題です。情報を共有し、無駄なく、積極的に取り組みたいですね。