昨年度からスタートした中期経営計画「イノベーション21」第三次計画が、2年目の終盤に差し掛かっています。2020年3月期の第2四半期決算(4~9月)は、上期として売上・利益ともに過去最高業績を大きく更新しました。野上義博社長に、業績を振り返っていただくとともに2020年の展望を伺いました。

 

 

─ 明けましておめでとうございます。まずは上期の振り返りをお願いします。

 

明けましておめでとうございます。昨年は、当社グループにとって、業績面で大きな飛躍を実現した一年でした。2020年3月期の上期業績は、主力のITインフラ流通事業が業績を牽引したことで、売上高4,720億円(前年同期比33.8%増)、営業利益158億円(同89.5%増)、経常利益158億円(同91.8%増)と、前年に引き続き過去最高となり、計画を大きく上回ることができました。

ITインフラ流通事業では、Windows7サポート終了に伴うPCの更新需要に加えて、働き方改革や生産性向上に伴うIT投資が活況となる中、全国の需要動向を的確に捉え、増収増益となりました。特にPCの出荷台数は203万9千台と大幅に増加し、更新需要が本格化する以前の通期出荷台数を、わずか半年間で上回る実績となりました。上期国内PC出荷台数に対する当社のシェアは25.9%、法人向けでは32.6%となり、国内の法人向けPCの3台に1台程度は当社が関与していることを表しています(MM総研調査結果より算出)。PC本体の販売でマーケットシェアを着実に伸ばしつつ、あわせて周辺機器やソフトウェアの複合提案を推進したことが功を奏して、売上拡大および利益確保につながりました。

繊維事業では、産業資材部門は土木資材および工業資材の販売増加により堅調に推移し、衣料製品部門はアパレル不況の環境下にかかわらず販路を拡大しましたが、合繊・レーヨン部門での需要減および価格競争の激化が顕著となっています。産業機械事業においては、主力の立旋盤の売上高は航空機業界を中心に堅調に推移したものの、米中貿易摩擦などの影響により顧客の設備投資への慎重な姿勢が強まりつつある状況です。

 

─ 中期経営計画の見通しはいかがでしょうか。

 

中期経営計画「イノベーション21」第三次計画については、初年度に続いて第2年度である今期も大幅達成となる見込みです。しかしながら、最終年度においてITインフラ流通事業でのPC更新需要の反動減の影響は避けられないと考えています。いかにその影響を抑えて、中長期の成長曲線につなげていくかがテーマです。計画の基本方針である「ITインフラ流通事業のさらなる拡大」「繊維および産業機械事業での収益力強化」「コーポレート戦略推進による連結企業価値向上」の下、各事業における重点施策の着実な実行により、最終年度の計画達成に向けて取り組んでまいります。

 

─ 2020年の展望についてお聞かせください。

 

昨今、個人の消費行動やワークスタイルが多様化するとともに、新たなテクノロジーを活用したビジネスの高度化・効率化が顕著になってきました。2020年代が幕を開け、5GやAIに代表される技術革新により、今後も事業を取り巻く環境が劇的に変化していくことは間違いありません。当社グループもこの潮流を捉え、ビジネスモデルの創出や商品・サービスの開発につなげていくことが重要です。

一方で、2015年に国連で採択されたSDGs(国際社会において2030年までに達成すべき17項目の持続可能な開発目標)に代表されるように、地球環境の保護はもちろん、貧困や飢餓といった問題から、働きがいや経済成長に至るまで、さまざまな社会課題に企業としてどう向き合うかが問われています。当社グループは、こうした社会課題を意識した事業運営に取り組み、今後も社会に対する責任を果たしてまいります。

そして本年4月には、事業会社の合併により、繊維事業の中間純粋持株会社である大和紡績が、事業運営を主体とした事業持株会社へ移行します。これにより、当社グループは「ITインフラ流通事業」「繊維事業」「産業機械事業」の主要3事業において、それぞれの中核事業会社を中心に統一された事業管理体制となります。各事業における権限と責任の明確化により、さらなる経営基盤の強化につなげ、連結企業価値の向上を図ります。

当社グループは、変化の激しい事業環境において、すべてのステークホルダーを念頭においた幅広い社会貢献型経営を掲げ、新たな成長戦略の推進に向けた積極的な事業展開を目指してまいります。