ダイワボウホールディングスは今年4月から経営3カ年計画「イノベーション21」第二次計画をスタートさせました。また、6月26日開催の第105回定時株主総会と、その後の取締役会で代表取締役社長に野上義博氏が就任しました。新体制となり、改めて全社一丸となって第二次計画の達成に向けて全力を挙げています。野上社長に今後の抱負、第二次計画実行への課題と方針についてお話をうかがいました。

 

 

─ 2015年3月期で前中期経営計画「イノベーション21」第一次計画が終了しました。最終年度は連結売上高5661億円(前期比10・8%減)、営業利益82億円(同24・8%減)、経常利益79億円(同24・6%減)、純利益48億円(7・9%増)となりました。
中計の成果をどのようにお考えでしょうか。

前期比では減収減益となりましたが、事業全体として堅調に推移したと評価しています。

事業拡大・市場開拓の取り組みとして、外部パートナーとのアライアンスが大きく進展しました。ITインフラ流通事業では世界的なスマートフォンメーカーとの協業による携帯端末の販売や、国内通信会社と法人向け通信サービスでの協業に加え、ITサービス会社との協業によるストレージパッケージの販売も開始しました。繊維事業では化合繊・機能資材部門などで外部パートナーとのアライアンスが進展しており、現中期計画で大きな成果を上げる目途が立っています。産業機械事業でも米国シカゴで航空機関連産業をターゲットにした販売会社を3社合弁で設立しました。

また、ソリューション型ビジネスへの転換もようやく各事業に浸透し、成果も出ています。当社のソリューション型ビジネスは、顧客・ユーザーの立場からモノづくり・提案に徹するという高度なものです。ITインフラ流通事業においては中小企業が抱える問題解決のためのパッケージ製品であり、繊維事業では衛生製品などです。産業機械では人の勘に頼っていた作業内容・状況をモニタリングする製品をITインフラ流通事業とのコラボレーションで開発しました。
 

 

─ 4月から新しい中期経営計画「イノベーション21」第二次計画がスタートしました

前中計は、数値目標だった連結売上高6000億円を2年目に達成し、各事業・各事業会社のシナジー発揮に向けた意識改革も進みました。海外事業会社の設立や生産設備の増強を行い、国際マーケットで成長するための基盤整備も完了しました。これをベースに、さらなるステップアップを図るのが今次中計の目標です。基本方針として「成長が見込める市場、地域での事業拡大」「顧客価値創造型ビジネスへの進化」「国際マーケットにおけるコーポレートブランドの価値向上」の3点を掲げています。

ITインフラ流通事業では販売管理システムDIS-NETⅢを活用しPCや周辺機器の販売活動をパートナーと協業し拡大していきます。また、物流部門とサービス&サポート部門を統合したことにより、物流コストを下げ、ハードウェアの販売からユーザーへのきめ細やかなサポート体制を強化し、業務効率を進めてまいります。モバイル、通信、クラウドなど成長性の高い事業分野へも積極的に挑戦してまいります。

繊維事業においては、化合繊・機能資材事業では国内外の生産設備の増強が完了し、衛生材や建築・防災関連の市場への拡販体制を確立させます。また、海外事業ネットワークを活用した地産地消型ビジネスを進めてまいります。一方で衣料品・生活資材事業では脱コモディティ化を進め、収益体制を確立させるとともに、産学連携による開発素材を活用した独自商品の販売を進めてまいります。

産業機械事業においては長岡工場の増床による大型立旋盤の需要拡大への対応や台湾の生産拠点の効率的な活用により、国内外のニーズに柔軟に対応してまいります。また、米国に設立した販売会社を拠点に航空機分野や重電関連分野への販売を強化いたします。

景気は緩やかに回復していますが、依然として事業環境の先行きは不透明な状況にあります。当社は変化の激しい環境にスピーディーに対応し、時代の変化をリードする先駆性を持った企業体制を目指してまいります。

今後とも株主、取引先などステークホルダーの皆様には、引き続きご指導とご支援をお願いいたします。