7月1日付で機械メーカーのオーエム製作所が新たにダイワボウグループに加わりました。同社の起源は1949年に大和紡績の機械部門が分離独立した大和機械工業です。その後、合併によりオーエム紡機製作所と社名変更を経て大阪機械製作所と合併し、1960年に現在オーエム製作所となります。CNC立旋盤、自動包装機のトップメーカーとしてユーザーから高い評価を得てきました。現在、第4 次中期経営計画「AGGRESSIVE-21Ⅳ」を推進しており、2013年3月期には連結売上高150億円、営業利益27億円を目指します。

 

モノ作りを支える工作機械事業

 

オーエム製作所の代表的な工作機械がCNC立旋盤です。累計出荷台数は6000台を超えており、小型・中型の普及機から超大型のカスタムメイドマシンまでをそろえ、蓄積した技術でユーザーの求める性能を実現してきました。オーエム製作所の立旋盤は現在、建設機械やタービンなどエネルギープラント関連部材の製造になくてはならない存在となっています。
工作機械で培った技術は、様々な専用機でも発揮されています。例えば鉄道用CNC床下型車輪旋盤。鉄道車両は、通常の運行で加速・減速を繰り返し、どうしても車輪が磨耗・変形します。車輪旋盤は、こうした車輪のメンテナンスに欠かせない設備として、新幹線やJR在来線を始め、私鉄各社、地下鉄などで採用されています。
工作機械の開発・製造を担う長岡工場(新潟県長岡市)では、設計から製造、修理などアフターサービスまで総合的なエンジニアリング事業を行っており、蓄積した“匠の技”を受け継ぎ続けています。

 

ユーザーとともに歩んだ 自動包装機

 

自動包装機もオーエム製作所を代表する製品です。自動小箱詰め機(カートナー)、中間包装機、段ボールケーサーなど多様な種類の自動包装機を製造しており、食品や製薬業界で活躍しています。オーエム製作所の自動包装機は1950年代に石鹸メーカーからの要望に応え開発・販売したことに始まります。以来、フィルム、衛生製品、食品、I T 製品など様々な用途に自動包装機を提供してきました。
事業の出発点が象徴するように、つねにユーザー企業の要望に応え、ユーザー企業の発展とともに歩んできたのがオーエム製作所の自動包装機事業なのです。現在は宍道工場(島根県松江市)で「省エネ・省スペース」など時代のニーズにマッチした新機種の開発を日夜進めています。

 

グローバル展開で 新たなステージに

ユーザー企業のグローバル展開が加速するなか、オーエム製作所も海外販売の拡大が大きなテーマであり、現中期計画では「海外展開の推進」を最大の目標に掲げています。現在、米国には現地法人、O-M(USA)があり、技術スタッフが常駐することでサービス業務の高度化を進めています。
そして昨年7 月、台湾に全額出資でTAIWAN O-Mを設立しました。テーブル径1.6メートルと2メートルのCNC立旋盤を受託生産しています。機構を簡素化した普及機を現地生産することで、とくにアジア市場で需要の高まる汎用立旋盤の販売拡大を進めます。現在、台湾と中国の間は経済協力枠組み協定(ECFA)により関税が段階的に引き下げられることから、成長著しい中国市場の開拓が期待されます。
ダイワボウグループに加わったことで、海外販売での相乗効果に大きな期待がよせられています。中国や東南アジア市場に参入するために、これまでダイワボウグループが構築してきた海外インフラを活用できるからです。今回、ダイワボウホールディングスの一員となったことで、オーエム製作所も新たなステージに向けてスタートを切りました。

グループ連携で輸出比率 30%を目指します

 

オーエム製作所は、そのルーツのひとつには、大和紡績の紡機製造部門を起源に持っています。もう一方は、長岡鉄工所組合。これが今の長岡工場の前身であり、立旋盤の拠点となっています。事業運営では、これまで培ってきたコア技術の伝承を第一に考え、ニッチですが立旋盤を中心とした工作機械と、自動包装機で業容を拡大してきました。しかし、現代のグローバル化のなかでユーザーも生産拠点を海外で拡大していることから、当社も事業の立ち位置も海外に求めることが必要になっています。
現在、中期経営計画「AGGRESSIVE-21」の第4次計画を実行中ですが、ここでの基本戦略はグループ総合力の推進と開発体制の強化、そしてグローバル展開です。今期中期計画期間中に輸出比率30%という目標を立てています。そのため現在、米国と中国の拠点で技術者が常駐するなどサービス・メンテナンス体制の強化も進めました。とくに中国市場に対しては、建機やタービン製造向けに大型立旋盤の機種をそろえています。コストダウンと納期対応強化のために既存機種のシリーズ化などにも取り組みました。
さらに、超大型立施盤市場の拡がりが見込めることから、新たに直径8メートル級の立旋盤まで生産可能な設備投資を行いました。
中国だけでなく、次の市場として東南アジアがあります。そこでダイワボウグループがこれまで構築してきたインドネシアでのネットワークが生きると考えています。今回、ダイワボウホールディングスがインドネシアに駐在員事務所を開設しました。当社としても期待膨らむ思いです。
また、自動包装機ではダイワボウ情報システムが持つ情報の活用を期待しています。既存の食品や製薬業界だけでなく、最近ではパソコン関連用品でも当社の自動包装機の需要が増えてきました。これから、ダイワボウ情報システムの力を借りることで、国内外で当社が新たに参入できる分野が広がることも期待しています。
今後もオーエム製作所は機械メーカーとしてのコア事業に邁進していきます。その上で、今後はダイワボウグループの一員として新しい取り組みも可能になるはずです。その道筋を今期中期経営計画の中で探り当て、本格スタートさせたいと考えています。