新しい事業にどんどん挑戦

 

─ IT業界での特需とされたWindowsXPのサポート終了や消費税増税前の駆け込み需要もあり、ITインフラ流通事業は前期、飛躍的な拡大でダイワボウグループを牽引しました。今期はその反動減等で苦戦が予想されましたが、上期は売上高、利益の両面で計画、実績とも上回りました。

特需の反動もさることながら、ほとんどの消費財にみられる国内消費マインドの停滞が影響し、5月以降の厳しい商況は年末まで続きました。ただ当社では期初からこのような失速を予め想定していろんな対策に着手する一方で、全社員が危機感を共有して取り組んだ結果、競合他社が極端に落ち込んだ中でも上期は計画以上の収益を計上することができました。

─ 具体的にはどのような施策でしょうか。

基本は全国の営業拠点と約一万七千社の販売パートナーとの協業による「地域密着営業」の徹底です。例えば4月から支店を新増設して細かく地盤割した首都圏では、地域密着ネットワークが一段と強固になり大きな成果をあげています。また関西や中部圏など含む都市圏に限らず全国各地でメーカー、販売店と一緒にきめ細かな営業活動を展開することでDISの底力を発揮することができました。 一方でサービス&サポート事業を強化するため、4月にDISにあったサポート推進部をディーアイエステクノサービスへ移管しました。当社のようなディストリビューターにとって、サービス&サポート機能の充実は必要不可欠です。これまでともすればタテ割意識が強くヨコのつながりが弱い部分がありましたが、グループ間を含めて垣根を超えることでメリットや一体感が醸成されつつあります。現実にメーカーさんなどからもサービス&サポート分野で従来にない規模や分野の仕事が寄せられています。
 

 

─ 新年を迎え、今期の締めくくりとなる第4四半期はどのような状況を予想されますか。

消費動向も含め経済環境自体は、これまでと大きな変化はないと予想します。しかし企業にとってIT投資は避けて通れない課題です。そのタイミングがいつ訪れるかですが、常に業界や各ユーザーの動向を把握し、いざという場合に商機を逃がさないような体制の構築を心がけています。そういった意味で今年7月のWindows Server 2003サポート終了は大きなビジネスチャンスになるはずです。また当社が伸ばしたとはいえパソコンで占める当社のシェアは約18%、他の分野でも多くがまだ10%前後に過ぎません。逆に言えばこれまで種をまいてきたコトやモノの刈取りはまだまだ不十分であり、販売機会は創出できるとみています。前年度は確かに特需の影響も大きかったといえますが、飛躍的拡大で念願の売上高5000億円を達成できました。一度上がった階段を下りてしまうと、その後はより大変になります。今期3月末の最後まで、5000億円の大台を守ることに挑戦します。
 

 

 

 

昨夏、大分で開催した
DISわぁるどinおおいた別府

─ さて4月の新年度からホールディングスの新中期経営計画がスタートします。中核となるITインフラ流通事業の課題をお話し下さい。

あくまで中心は、DISグループの原点である「地域密着営業」の徹底・強化です。その上で ①既存事業の強化 ②注力事業の育成・拡大 ③構造改革を三本柱に、各種施策に取り組みます。もちろん従来と同じようなことをやっていては満足のいく収益を上げることはできません。新しいことに挑戦するしかないのです。裏返せば、これまでできていなかったことに挑戦できる時代を迎えています。どんどん種をまいて、積極的に刈取っていきます。

─ 業界内外で注目されているSIMロックフリー市場でのビジネスもそのひとつですね。

スマホを始め携帯基地局のインフラ分野や通信機器分野で世界トップクラスのファーウェイ社(中国)と昨年夏、国内総代理店契約を結びました。これまで当社があまりかかわれなかった分野にようやく参画することができたわけですから、スピード感を持って最大限の成果を実らせます。もちろんこの間全力で取り組んできた文教市場での刈取りも期待しています。更には重点ビジネスと位置付ける成長分野の「クラウド」「モバイル」「サービス&サポート」などでも着々と手を打っていきます。このうち「サービス&サポート」事業では、新年度から更に充実した体制等で臨んでいきます。

─ ありがとうございました。