産業機械事業 新規分野への参入も積極的に検討

オーエム製作所を中心とした産業機械事業は、活況が続く北米市場で新たな拠点も設立し、主力の立旋盤の販売拡大を進めています。また、自動包装機は、新たに事業会社としてオーエム機械を設立し、機動力を発揮した事業展開を進めています。

 

工作機械事業

 

「JIMTOF2014」でも
大型立旋盤に注目が集まった

販売、生産でグローバル戦略を推進

オーエム製作所の大型立旋盤が好調です。とくに海外は北米市場で、シェールガスなどエネルギー関連で大型立旋盤の需要が拡大しました。こうしたなか、“次の市場”を開拓することが今後のテーマとなっています。注目されるのが、北米における航空機や重電分野です。このため新たに北米地域に拠点を設けるなど体制を整備しています。

北米地域は従来、米国子会社のO-M(USA)が拠点を置く米テキサス州ヒューストンを中心に米国南部地区でエネルギー関連に向けた立旋盤販売を行い、大きな成果を上げてきました。加えて今後は航空機や重電関連のユーザーが集積する東部・中西部地区での販売強化を進めるため、新たにシカゴに事務所とショールームを開設し、営業拠点を拡大しました。ショールームには実機も展示し、オーエム製作所の立旋盤導入を考えているユーザーが実際に機械に触れて商談することが可能です。今後はさらに現地法人を設立することも検討しています。

大型立旋盤の販売拡大に向けて生産を担う長岡工場(新潟県長岡市)の能力増強も2014年7月に完了しました。これによりテーブル径3メートル以上の大型機の生産能力が高まりました。今後、長岡工場は大型機を中心とした上級機種の生産を拡大することになります。

 

 

「IMTS2014」を通じて
北米市場でのアピール

中国市場にも力を入れています。現地法人のオーエム上海のショールームにも戦略機種である「VTLex」シリーズを実機展示し、“オーエム”の認知度向上を進めるとともにディーラー網の拡充も進めました。現地のニーズを汲み取りながら、「VTLex」の新型も開発を進めております。また、台湾オーエムの役割も大きくなります。現在、普及機「Neo」シリーズの海外生産機「OM16TX」を生産し、中国市場への販売を行っていますが、新たにパートナー企業で「Neo」シリーズのユニットを生産し、日本で組み立て・販売する方向です。

国際市場の開拓には、これまで以上に海外で「オーエム」の知名度とブランド力を高めることが欠かせません。このため2014年も国内外の展示会に積極的に参加しました。10月に東京で開かれた日本国際工作機械見本市「JIMTOF2014」に出展し、好評を博したほか、9月にシカゴで開催された米国国際工作機械見本市「IMTS2014」にも出展しました。さらに今後は米国でプライベートショーを開催することも検討中です。立旋盤におけるオーエム製作所の国際的プレゼンスを確固たるものにすることを目指しています。
 

 

自動包装機事業

オーエム機械設立で機動的な事業運営

オーエム製作所のもうひとつの主力事業が自動包装機です。2014年10月からオーエム機械を設立・分社化することで従来以上にユーザーのニーズに迅速に対応する機動的な事業運営が可能になりました。また、分社化によって設計・製造から販売まで一体的に取り組むことでコストダウンにも努めています。まずは重点的に取り組んでいる医薬品向け自動包装機でコストダウンの効果を出すことを目指しています。

一方、製菓や食品といった分野も含めてユーザー企業の多くが海外生産を拡大しています。このため自動包装機事業としても海外戦略は重要な意味を持ちます。とくに重要なのが中国市場。日本の製薬企業が中国での生産を拡大する流れが強まることに加え、ヒューマンエラーを防止するといった安全性の観点から包装工程の自動化を進めるケースも増えています。

 

 

 

「チャイナ・ファーム」出展など
中国市場で自動包装機の
市場を開拓します

こうした需要を獲得するために2014年10月に深圳で開かれた「中国国際医薬工業展示会及び技術交流会」(チャイナ・ファーム)にも出展しました。チャイナ・ファームに出展するのは今回で3回連続となり、中国市場での認知度も高まりつつあります。今後も出展を続け、さらなるブランド力向上を目指しています。

また、東南アジア市場に対してのアプローチも強化します。近年、日本の食品産業が東南アジアで幅広く事業展開を進めています。従来、東南アジアでは人件費の安さから包装工程も人手による方法が一般的でしたが、ここ数年で急激な人件費上昇に見舞われていることから、自動包装機のニーズが高まっています。すでに日系食品メーカーへの納入実績もできており、今後のさらなる需要拡大が期待されます。清潔感や剛性・耐久性など日本製の優位性を全面的に打ち出すことで東南アジア市場での受注拡大を進める戦略です。

一方、自動包装機に続く新規分野の開拓も今後の大きなテーマです。自動包装機で蓄積した設計・組立など技術ノウハウを活用し、産業用機械分野で新規参入を目指します。すでに有望な分野に対する調査も進行中であり、M&Aなども積極的に検討しています。また、宍道工場(島根県松江市)に隣接するオーエム金属工業とのコラボレーションも進めます。オーエム機械の設計・組立技術とオーエム金属工業の鋳物・金属加工技術を融合させることで新たな市場を開拓する可能性が開けます。

オーエム機械として自動包装機事業は新たなスタートを切りました。2015年は、その成果を具体的に出す年とすることを目指しています。