“Made in Japan”でアジア市場を開拓

繊維事業はこれまでアジア地域で積極的な投資を行い、昨年はインドネシアに不織布製造会社であるダイワボウ・ノンウーブン・インドネシア(DNI)を設立し、化合繊・機能素材分野でもグローバル展開を加速させています。2014年は国内でも設備投資を実施し、このほどダイワボウポリテックの播磨工場で複合繊維製造ラインの能力増強が完了しました。“Made in Japan”を切り口にアジア市場の開拓に取り組んでいます。

 

 

─ 繊維事業を取り巻く環境が大きく変化しています。

一昨年からの為替動向や海外の人件費上昇などで、早くから海外縫製に進出していた衣料品は大変な逆風となっていますが、ダイワボウポリテックが扱う衛生材料分野では、“日本製”の安全性や安心感、信頼感がアジア地域で高まっており、日本で最終製品化された商品が海外市場に輸出される動きに拍車がかかっています。また、日本の製品加工メーカーは原綿や不織布原反を輸入するケースも少なくなかったのですが、現在の為替水準ではコストップとなり、またコンテナ単位の発注量が大きな課題となっています。国内調達なら小ロット対応も可能なことから、日本製の原綿・原反を調達する動きが加速しています。

これらの需要に対応するため、衛材用複合繊維を製造しているダイワボウポリテック播磨工場の生産能力を増強しました。7月2日に新設備を竣工し、年産20%の増産となります。増産した原綿は国内販売だけでなく海外へ輸出し、昨年インドネシアに設立したDNIで不織布を製造します。DNIは設立直後の苦労もありましたが、今年に入ってからは製造ノウハウを確立させたことに加え、営業面でも成果が出ています。現在、DNIは製造ライン1系列ですが、さらに1系列の増設を検討しており、計画を前倒しする可能性があります。

 

 

─ 機能資材事業も海外戦略が進んでいます。

従来、海外生産した商材を日本で販売する形が主流でしたが、今後は海外生産・海外販売でドル建てのビジネスを拡大することが重要です。ダイワボウプログレスの海外事業会社2社の製品は、ほぼ日本向けでしたが、これからは海外販売を増やし、生産能力も上げていきます。カンボウプラスの開発力・技術力とダイワボウプログレスが持つ海外ノウハウを融合させることで、大きな可能性が広がります。
 

 

─ 衣料品・生活資材事業は。

衣料品消費の回復が遅れる中、すでに消費者のたんす在庫がある商品を作っていてはダメです。たんすにないモノ、または入れることのできないモノを作る必要があります。たとえば消耗品や雑貨など、フタロシアニン加工を応用したスキンケア商品もそのひとつです。また、紙糸「OJO+」やポリプロピレン(PP)など独自のファイバーや機能素材を応用したグループ協業による有力商品の開発が進んでいます。海外縫製に関しては、ダヤニ・ガーメント・インドネシア(DGI)があるインドネシア・ブカシ地区での人件費コストが上昇していることから、中部ジャワに立地するダイワボウ・ガーメント・インドネシア(DAI)へ移管を進めており、DGIは採算が合う商品の生産に転換していくことが重要になります。
 

 

─ 来期から新しい中期経営計画が始まります。繊維事業の構想は。

化合繊事業はダイワボウポリテックの増設が完了し、増産体制も確立しました。今後は営業力を強化することが課題になります。そのためには、グループ事業会社間の商材の交流を更に推し進め、アライアンスの活用など、海外原綿を使用した製品の取り組みも進めてまいります。次の3カ年で化合繊事業は利益を倍増させたいと考えています。ダイワボウの繊維事業を拡大するためには、化合繊事業の拡大が不可欠です。機能資材事業は海外、とくにインドネシアやアセアンの内販を伸ばすことがテーマです。製紙分野もカンバスだけでなくメッシュベルトなどを拡販していくことが重要です。衣料品・生活資材事業はドラスティックな構造改革に取り組んでおり、一段と選択と集中を進めることになります。その上で、非衣料分野を拡大し、商品カテゴリーを増やすことも繊維技術の延長線上で進めてまいります。

一方で、人材の交流も進めます。主要事業会社が持つ独自の営業力、現場力、開発力を融合させ、繊維事業の収益体制をより強固なものにしていきます。
 

 

ダイワボウポリテック

播磨工場の設備を増強 アジア市場での生産販売基盤をより強固に

 

新設備の竣工式

ダイワボウポリテックは、播磨工場に約6億円を投じて複合繊維生産設備の増強工事を実施し、7月2日に竣工式を執り行いました。竣工式にはダイワボウホールディングスと大和紡績の代表者などが出席しました。

ダイワボウポリテック播磨工場は、今回の設備増強により生産量が現状と比べ約2割アップとなり、大幅な増産体制を整えることになります。ダイワボウポリテックの主力製品の販売分野である衛材市場がアジアで急成長しており、その市場規模は3年後には4倍に拡大すると予想されています。このため播磨工場が生産する原綿をインドネシアのダイワボウ・ノンウーブン・インドネシア(DNI)へ供給する体制の整備を進め、国内外の工場が連携することによりアジア市場における生産販売基盤をより強固なものにしていきます。

 

 

今後もダイワボウポリテック播磨工場は生産性の向上とコストダウンを進め、市場での優位性を保っていくよう取り組んでいきます。