生産効率を高めて収益力強化へ - 北米、アジアでの販売拡大を目指す -

オーエム製作所を中心とする産業機械事業は、国内外での営業基盤の拡充、生産効率向上による収益力強化、IoT(モノのインターネット)など新たな技術潮流も視野に入れた新規事業の創造を重点戦略に掲げます。中期経営計画最終年度となる2021年3月期には連結売上高135億円、営業利益13億円を計画し、営業利益率も10%以上を確保することを目指します。そのために人材育成や新機種の開発に力を入れ、国内外の営業拠点の拡充を進めます。

 

 

─ 前中期経営計画の成果と課題をどのように振り返られますか。

3年前の2015年は世界的に工作機械の市況も思わしくなく、非常に苦労した3 年間でしたが2017年の春ごろから市場環境も好調に回復し、中期経営計画の最終年度を乗り切れたと実感しています。工作機械部門では、主力の立旋盤を生産する長岡工場に3 次元測定機や恒温室を導入し、工作機械の加工精度を確認・保証するソリューション型事業をスタートさせました。近年、航空機関連用途では高い加工精度の保証をお客様から求められるケースが増加してきてます。そのニーズに対応するために海外事業会社では米国子会社のO-M(U.S.A.)の営業拠点を宇宙・航空機産業の中心地であるシカゴに移転し、当社が重点分野として取組む宇宙・航空機関連分野での販売拡大を進めてまいります。また、自動機械部門ではオーエム機械を分社化しましたが、機動力と自主性のある事業運営が可能となり、収益性が高まるなど成果が出ています。


─ 新中期経営計画での重点戦略は何でしょうか。

まずは確固たる利益を出せる企業になることが第一です。営業利益率10%以上は確保しなければなりません。そのためには工場の生産効率を高めることが重要です。工作機械・自動包装機ともに生産工程における高い技術、技能を必要としていることから、生産性向上のための設備投資や人材育成に取組みます。製造部門だけでなく営業部門の人材育成も強化しており、専任の教育担当者を置くなど従業員のスキルアップだけでなく、顧客満足度を高められるよう取組んでいます。

国内の営業戦略も強化します。その一つとして9月に新しく播磨営業所(兵庫県加古郡)を開設します。播磨地区は航空機関連のメーカーが多く、当社の立旋盤販売にとって重要拠点であります。播磨営業所のショールームに実機を設置してユーザーにじっくりと見てもらえるようにしました。当社は立旋盤メーカーとして国内ナンバーワンの地位にいると自負していますが、さらなる企業ブランドの向上を目指すために製品、販売ともにより一層の力を入れて取組んでまいります。

また、IoT やAI(人工知能)といった新しい技術を導入した機械のニーズも高まっているためダイワボウグループの連携による商品開発に加え、外部パートナーと協力することも必要です。既に大手工作機械メーカーとIoTプラットフォームを活用したテストも始めました。自動包装機もロボットなど新しい技術を積極的に導入します。人材不足を背景に自動化に対する要望が高まっていることも追い風になります。

 

 

播磨営業所完成予定図

 

─ 海外事業についてはいかがですか。

自動包装機の中国での販売が好調です。新興国においても人件費上昇や人材不足が顕在化し、拡大する自動包装機市場に対して海外販売に力を入れます。工作機械においては、中国での立旋盤販売では、テーブル径1 ㍍の入門機を開発し、新たな市場の開拓を進めています。また、引き続き北米を中心に航空機関連市場が活況ですのでO-M(U.S.A.)と現地ディーラーが協力し、戦略的に在庫を持つことで従来より納期短縮を可能にした営業体制で臨むことが重要です。今中計では海外売上高比率を高めることも大きな目標です。