次期中期計画に向けて体制を整備

ダイワボウホールディングスの2014年3月期連結決算は、売上高6346億円(前期比23.6%増)、営業利益109億円(85.6%増)、経常利益105億円(110.3%増)、純利益45億円(85.0%増)と過去最高の業績となり、中期経営計画「イノベーション21」の最終年度目標に掲げた売上高6000億円も2年目にして前倒しで達成することができました。国内外の経済状況も大きく変化する中、今期は中期計画最終年度となります。阪口政明社長に現在の事業環境、次期中期計画の構想などについて語っていただきました。

 

 

─ 2013年度は事業環境が前年度から劇的に変化した1年でしたが、過去最高の業績となりました。

やはり一昨年の政権交代による政策転換の影響が大きかったといえます。現在の政権が思い切って経済優先の政策に舵を切ったことで、各事業とも前向きな状況が生まれていました。そうした中、国内市場の縮小やデフレへの対応から、海外生産の拡大や製品化率の向上への取り組みが進展しました。“チャイナ・プラスワン”の動きも加速していたことも背景にありました。ただ異次元の金融緩和策によって予想以上に円安が進んだことで、一部の海外事業にとっては、フォローの風が急激なアゲンストになってしまいました。こうした状況のもと、ITインフラ流通、繊維、産業機械という3つの事業を主力とする当社にとっては、様々な選択肢を採ることができたことが好業績につながったと考えています。

例えばITインフラ流通事業は昨年度、Microsoftの基幹OSである「Windows XP」のサポート終了にともない、法人・個人向けともにPCの販売台数が大きく伸びました。消費税引き上げ前の駆け込み需要の影響もありました。繊維事業では、グループ協業による新しいビジネスの芽が出てきました。ダイワボウノイ、ダイワボウアドバンス、ダイワボウプログレス、カンボウプラス、ダイワボウポリテック、ダイワボウレーヨン、という主要6社が有機的に連携する形ができつつあります。産業機械事業に関しては、航空機やシェールガス関連で大型立旋盤の受注を拡大することができました。
 

 

─ 今期は中期計画最終年度ですが、新しい環境に対応した戦略が求められています。

デフレ経済を前提としたビジネスモデルが行き詰り、“価格”ではなく、本当の“価値”が求められる時代になったといえます。そこでITインフラ流通事業は、引き続きソリューション型ビジネスの深化を推し進めなければなりません。地域密着型の営業体制、1万7000社のパートナー企業との協業のもと、約190万アイテムとお客様を繋ぐ電子取引システム「iDATEN」の機能強化を図り、その精度を一段と高めます。そのため基幹システムを刷新する大型投資も実施しました。

産業機械事業では大型立旋盤の生産能力の増強投資を行い、長岡工場に新工場を建設するなど、航空機やオイル・ガス関連を中心とした旺盛な需要に応える体制を整えました。また、ディーアイエスソリューションと協業し、モニタリングシステム搭載の立旋盤など従来にない商品の開発を積極的に進めています。

繊維事業については、世界市場で戦うために大和紡績香港の役割がますます大きくなっています。すでに欧米アパレル・流通業者との商談やインドネシア関係会社と連携したアセアン内販への取り組みが具体化しています。また、不織布分野は引き続き好調を維持しており、原綿のマザー工場であるダイワボウポリテック播磨工場を増強し、インドネシアの不織布製造会社であるダイワボウ・ノンウーブン・インドネシアも増設を検討しています。産業資材に関してもインドネシア・ジャカルタ事務所を軸にアセアン市場の開拓を目指します。
 

 

─ 製造業として国内で大型の設備投資を行うのは大きな意味がありますね。一方、衣料品事業では構造改革にも取り組んでいます。

やはり独自技術に基づいたモノ作りを継続するためには、国内に一定のスケールメリットを有した設備を持たなければならないと考えています。

縫製品に関しては、一部コモディティー品から撤退しました。今後は、販路やターゲットとなる市場を柔軟に捉えながら対応することになります。生産はインドネシア・中部ジャワ地区に立地するダイワボウ・ガーメント・インドネシアを軸に増設も行います。一方、中国の事業会社では、すでに物流事業も展開しており、今後は縫製品以外の生産も含めた複合型工場へと転換することを検討しています。これはインドネシアのダヤニ・ガーメント・インドネシアも同様です。
 

 

─ 来期から新しい中期経営計画が始まります。現時点での構想をお聞かせください。

今期は次期中期計画に向けた体制を整備する年です。売り上げ規模の拡大と収益性の向上を両立させることにより、利益率や財務体質を強化することが必要です。そのためには、繊維事業と産業機械事業の海外事業を一段と拡大させなければなりません。繊維事業では売上高1000億円、産業機械事業では売上高300億円までに高めることは十分、可能であります。海外で独自の市場を開拓することが大きなテーマになると考えます。

そして最大規模の主力事業であるITインフラ流通事業は、まだまだ国内での拡大が可能です。現在、PCだけでなく周辺機器やソフトウェアの販売拡大を進めています。ソリューション型ビジネスは今後、クラウド化の潮流とも相まって、ますます市場が大きくなります。教育分野でのICT活用も大きな流れとなっています。成長市場でのシェア獲得を進めることで、さらに事業を拡大してまいります。

こうした取り組みを進めることで、次期中期経営計画の最終年度には連結売上高8000億円という数字も視野に入れた前向きな計画を策定したいと考えておりますので、引き続きステークホルダーの皆様のご指導とご支援をお願いいたします。