ダイワボウグループの目標のひとつが“ダイワボウ”ブランドの構築です。
そのためには何が必要なのか。グループ連携の今後のあり方はどういったものになるのか。

こういった課題をITインフラ流通事業、繊維事業、産業機械事業それぞれ今後の中核となる世代の中堅・若手社員に“10年後のダイワボウ”をテーマに語り合っていただきました。

 

 

佐藤ダイワボウホールディングス常務執行役員(以下、敬称略)

ダイワボウホールディングスの中期経営計画「イノベーション21」も2年目に入り、間もなく折り返し地点に差し掛かります。そこで中期計画の基本方針にも掲げるグループ協業、そしてダイワボウグループのコーポレートブランド確立のために何が必要なのかを、ITインフラ流通事業、繊維事業、産業機械事業という主力3事業の中堅・若手であるみなさんにお集まりいただき、自由に語り合っていただくことにしました。まずは自己紹介を兼ねて現在のお仕事についてお聞かせください。

 

 

安田ダイワボウホールディングス経営企画室副室長(同)

現在はダイワボウホールディングスの経営企画室に所属していますが、これまでグループ連携戦略会議やブルーオーシャンテーマ審議会議など様々な会議の事務局を担当し、グループ協業の推進に取り組んできました。各事業会社の社長や常務、さらに執行役員クラスで会議を行い、協業のテーマを探しています。テーマごとに分科会を作り、そこでも月1回ぐらいのペースで議論を行っています。

 

 

薄井大和紡績技術戦略グループ長(同)

わたしはもともとかつての研究開発子会社のダイワボウクリエイトで合繊を中心とした基礎研究に携わってきました。現在は大和紡績の技術戦略グループ長として繊維事業の各事業会社による連携を進めています。事業会社体制では、どうしてもタテ割り意識が生まれてしまいますから、その弊害を取り除くことを目指しています。

 

 

塩見ダイワボウ情報システム経営企画室副室長(同)

わたしが入社したのは1994年。当時、仕入れは各営業拠点で行っていましたが、一括仕入れを行うための準備部署に配属となり、そのまま全社一括仕入れへの切り替えプロジェクトやマルチベンダーとしての取り扱いメーカー拡大に携わりました。その後、エリア営業や店頭販売子会社の再編を経験し販売推進本部を経て、現在は経営企画室です。

 

 

野上ダイワボウ情報システム経営企画室営業企画グループマネージャー(同)

わたしは1996年入社です。ダイワボウ情報システム(DIS)の横浜支店のエリア営業がスタートでした。2003年から2004年秋まで米国のシリコンバレーの市場調査のために駐在派遣されました。ドットコムバブルの崩壊後で、グーグルがIPO(株式公開)する前の時期です。その後、販売推進本部で展示会やセミナーを企画し、再び茨城支店長としてエリア営業を担当し、現在は経営企画室に所属しています。

 

 

仲窪オーエム製作所技術・開発部長岡開発室長(同)

わたしはずっと機械設計の業務を担当してきました。立旋盤や床下車輪旋盤の設計に携わり、現在は長岡工場で主に立旋盤の開発に取り組んでいます。

 

 

笹永オーエム製作所経営企画管理部副部長兼財務企画課長(同)

わたしは入社以来、財務や経営企画を担当してきました。

佐藤

ダイワボウホールディングスが発足して3年が経ったわけですが、意識の変化などはありましたか。

 

塩見

責任を感じています。これまでIT卸としてシングルタスクだったのが、様々な事業の複合体であるダイワボウグループの売上構成における主軸となった訳ですから。

 

野上

入社したときから、社名の由来を新規のお客様に説明していました。そういう面ではダイワボウグループの一員であるという意識が以前からあり、それがより明確になったと思います。

 

仲窪

わたしの場合、工作機械という事業の性格もあって、以前はそれほどダイワボウグループということを意識することが少なかったのですが、やはりホールディングスになって明らかに意識が変わりました。例えば開発の場合でも、まずはグループ内に使える商品や技術がないか考えるようになっています。

 

笹永

企業としての規模が大きくなったことを意識しています。当社が主力3事業の一角に数えられているわけですから責任も大きいと感じています。

 

薄井

繊維事業の場合、DISとオーエム製作所がグループに加わったことが、刺激になっています。いい意味で繊維事業も各事業会社が協力して対抗しないとグループの中で埋没してしまうという危機感が生まれました。その意味では繊維事業の団結力が高まりました。それと、繊維事業は新規販路の開拓が課題でしたから、例えばDISやオーエム製作所が持つ商流をなんとか活用できないかということを常に考えるようになっています。

 

安田

グループ連携のプロジェクトや会議に参加しているメンバーは、かなり意識が高まっています。ただ、現場レベルではまだ不十分な面もありますから、今後はどうやって全体を底上げしていくかです。それでも以前と比べればグループ連携も大きく進展しているといえます。

 

成果が出始めたグループ協業

佐藤

実際に連携による開発など成果も出てきましたね。

 

仲窪

例えば機械状態監視システムのソフトウェアをDISに作ってもらい、それを搭載した立旋盤を開発しました。開発には数か月の期間を要し、当初はお互いに意識のズレのようなものもあったのですが、改善点を相互に出し合うことで少しずつ修正を施し完成させることができたのがとても印象的でした。

 

薄井

オーエム製作所が自動包装機を扱っているなら、大和紡績には不織布があります。つまり、中身とパッケージ両方を同時に提案できる可能性があります。また、DISは空気清浄器などの販売をやっていますが、やはり大和紡績にはフィルターやアレルギー対策素材がある。これらをうまく組み合わせることで新しい成功モデルを作りたいと考えています。

 

佐藤

DISと繊維事業と言えば、デジタルサイネージなどユニークな商品も共同開発していますね。

 

安田

デジタルサイネージは、製造をカンボウプラスが、サインのコンテンツ制作をディーアイエスアートワークスが担当し、DISを通じた販売も行っています。「DISわぁるど」にも出展するなどして、これから販売が本格化してくるでしょう。

 

笹永

営業の面で言うと、当社は昨年、富山営業所を開設しました。DISの富山支店の中にスペースを借りて、富山のユーザー対応拠点としました。富山は製薬メーカーの集積地であり、そこに当社が拠点を置き、スタッフも常駐させたことで製薬メーカーの見る目が変わりました。営業所開設後、すぐに自動包装機で大口案件を受注するなど成果が出ています。DISと連携することで地域密着営業を当社も取り入れた形です。

 

塩見

グループ全体の協業という点では、まだ試行錯誤の段階ではないかと思います。昨年からダイワボウグループの工場見学なども行われ、互いの事業をよく知るための取り組みが始まりました。当社は卸売業という業態ですから、例えば客観的な流通コンサルティングのような事ができるかもしれません。ただ、シナジーをどういう形にしていくか、これからが本番です。

 

仲窪

互いに専門分野がありますから、お互いに理解し合うために、まず自分の知識を提供することが大切ですね。そうやってコミュニケーションをとる中で、互いの業容がわかってきます。

 

薄井

異分野に出ていくことはいいことですが、品質や機能などの面で評価方法が異なるケースも出てきます。そこをどうやってすりあわせるかが重要です。

 

野上

シナジー効果という点では、当社には単純な足し算ではなく化学反応を期待されていると思います。大和紡績、オーエム製作所、当社の3社を中核にしながら、外部プレイヤーを増やしていくことも今後の協業には必要でしょう。

 

安田

そのための努力を現場もしているわけですが、どうしても自分のビジネスに直結する短期分野と、そうでない長期的分野で意識に差が生じるのは仕方ない面があります。だからこそ、そういった意識付けに取り組むことが各事業のトップや幹部に求められているといえるでしょう。

 

各分野でトップを目指し、連携で新たな分野開拓

佐藤

10年後、あるいは20年後を見据えたみなさんの世代の取り組みが重要になるわけですが、これからのダイワボウグループのさらなる発展やコーポレートブランドの構築のために必要なことは何だと思いますか。

 

塩見

当社は国内トップ層のIT卸業として既に10年が経過しており、これからの10年、20年をどうして行くのかという命題があります。そうした未来について、自分たちでボールを持ち、オールを漕ぐ、そういう意識を持つことが重要だと思います。危機感を楽しみやモチベーションに変換できる、そういう会社でありたいです。

 

笹永

やはり、それぞれの会社が専門性を一段と磨いて、それぞれの分野でトップに立つということが必要です。

 

仲窪

例えば当社は海外売り上げの拡大を目指していますが、オーエム製作所がダイワボウグループとして世界に出ていけば、おのずとブランドも浸透していく可能性があります。そういった好循環を作っていくことが大事だと考えています。

 

薄井

大和紡績も特徴のある繊維、特徴のある原料を活用した技術力をもって世界に打って出るという戦略を推進してきました。グループの力を融合することで新商品の可能性が生まれます。例えばDISはIT機器を扱っていますが、繊維の世界でも“スマートテキスタイル”などに注目が集まってきました。今後、ITを絡めた繊維に大きな可能性があり、新商品を生み出すには、戦略を持って中長期的な基礎研究が欠かせません。そういった研究を産官学連携も含めてグループ全体で実施する必要があります。

 

笹永

グローバル化も欠かせません。アセアン地域など新たな市場で力を発揮することがポイントでしょう。ダイワボウグループとして海外での売り上げの方が多いぐらいになれば、それこそグループ売上高1兆円という数字も具体的な目標として出てくるでしょう。

 

野上

グループ全体で1兆円を目指すという旗印があれば、アイデアや行動が出てくる。大きな旗印のもとにグループ企業が結集し、具体的なビジネスでも連携していきたいですね。

 

佐藤

やはりグループとして成長するためには、各事業が連携しながら海外市場で成果を上げることが欠かせません。みなさんを含めて、ダイワボウグループには、その実力も十分ある。今後も、その実力を発揮して、もっともっと世界に打って出ることを期待しています。今日は、どうもありがとうございました。