新社長登場

6月28日付で事業会社の社長が交代いたしました。その中から、ダイワボウノイの斉藤清一社長、ダイワボウレーヨンの佐藤祐次郎社長に登場いただき、新社長としての抱負と新たな反転に向けた戦略をお聞きしました。

 

社員一丸となってチャレンジする土壌を

 

─ダイワボウノイの社長に就任しての抱負をお聞かせください。

今期は前社長がこれまで進めてきた基本方針を踏襲しながら、ダイワボウノイとして強
みのある部分を伸ばし、同時に弱い部分はテコ入れすることが大切です。当社はダイワボウグループの祖業である衣料品・生活資材事業を担いますが、未来は決して順風満帆というわけではありません。それだけに社員一丸となって挑戦、チャレンジすることが必要です。そのための土壌を作りたいと考えています。それが企業の変革に繋がるからです。経営陣と社員の皆さんとの間の風通しをいま以上に良くしたいと考えています。

 

 

─強い部分を伸ばすというと。

当社のコア事業に日本向けと欧米向けのインナー製品があります。今期は新たにインド
ネシアに縫製子会社、ダイワボウガーメントインドネシアを設立しました。既存の縫製子会社、ダヤニガーメントインドネシアと合わせて、生産を増強します。また、中国では蘇州大和針織服装と大和紡工業〈蘇州〉がありますが、今後は数億円規模の投資を実施する計画です。生産する商品も従来のカジュアル製品だけでなく、特殊原料を使った機能製品を増やします。メディカル製品への参入も狙っており、中国だけでなく台湾なども含むアジア地域への販売を増やします。インドネシア、中国ともにグローバルな生産・販売体制を構築することが目標です。当社は紡績の中でも早くから海外進出を進めてきました。今後は、人材育成も強化し、現地スタッフの幹部登用などもできる体制を作ることで本当の意味でグローバル企業を目指します。

 

─機能製品への期待は大きいですね。

中心になるのは抗アレルゲン加工素材「アレルキャッチャー」です。ベースとなるフタロシアニン加工は当社が信州大学と共同研究によって開発した独自性のある加工です。今後、加工拠点を大和紡工業〈蘇州〉にも構築し、中国内販にも取り組みます。将来的には現状の3倍、4倍の規模まで販売量を伸ばしたいと考えています。

 

─ 一方でテキスタイル事業もあります。

テキスタイル事業も、すでに当社の強みが発揮できるコート地やリビング用生地、ホー
ムホビー用途への特化が進みました。近年、ホームホビーが順調に伸びています。引き続きダイワボウテックスと連携しながら販売量の拡大を進めます。また、コート地に関しては中国市場での販売拡大を考えています。

 

─ダイワボウノイの強みとは何でしょうか。

現在はオリジナリティのある開発・研究・ビジネスモデルがないと生き残れない時代で
す。そこで他社にない原料・加工を持っていることでしょう。例えば、王子ファイバーの紙糸「OJO+」などです。ここにきて欧米からの引き合いが増えていますし、エコ商品としての注目も高まっています。そのほかにも、ダイワボウレーヨンの機能レーヨンやダイワボウポリテックのポリプロピレンがあります。こういったオリジナルティの高いわた・糸を徹底的に活用することで、事業内容を高度化し、収益性を高めることを目指します。

 

化学メーカーとして素地を生かし、新たな事業領域を開拓

 

─社長に就任しての印象をお聞かせください。

ダイワボウレーヨンは、日本に2社しかないレーヨン短繊維メーカーのひとつです。まず、日本からレーヨン生産の灯を消してはいけないという思いを新たにしました。とはいえ、世界のレーヨン市場に占める当社のシェアは数%に過ぎませんから、生き残るためには “山椒は小粒でもピリリと辛い” というように、高品質はもちろんのこと、特徴のある商品を常に出し続けなければなりません。
おかげさまで数年前から市場でも当社の認知度が高まり、「高付加価値のレーヨンといえばダイワボウ」との声もいただけるようになりました。

 

─重点的に取り組む課題は何でしょうか。

紡績用途と不織布用途がありますが、とくに伸ばすのは紡績用途です。2011年度の販売
量は前年度比30%増、11年度も30%増の計画を組んでいます。販売先としっかりとしたパートナーシップを組めていることが強みです。最近では店頭でも機能レーヨンが注目され、素材ありきの製品企画が増えていることもフォローの風です。不織布用途については、レギュラー品は徹底的に品質管理を強化し、ユーザーの生産効率向上に貢献するレベルの品質を実現することが重要です。

 

 

 

─対米輸出する防炎レーヨンは為替の逆風が続いています。

こちらは再構築を進める考えです。従来商品だけでは、海外メーカーとの競争激化で構
造的に難しい局面に入りましたので、進化版として09年に開発した難燃・防炎レーヨン「FRL」の用途開拓を加速させます。実際に注目度も高まっており自動車やインテリアといった領域で採用の可能性が広がりました。
また、難燃レーヨン「DFG」も防護服関係で引き合いが増えています。難燃・防炎素材
の市場自体は海外を中心に世界的な拡大が進んでいますので、そこにどれだけ食い込めるかが重要になります。

 

─ダイワボウレーヨンの将来像についてお聞かせください。

将来的にレーヨン生産・販売だけでいいのかという課題があります。当社はある意味、化学メーカーとしての素地を持っていますから、潜在的なケミカルの技術を生かし、従来の事業の殻を破ることも大きなテーマですね。その場合、やはり切り口は「機能」になるでしょう。それを生かしたニュービジネスを考えることも重要になってきました。難しいテーマですが、長期的な視点で取り組んでいきたいと考えています。当社の社風は「すぐやる、かならずやる、できるまでやる」。これを営業から工場まで徹底することで大きな力になるはずです。日本に残された数少ないレーヨンメーカーとして、市場の期待は大きなものがあると感じていますから、今後も期待に応えていきたいと考えています。