さらなる国際化を推進 グループ連携を 強化して前進

ダイワボウホールディングスの3カ年中期経営計画「イノベーション21」最終年度の折返し地点となる2014年4~9月連結決算は、売上高2783億円(前年同期比1.9%増)、営業利益32億円(38.6%増)、経常利益31億円(40.5%増)、純利益16億円(36.2%増)と増収増益となりました。中期経営計画の目標達成に向けてラストスパートをかけると同時に、視線は来期から始まる次期中期経営計画にも向かいます。そこで阪口政明社長に、今次中期経営計画の成果と課題、次期中期経営計画の構想などについて語っていただきました。

 

 

─ あけましておめでとうございます。3カ年中期経営計画「イノベーション21」最終年度もあとわずかとなりました。まず、ここまでの成果と課題についてどのように分析されていますか。

あけましておめでとうございます。今年2015年は今次中期経営計画の最終年であり、次期中期経営計画のスタートとなる年です。今次中期経営計画では、ITインフラ流通事業、繊維事業、産業機械事業という主力3事業を中心にグループ協業によるシナジー発揮を推進してきました。その点で、いくつかの具体的な成果が上がっています。ITインフラ流通事業と産業機械事業のコラボレーションでは、工作機械に特殊機能を持たせた情報機器を搭載する技術開発が進み、実用化が間近となっております。また両事業が連携した地域密着型の営業体制も強化しました。繊維事業では香港現地法人である大和紡績香港を通じたグループ協業が加速しました。繊維の主要事業会社の協業によるシナジー効果が発揮されてきております。

一方、課題もあります。これまで続いたデフレに対して政府・日銀も金融緩和などでインフレへと転換させようとしています。しかし、企業も市場も長年のデフレ状況に慣れてしまい、急激な経済の変化に合わせた意識改革ができていないという状況です。繊維事業でいえば、コモディティ化や急激な為替変動への対応、差別化商品の開発でスピード感を欠いた面があったと言わざるを得ません。そもそも「国内」「海外」という意識では、円高になれば海外生産品を日本へ持ち帰るビジネスを拡大させてしまい、円安になって苦戦することになります。国内も海外も分け隔てることなく「国際マーケット」として一体の市場ととらえることで、為替が変動しても欧米やアセアン、オセアニアといった有益な市場をターゲットにする変換を素早く判断していかなければなりません。

また、“モノ作り”に対する意識が強すぎるということもあります。メーカーとしてモノ作りは大切なことですが、販売力の強化が伴わなければ、せっかくのモノ作りを生かすことができません。こうした観点から、大和紡績香港を設立しました。香港を起点に衣料品だけでなく化合繊や産業資材を国際マーケットに投入することが狙いでした。
 

 

─ 今年4月から新しい中期経営計画がスタートします。構想をお聞かせください。

大きなテーマは“国際化”です。さらなる収益力の強化のための施策として国際市場で戦える強力なパートナーとのアライアンスの取り組みが必要でしょう。次に“販売チャネルの拡大”を進めます。事業が複合化することにより販路拡大の利点が生まれ、それぞれの事業会社が持つ販路の共有化により、今までにない用途の開拓ができます。加えて“財務強化”も中期経営計画の大きなテーマとなります。より強固な財務体質を築き、成長分野へのさらなる投資を行えるようにしなければなりません。

こうした取り組みで最も重要なのは人材です。国際マーケットに対応できる人材の育成がますます重要になっています。
 

 

─ 今次中期経営計画で大型投資も相次ぎました。

ITインフラ流通事業では基幹情報システムの更新や営業管理システムの導入、繊維事業ではインドネシアに不織布製造会社を設立し国内工場でも衛材向け複合繊維製造設備の増強を実施しました。産業機械事業では立旋盤製造工場の増設など、これまでの投資の効果がすでに上がり始めています。引き続き次期中期経営計画でも積極的に投資を進めます。ITインフラ流通事業ではシステム関連への投資を、繊維事業では産業資材関連の海外事業の投資を、産業機械事業では販売面の投資を継続的に行ってまいります。
 

 

─ 2015年は、どのような年になると思われますか。

昨年末に第3次安倍内閣が発足しました。今後の経済政策の効果がどの程度得られるかまだ不透明ですが、景気の回復が加速し、日本人のマインドも上向きとなる年になって欲しいですね。デフレの完全脱却には、まだ時間がかかるでしょうが、一部に明るい兆しも見えています。円安によって日本を訪れる外国人も大幅に増えており国内消費に寄与しています。もしかしたら日本人の生活環境が大きく変化する契機となる年かもしれません。それが日本人の自信につながる変化であって欲しい。そのために個人も企業も、前に向かって動くことがますます重要になると思います。当社としてもグループの連携を強化し、目標に向かって前進することでステークホルダーの皆様の満足に貢献することを目指します。さらに次期中期経営計画を通じて、国際マーケットにとっても喜ばれる企業へと変革を進めていきたいと思います。