グローバル展開を加速させるダイワボウグループ。そのネットワークは、アジアだけにとどまりません。そこで今回は日付変更線の向こう側、南北アメリカ大陸を拠点に活動するO-M(USA)とダイワ・ド・ブラジル・テキスタイルを紹介します。

 

O-M(USA)

 

ガス・オイル分野で追い風、航空機エンジン分野にも注力
ニュージャージーにショールームを開設

オーエム製作所の米国法人であるO-M(USA)はテキサス州ヒューストンに拠点を置き、立旋盤の販売を行っています。米国では“シェールガス革命”に代表されるようにガス・オイル分野の成長が期待される中、精密加工されたバルブや継手の需要が高まっています。こうした部材の生産に欠かせないのがオーエム製作所の立旋盤による高精度加工なのです。
メキシコ湾油田に面するヒューストンは米国におけるガス・石油産業の中心地。多くの石油プラントメーカーや掘削機メーカーが集積しています。こうした企業が使用する精密加工部材の製造にオーエム製作所の立旋盤が活躍しています。
最近になって、需要がとくに高まりました。背景にあるのが、2010年に発生したメキシコ湾原油流出事故です。海底油田の掘削設備が破損したことで大量の原油が海中に流出し、多大な環境破壊を引き起こしました。こうした事故を防ぐために米国ではパイプラインの防爆バルブの増設などガス・オイルプラントの安全基準を強化しました。このためプラント部材の生産には、ますます大型の立旋盤が必要になっているのです。また、“シェールガス革命”も追い風となっています。

 

 

O-M(USA)では、こうした状況を受けてヒューストン地区を中心にガス・オイル関連分野への立旋盤の販売に力を入れています。さらに東海岸地区の航空機分野も大きな市場。そこで2012年9月にニュージャージー州にショールームを開設し、特に航空機エンジンやガスタービンなど重電の分野を狙って、実機展示による提案の強化と需要の掘り起こしを進めています。また、イリノイ州シカゴを中心とした中西部地区は建設機械や農業機械産業の盛んなところであり、やはり立旋盤の重要な市場。そのため現地人営業スタッフを1人増員して営業体制を強化しています。2014年にシカゴで開かれる工作機械の国際展示会「IMTS2014」への出展も検討中です。
米国は全世界の工作機メーカーが進出する一大市場。オーエム製作所にとってはとくに台湾・韓国メーカーとの競合が激しさを増しています。このため汎用機に関してはオーエム台湾の生産機を米国で販売することで価格競争力を発揮すると同時に、高級機では価格ではなく技術と付加価値で他社を圧倒するとの戦略の下、米国市場専用機の開発も進めています。

 

ダイワ・ド・ブラジル・テキスタイル

 

最新の紡績設備を導入
陽気さを生かしてより良い工場に変革

本社から一番遠く離れ、日本から見ると地球の裏側、ブラジル国にあるのがダイワ・ド・ブラジル・テキスタイルです。ウベルランディア市の本社工場とサンパウロ市の事務所で綿紡績事業を展開しています。
主に糸販売等の営業活動を実施するのがサンパウロ事務所。人口1100万人を抱えるサンパウロ市内のパウリスタ通り沿いにあります。パウリスタ通りはサンパウロ市内でも一番の目抜き通りであり、大阪でいうならば御堂筋と同じようなオフィス街。地下鉄もありダイワ・ド・ブラジル・テキスタイルのスタッフも時々利用します。また、クリスマスにはツリーが豪華に飾られ、夜ともなると色とりどりのイルミネーションがとても華やかです。
一方、本社工場はサンパウロ市から北へ約500㎞離れたウベルランディア市の工業団地内にあります。ウベルランディア市はブラジル南東部ミナスジェライス州第2の地方都市。標高約850mの高地のため朝晩は肌寒く感じることもありますが、日本と異なりからっとした快晴の日が多く、とても過ごしやすい気候です。また、ブラジル国内でも有数の肉の産地で、日本でも有名なシェラスコ料理は、言うまでもなく絶品。とくに生ビール“Chope(ショッピ)”との相性は最高です。

 

 

本社工場の規模は、敷地面積が約23万㎡あり、甲子園球場の約6倍の広さ。従業員数約340名が在籍し、紡績設備はオープンエンド精紡機のBDとリング精紡機約4万錘を擁します。ニット用途の綿糸を中心に月間約400トンの生産を行っています。
今年の6月、前紡(初紡)工程に最新式コーマ機6台の増設が完了し稼働も開始しました。ダイワ・ド・ブラジル・テキスタイルは従来、カード糸の生産・販売が中心でしたが、今回の設備導入によってカード糸とコーマ糸の生産比率も逆転することになります。安定した販売が続いているコーマ糸の生産・販売を中心とする体制が整いました。
現地に駐在する日本人スタッフにとっては、生活習慣や言葉の違いから、戸惑いを感じる場面もありますが、全従業員が一丸となり、ブラジル人の持ち前である陽気さも活かして、これまで以上により良い工場となることを目指しています。