オーエム製作所

創立70周年 モノ作りの中核拠点・長岡工場
最新設備導入で加工技術を含めたソリューションビジネスを推進

産業機械事業の中核事業会社であるオーエム製作所は、2019年に創立70周年を迎えました。新潟県長岡市の長岡工場は、主力製品である立旋盤をはじめとした工作機械の製造を担う中核拠点です。最新設備の導入も進め、多様化するユーザーニーズに応えるソリューションビジネスを推進しています。

 

 

 

内覧会には約850名が来場する盛況に

1949年に設立された大和機械工業がオーエム製作所の前身ですが、長岡工場のルーツはさらに1906年(明治39年)に設立された「長岡鉄工所組合」までさかのぼります。当時は油田のボーリング機械を生産していましたが、1913年に長岡鉄工所が設立され、工作機械の製造に転換しました。その長岡鉄工所を退職した山田多計治氏が1920年、大阪に移り「大阪機械製作所」を設立します。1933年に大阪機械製作所が長岡鉄工所を買収し、1943年に黒篠工場となりました。これが現在の長岡工場です。

以来、長岡工場はオーエム製作所の中核拠点として大きな役割を果たしてきました。2019年7月にはユーザーなどを招待して内覧会を開催しました。約850名が来場し、航空機エンジン関連で需要のある立旋盤「RT-915」やAI、IoTを用いた各種システムを紹介しました。特に、複数の機械を1台のPCで管理できる機械稼働効率化支援システム「OTAM」や、RT-915が従来の機種より大幅に操作性が向上している点など、省人化・省力化への取り組みが注目を集めました。さらにRT-915は、基本仕様を統一することで仕込み生産を実施し、据え付け工事期間も短縮できるため、ユーザー企業における生産の垂直立ち上げに貢献します。

また長岡工場では、設備の高度化を進めており、2017年には恒温室2棟と三次元測定機を設置しました。恒温室は室内温度を15℃から35℃までの範囲で、プログラムで自在に設定が可能となる設備です。±1℃の温度精度が保証されるため、この中に機械を入れてテストすることで、さまざまな条件下での性能を検証できます。また三次元測定機の導入により、ユーザー企業が試削りした加工物の精度の検証が可能となりました。恒温室や三次元測定機を営業ツールとして活用すると同時に、蓄積したデータを生かした最適な加工技術の提案などのソリューションビジネスを展開しています。

一方で、長岡工場では旧型の製造設備の更新にも着手し、2019年度に3台、2020年度には4台を導入予定で、工場拡張も実施しています。新しい加工技術に対応した最新鋭機の導入により、無人運転時間を拡大してコストダウンを図ることが目的です。また生産現場に若手社員が増えていることから、従来の品質を維持・向上させながら、生産効率向上・コストダウンに取り組む「ものづくり推進室」を新設しました。作業の改善、スピーディーな部品調達などに対応した体制を構築することを目指します。

 

これからも「百年残る仕事をしよう」

 

オーエム製作所は、1949年に大和紡績から分離し、大和機械工業として設立してから創立70周年を迎えました。過去には幾度も景気後退局面がありましたが、これからも事業拡大を目指すことができるのは、従業員、地域、取引先の皆様のおかげです。また、忘れてはならないのはOB 方々の存在です。景気変動の山谷が大きい業界で、さまざまな試練を乗り越え、ブランドを維持できたことにあらためて感謝しております。

工作機械業界は、米中貿易摩擦に起因し、2019年からは受注額の前年割れが続いております。その中で、当社は主力の立旋盤の強みを生かし、需要が見込める航空機エンジンや宇宙関連分野でのシェアを国内で拡大しており、海外市場でも、国内のビジネスを支えた経験と技術を駆使し、航空機関連だけでなく宇宙開発が盛んな民間ロケット分野からの受注を獲得することができました。また長岡工場内の生産性向上を図るため、加工機械設備を順次更新しております。恒温室を作り、大型の三次元測定機を設置するなどユーザーへのソリューション提案が可能となりました。そしてサービスの向上としては、兵庫県播磨町に「播磨テクニカルセンター」を開所しています。実機を配置して試削りを行い、NCスクール(操作プログラム研修)も開催するなど、西日本地域のユーザーから好評です。

創業から現在まで、ユーザーの皆様にオーエムの製品をご指名いただき、オーエム製作所を育てていただきました。これからも、品質とサービスで応えてまいります。また生産の増強につきましては、製造業の根本となる技能伝承が重要な課題となっています。今後も会社を盤石で強固な体制とするためには、技術力の向上が必須です。これまで以上に教育訓練の充実に力を注ぎ、絶えず変化するユーザーニーズに対して、全員が対応できる体制を目指してまいります。そして、会社のスローガンの一つである「百年残る仕事をしよう」の意識を浸透させることで組織の活性化を図り、次の時代に紡いでまいります。

 

多彩な分野で「OM」ブランドを発信
「第6回鉄道技術展」「JAPAN PACK 2019」に出展

 

「JAPAN PACK」で最新機種を実機展示

オーエム製作所は、2019年11月27日から29日の3日間、千葉県の幕張メッセで開催された「第6回鉄道技術展」に出展し、間もなく完成する新型床下車輪旋盤「U2000-400」をパネル展示で紹介しました。全体の来場者は35,136名と盛況で、多くの来場者に対してブランドを発信しました。オーエム製作所は、鉄道車両の車輪をメンテナンスする車輪旋盤で国内のトップシェアを持っており、鉄道の安全と乗り心地の向上を支えています。これからも、顧客に信頼される機械とサービスを提供してまいります。

自動包装機械などを製造販売するオーエム機械は、2019年10月29日から4日間、幕張メッセで開催された「JAPAN PACK 2019日本包装産業展」に出展しました。「きっとみつかる、あなたの方程式」をテーマに、総来場者数は33,539名を数える大規模な展示会となり、オーエム機械は主力の自動包装機械の実機を2台出展し、注目を集めました。「VCRC75横型カートニングマシン」は省スペース設計で、箱詰めする商品をロボットが供給する構造により少数のオペレーターでの高速生産に対応する機械です。また半自動タイプの「VCVD60立型カートニングマシン」は、簡単にサイズチェンジができて、ロボットにより小箱を効率的に集積できる点を紹介しました。今後も積極的に多分野の展示会に出展することで、「OM」のブランド力を高め、受注獲得につなげてまいります。