特集 副担当インタビュー

現在、ダイワボウホールディングスはリブランディングと人的資本経営を軸に、グループの進化を目指しています。その中心的な役割を担う経営戦略と経営管理の両部門の副担当に、中長期ビジョン『2030 VISION』の達成に向けた活動についてお話を伺いました。

ダイワボウホールディングス
経営管理副担当 兼 法務コンプライアンス室長

濱田 直治

ダイワボウホールディングス
経営戦略副担当 兼 経営企画室長

奥野 誠

━ ダイワボウホールディングスの経営部門において、「副担当」というポジションはどんな役割を担うのでしょうか。

 

濱田 副担当は担当取締役の補佐をしながらグループ全社の経営戦略や重点方針の策定に関与します。私の場合は経営管理担当である山下常務を補佐しています。常に事業環境の変化を捉えた判断・対応をしながら、全社の経営目標達成に向けて前線で社内を指揮統括する役割を担っています。
業務を執行する立場として、具体的には法務コンプライアンス室を基本に、ホールディングスの人事総務室や財務管理室、1月に新設したウェルビーイング推進室といった部署を担当し、経営管理の視点で会社が健全で公正な経営を行うために必要な仕組み作りや機能強化を推進しています。

 

奥野 経営戦略担当は会社の持続的な成長とパーパスの実現に向けた戦略や計画を策定し、実行する役割です。経営管理が法律や外的要因からの守りだとすれば、経営戦略は新たな飛躍のための攻めの部隊で、お互いに密に連携しながら運営していくことを重視しています。
私は経営戦略担当の猪狩専務を補佐しながら、ホールディングス内の経営企画室を基本に、IR広報室、ESG推進室といった部署を担当し、長期視点でグループ全体の成長ビジョンを描き、実行していくことを主眼として取り組んでいます。

 

 

━ 濱田さんは自動車メーカーやコンサル、医薬品メーカーと幅広い経歴をお持ちです。いまグループ拡大による新たな体制づくりや事業ポートフォリオの再構築が進む中で、これまでの経験からどのような取り組みが重要だとお考えですか。

 

濱田 以前の会社でグループ拡大を推進した経験があり、その知見を活かせると考えています。ホールディングスという視点で見ると、グループ各社で統制が難しい「ガバナンス(権限・決裁)」「規程・ルール」「内部統制・リスク管理」「人事制度」といった “会社の基盤” を共通言語で整理することが重要です。これまでの様々なコーポレート領域の経験を活かし、経営の意思決定が現場でぶれずに実行される状態を作っていくことが私の重要な役目です。
入社を検討する際、ITインフラ流通事業の堅実性と成長性、中計での方向性が明確だったことが大きな魅力でした。経営の方向性が明確だからこそ、やるべきことが具体化しやすく、成長局面での管理の仕組みのアップデートなどで貢献できると考えました。
例えば、事業ポートフォリオの再構築に伴うM&Aの検討・実行が進む局面では、経営企画室が描く成長シナリオに対し、経営管理の立場から対象企業の成長可能性やリスクを評価・調査しながら管理面の論点を整理し、統合後はPMIでの制度・運用の統合と定着を担います。やはり、M&Aの実現により歪が生まれないことが何より重要で、様々な検証と施策を講じながらグループ経営管理の精度向上を実現していきます。

 

※PMI(Post Merger Integration):M&A成立後の経営統合プロセス

 

━ 入社後の初期ミッションはどういった内容でしたか。

 

濱田 産業機械事業で発生したランサムウェア被害への対応と、その後のグループ情報セキュリティ体制を構築することでした。幸いにもグループ内にダイワボウ情報システムがあることで迅速に対応できました。やはりITインフラ流通事業ではセキュリティに対する意識は高いものの、グループが拡大していく際には共通認識と仕組みづくりが欠かせません。他社の被害などが報道されたことで意識向上は促されましたが、重要なのは「対応」だけでなく、再発防止を含む仕組み化とグループ全体で統一した考え方と運用の整備です。セキュリティは “守り” でありながら、事業継続と信頼の重要基盤として、企業価値に直結する主柱の一つです。

 

 

━ 中長期的な取り組みが必要な人的資本戦略について、どのような視点から施策を進めていますか。

 

濱田 ダイバーシティー&インクルージョンの観点からも、誰もが活躍できる職場づくりを構築することが第一だと考えます。そのうえでグループ全体として考えなければならないのは、女性活躍推進や働きやすい環境への改善、そして働き甲斐が醸成される環境をどう作り出すか。女性管理職比率はまだわずかで、エンゲージメントと共に向上させる必要があります。
これまでの経験からも単に制度を作るだけでは変化は起こりません。その真意が現場へ浸透することで一人ひとりが実感できる施策へと進化していきます。AI(人工知能)が進化するいまこそ、企業の成長を支える人への投資が重要で、中長期の価値創造につながると考えています。また、従業員の健康面は仕事の効率やエンゲージメントにも直結するので、あらゆる施策の運用を検討していきます。

 

━ 奥野さんは大手鉄道会社での人事や事業会社設立・管理、さらにM&AやCVCの立ち上げまで幅広いご経験をお持ちです。それを当社でどう活かそうとお考えですか。

 

奥野 まず、当社への転職を希望したのは、50 代を迎えたところで新たな業界・分野へ挑戦したかったからです。いまの当社には、M&Aも含めた新しい事業領域へ挑戦できる “伸びしろ” がたくさんあります。これまでの新規事業の経験を活かすだけでなく、いまは全く新たな挑戦を経営層と一緒に様々なアイデアを出し合いながら実現していけるという期待感で一杯です。

 

 

━ グループ経営の戦略面だけでなく、子会社の経営管理、新規事業創出、さらにIR・ESGも担当所管です。広い守備範囲の中で、まず強化すべき点はどこでしょうか。

 

奥野 最も意識しているのは、既存の中核事業の強みを伸ばし続けながら、同時に次の収益の柱となる成長領域・新規事業を準備することです。この両輪を回し続けることが中期的な成長の原動力となりますが、後者はM&Aや新たなアライアンスもその源泉となるため、私の経験値だけでなく、濱田さんが担う経営管理とのより密な連携が重要になります。
あらゆる挑戦へのチャンスを逃さないためには、意思決定や実行のスピードが重要です。いま事業会社ごとの事業計画や予実管理、KPIなどを共有しながらスピード感を持った意思決定と、成長投資の判断が適切に行える体制づくりを目指しています。また、グループ全体のあらゆる情報を社内外のステークホルダーに正しく伝えることはIRやESGの情報開示ともつながります。リブランディングを進める段階において、当社の実像やポテンシャルを社会に広く知っていただく活動へと発展させていきたいと思います。

━ 中長期ビジョン『2030 VISION』では、IT市場全体を “つなぐ”「All-in-One Solution Company」になることを目指されています。実現に向けた重要ポイントは何でしょうか。


奥野 『2030 VISION』は、「2040 年や2050 年を見据えた礎」だと考えています。IT分野はテクノロジーの進化だけでなく、それが利用されるシーンも日々拡大しています。新しいビジネスなども想定しながら常にそういった事業環境の変化をキャッチアップしていなければなりません。ですから『2030 VISION』の実現は、将来の競争力獲得に向けた通過点だと思っています。その第一歩は既存の強みを基盤に、グループ各社が提供できる価値をさらに進化させていくことであり、また同時にM&Aやアライアンスなどを通して、グループ全体としての新たな提供価値を作り出すことだと考えます。そうした戦略を構築し、実行まで落とし込んでいきたいと思っています。
その戦略実践には、事業横断で活躍する人材や変化に対応できるナレッジが欠かせません。経営戦略としては、チームとして人材獲得やスキル向上に取り組むとともに、具体的なプロジェクトや制度、挑戦できる環境づくりなど、経営管理としっかり連携し、取り組んでいく予定です。

 

 

━ では『2030 VISION』を達成するために、経営戦略(攻め)と経営管理(守り)をどのように連携していきますか。

 

濱田 グループの皆さんには、コンプライアンスやガバナンスといった守りを強化することは挑戦に対するブレーキではないことを理解していただきたいと思います。“守りの役割” を正しく理解して行動することで、安全・安心な挑戦が可能になります。特に成長投資やM&Aの局面では財務や法務、人事といった基盤が整っていることで、優位な攻めや理解ある合意形成が図れます。つまり、経営戦略と共にグループ経営の基盤づくりをしているのです。


奥野 成長投資や新規事業の検討において、まず「その投資判断が合理的か」を仮説と根拠を揃えて説明できる状態にすることが重要です。例えば、狙うべき市場や提供価値、収益モデル、想定リスクなどを整理し、KPIやマイルストーンに落として投資後の検証まで設計します。その際、社内ルールや経営状況を踏まえた目線で管理することが重要です。
M&Aやアライアンスでは、実行段階の「やり切る仕組み」の有無が成否を分けます。事業会社の実行責任や体制整備、意思決定プロセス、PMIの進め方までを組み立てることで、投資のスピードと成功確度が高まります。計画当初からガバナンスや管理基盤とセットで検討し進められれば、そのプロジェクトはより高い確率で実現できると思います。

 

 

━ 中長期ビジョン『2030 VISION』達成に向け、成果として形にしたいことを教えてください。

 

濱田 エンゲージメント向上と健康経営の定着を重要課題と捉えています。働く人々と企業の関係は日々進化を続けています。人的資本戦略の正解は一つではないものの、現場の人々が働きやすさの向上や仕事のやりがいを実感し、常に目標やビジョンが持てる環境づくりを目指しています。そのために、まず各社で実施していたエンゲージメント調査をグループ全体へと広げました。また、事業リスクも多様化するなか、グループとしての情報セキュリティ体制については、運用面までを含めた強化策を常に更新していく必要があります。様々な部署や人々の理解と協力を得ながら、2030 年までにこの2つをグループ全体の仕組みとして実働させることが大きな目標です。

 

奥野 ITによって社会の様々なインフラが再構築されていく今、成長に向けた新規領域の種は市場においても当社グループの中にも無数にあります。それを一つひとつ事業化や社会実装に向け、具体案件として挑戦できるよう前進させていくことが重要な役割です。そのためにグループ全体の人や情報・知見の交流を促進させていきます。それはグループとしての経営推進力を高めることにつながり、そのDNAを次世代につなぐ人財育成の役割も果たします。グループ各社や様々な部署で若い世代が相互につながり、つぎつぎと活躍していく、そんな面白い会社を目指していきたいですね。

 

 

━ 最後にグループ全社の従業員に向けて、メッセージをお願いします。

 

濱田 生成AIやAIエージェント、フィジカルAI などが社会を大きく変化させていく中、企業と人々の関係も変わっていくことが予測されます。そうした変化にいち早く順応できる仕組みづくりを通じて、安心して果敢に挑戦できる環境を整備していきます。変化や進化の兆しは現場にあります。その声を起点に皆さんと理想の働き方を追求していこうと考えています。

 

奥野 事業ポートフォリオの再構築といった大きな変革は一つの部署だけでは実現できません。各社・各職場での挑戦や交流の積み重ねが大きな潮流となり、企業価値を向上させていきます。経営戦略の起点は、様々な場所にあります。そうした現場との対話を重視しながら、自らの役割を果たし、グループに貢献していきたいと考えています。