当社グループは、事業活動を通じて関係するサプライチェーンの課題把握や持続可能な商品・原材料の安定供給を推進するため、2023年6月に「ダイワボウグループCSR調達ガイドライン」を制定しました。また、サプライヤー様との「公正で良好な取引関係」実現のため、当社グループのESG推進会議を通じて、今年度よりCSR調査を実施しています。近日、調査結果をWEBサイトで開示予定ですが、概要をご紹介します。
責任ある調達活動が求められる社会背景とは
グローバル化が加速する現代では、企業活動は世界各地の社会問題と密接に関係しています。脱炭素社会の実現に向け、業界トップランナーはサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量削減に積極的に取り組んでおり、取引先への協力も不可欠となっています。さらに、自社のみならず取引先における人権侵害や違法行為も、消費者やメディア、政府からの厳しい批判の対象となり、企業の社会的責任がますます重要になっています。
企業は、必要な商品・原材料を安定供給するために品質とコストだけでなく、サプライチェーンにおける人権リスクへの配慮として、サプライヤーの労働環境や人権状況を調査し、改善を促す取り組みが求められています。これは、企業の持続的な成長と社会的な信頼獲得に不可欠な要素となっています。
CSR調達調査とは
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の「CSR 調達セルフ・アセスメント質問表(SAQ)」を活用し、調査を実施しています。
参考:CSR 調達 セルフ・アセスメント・ツールセット
調査項目
(1)CSRにかかわるコーポレートガバナンス、(2)人権、(3)労働、(4)環境、(5)公正な企業活動、(6)品質・安全性、(7)情報セキュリティ、(8)サプライチェーン、(9)地域社会との共生となります。
2023年度調査概要について
各事業特性に応じて、サプライヤー調査を実施し、評価結果をグループA、B、Cにグループ分類。
CSR調達調査のサプライヤーごとの取組状況をもとにグループ分けを行い、毎年、CSR調査の実施を予定しています。

今後も取り組みを継続
当社グループのCSR 調達方針に基づいて責任ある調達活動に取り組むことは、社会的責任を果たす取引先と強固な信頼関係を築き、サプライチェーン上で環境や人権などの社会性側面と品質・価格の両方に資するとともに、変化するビジネス環境において競争優位性を高めることにつながります。
今後も下記に配慮しながら持続可能な責任ある調達を目指しますので、従業員の皆様にもご協力をお願いいたします。
■ 環境に配慮した調達
■ 公平で透明性のある調達
■ 人を尊重する調達
- 拡大
- ダイワボウホールディングス
ESG推進室
室長
嶋村 貴史
社会背景
持続可能で豊かな社会の実現を目指し、企業が長期的に成長するためには、経営においてESG の3つの観点が必要になります。また、サステナビリティ経営の3要素である環境、社会、経済の関係において経済活動の前提としての社会があり、さらに社会が成り立つ前提として環境があるとの考えにより、ビジネスが社会や環境を毀損すればビジネスそのものが成り立たなくなります。つまり、株主利益だけではなく社会課題の本質的な解決に向けた企業経営の実践が求められています。昨今、温暖化や水不足、生物多様性などの環境問題、人権問題や差別などの社会問題など、人類はさまざまな課題に直面していますので、社会的影響力が大きい上場企業には情報開示を求める国際的な枠組みの構築が進められています。
サステナビリティの情報開示基準をめぐっては「気候変動」の次の候補として「人的資本」「人権」「生物多様性」が挙がっています。中でも特に、企業価値において無形資産の重要性が高まる中、企業活動の基盤となる「人的資本」については、投資判断を行うにあたって重要視する投資家からの強い要望により、情報の開示要請が近年加速しています。例えば、人的資本に関する取り組みが具体的にどのように将来の財務に影響(エンゲージメント向上による生産性向上など)を与えるかを可視化し、その影響の相関関係や因果関係を示すことなどが求められています。
人権については昨年4月に経済産業省より「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が公表され、人権リスクの重要性だけでなく、人権尊重が経営リスクの回避や、企業価値の向上に繋がるとの観点も示されています。また、原材料の調達網が世界中に広がるなか、サプライチェーン(供給網)上での人権リスクのマネジメントが重要となっております。仮に第三者によって引き起こされる人権侵害であっても自社の製品やサービスと直接関係していると見なされる場合には人権への負の影響に対処することも必要となります。
グループ全体で取り組むESG活動
ESG課題は企業にとって事業に影響を及ぼすリスクであるとともに、成長や収益の機会にもつながるものでもあります。当社グループにおいても事業継続と成長に欠かせない重要課題と位置づけ、社会課題解決と事業の成長を両立させることを目標に、優先して取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を設定し、グループを挙げて取り組んでいるところです。社会課題の中でも特に、持続可能な商品・原材料の安定供給のための「CSR 調達」、人材を付加価値の源泉と見なす「人的資本」、気候変動の緩和を促す「脱炭素」、これらの取り組みを積極的に進めていくことは、社会からの信頼にも繋がり、持続的な成長の礎になっていくでしょう。
当社はパーパスにおいて、「バリューチェーンで人をつなぐ、社会をつなぐ、未来へつなぐ」と標榜しております。サプライチェーン上のリスク軽減への取り組みは社会課題の解決とともに当社グループ事業基盤も強化される優先順位の高い活動となります。そのようなESG活動の取り組みを進めていくことで、ブランド力が高まり、従業員の働きがいやエンゲージメント向上につながればと考えています。