ダイワボウ情報システム(DIS)のICT 総合イベント「DIS わぁるど」が長崎で開催されました。「DIS わぁるど in 長崎」は昨年末の12月11日と12日の二日間にわたって長崎駅そばの「出島メッセ長崎」で開催され、二日間で延べ4,353 名の来場者を集める盛況ぶりでした。

ダイワボウの実業団チームで活躍 ソフトボール選手からゴルファーに転向
毎年恒例のDIS のICT 総合イベント「DIS わぁるど」が長崎で開催されました。今年は「Open Our New Digital World 〜AIを活用し、DXを実現する、デジタル社会の未来を開幕せよ〜」をテーマに掲げ、普及が本格化しているAIを活用してビジネスや社会の変革を加速させるための情報の発信(セミナー)と、ソリューションの紹介(展示会)が行われました。
セミナーではIT 活用とビジネスのヒントとなる講演に加えて、女子プロゴルファーとして世界で活躍した岡本綾子氏が特別講演に登壇し、ゴルフを通じて得た多くの貴重な経験と教訓を語り、ビジネスに役立つ情報を提供してくれました。
岡本氏は日本ツアー44 勝、海外ツアー18 勝の通算62勝を誇り、日本の女子プロゴルフ界を活性化させた立役者の一人として知られています。岡本氏のこれまでの活躍を通じて得てきた経験には、ゴルフに限らず我々のビジネスや日常生活に役立てられる教訓が詰まっています。
実は岡本氏はプロゴルファーになる前はソフトボール選手でした。しかもダイワボウホールディングスの実業団ソフトボールチームのエースとして活躍し、1971 年に開催された「国民体育大会」(現在の国民スポーツ大会)で優勝を飾った経験があります。この祝勝旅行先となったハワイでゴルフ場を見学したことが、ゴルフとの出会いだったそうです。
その後、1974 年に実施された日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストに合格し、晴れてプロゴルファーとなりました。そしてプロデビュー1 年目に「美津濃ゴルフトーナメント」で初優勝を飾り、その後も数々の試合で優勝を果たし、1981 年には年間8 勝を挙げて賞金女王に輝きました。
快進撃を続ける岡本氏は1982年から世界のトップゴルファーが集まる「米国女子ゴルフツアー(LPGAツアー)」に本格参入し、同年の「Arizona Copper Classic」で優勝するという快挙を成し遂げました。
その後、1987 年に開催されたLPGA ツアーの「Kyocera Inamori Golf Classic」「Chrysler-Plymouth Classic」「Lady Keystone Open」「Nestle World Championship」において4勝を記録し、米国人選手以外で初となる賞金女王に輝くと同時に、年間最優秀選手賞を獲得するなどの大きな功績を残しました。
2005 年にはゴルフで顕著な活躍をした選手やゴルフの発展に大きく寄与した人物に対して功績を称えるために設立された「世界ゴルフ殿堂」の「国際投票部門」において殿堂入りも果たしています。

プロゴルファー
岡本綾子氏

岡本氏がスイングのフォームを直々に伝授
曲がる悩みを曲げる楽しみに変える 見方や気持ちの切り替えで好転させる
特別講演では聴講者から事前に質問を募り、岡本氏がアドバイスする時間が設けられました。ゴルフに関する質問では「ゴルフのスイングにおいて生かして良い癖と悪い癖の線引きがわからない」という相談に対して岡本氏は「良いスイングとはテンポ良く振って目標までボールを確実に打てる動きです。悪い癖のように思われる動きでも、テンポ良く振れるようになれば、それは癖から個性へと変化していきます。良いスイングを身に付けていくためには、練習して数をこなすことも大切です」とアドバイスしました。
また「メンタルコントロールが難しい」という悩みに対して岡本氏は「It’s not my day(今日はついてない)という表現があります。試合結果が悪い時などに落ち込むのではなく『今日は私の日じゃなかっただけ』とポジティブに気持ちを切り替えることでメンタルを安定させられます。常に変化を求めて挑戦していくという気持ちも大切です」とアドバイスしました。
講演の最後には岡本氏直伝のゴルフレッスンがステージ上で行われました。聴講者の一人がステージに上がり「ドライバーショットが左右に散ってしまう」という悩みに対して、みんなそうだと前置きをした上で岡本氏は「意図的に曲げて打つ」ことを提案しました。いつでも真っ直ぐ打てる保証はなく、真っ直ぐ打つことを狙ってミスしたときのショックは大きいものです。曲がるボールに悩むのではなく、曲げる楽しさを身に付ければゴルフの幅も広がるという考え方だといいます。
ゴルフが上達するための練習方法として「60 秒スイング」を紹介しました。岡本氏は「60 秒かけてゆっくりスイングしてみてください。スローモーションで行うことで、自分の体がどのように動いているのかわかり、徐々に正しいスイングができるようになります」と説明し、実践方法とその効果を説明しました。このような岡本氏の講演内容は、ゴルフだけではなくビジネスや日常生活でも生かせるアドバイスでした。
生成AIとWindows 10サポート終了 そしてGIGAスクールに関心が集まる
展示会場には国内外から214 社の ITベンダーが集結し、これからの AI 活用時代を見据えた各社自慢の製品やサービスが紹介されました。ユーザーの AI 活用に欠かせない半導体を提供するインテルは AI PCとSTEAM 教育にフォーカスした展示を行いました。
AI 処理に特化したプロセッサーであるNPUを搭載するAI PCにおいて、インテルでは NPU の性能だけではなくさまざまな演算処理を行うCPUや、グラフィックスの処理を行うGPU の性能も重要となり、NPUとCPU、GPU の三つのプロセッサーを適材適所で効率よく動作させられることが求められると説明し、最新の AI PC 向けプロセッサーである「インテル® Core™ Ultra プロセッサー」および「同シリーズ 2」をアピールしました。
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- インテル

インテル
パートナー事業本部
コマーシャルチャネル営業統括部
営業統括部長
植野 利隆氏
学校をはじめとした教育分野にも注力するインテルのブースでは STEAM 教育に関連したミニセミナーも実施されました。講師に福岡県飯塚市立飯塚鎮西小学校 校長 合田賢治氏を招き、インテルをはじめとした民間企業との協働でスタートしたSTEAM 教育の実証事業の取り組みや、同校に整備した教室(STEAM Lab)となる「ii-Lab(いいラボ)」について説明しました。
ii-Labにはインテルのプロセッサーを搭載した高性能PCや3Dプリンター、動画撮影が可能な機材や編集が可能なアプリケーションなどが整備され、可動式の机や椅子の配備によってアクティブラーニングが行いやすい環境が実現されました。
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- 福岡県飯塚市立飯塚鎮西小学校
校長 合田賢治氏
2025 年は Windows 10 がサポート終了を迎え、その対応策としてWindows 11 搭載 PC への入れ替えが IT 業界に大きなビジネスチャンスをもたらすと話題となっています。さらに全国の公立小中学校に「GIGAスクール構想」で整備されたPCやタブレットなどのデバイスの入れ替え時期を迎え、デバイスの需要が急増する「GIGAスクール構想 第 2 期」(NEXT GIGA)も2025 年に本格化します。これらのビジネスに大きく関わるのがマイクロソフトです。
DIS わぁるど in 長崎に出展した日本マイクロソフトのブースでは世界中の関心を集めている生成 AI の「Microsoft Copilot」や、生成 AIおよび AI 機能の活用に最適化された新しい PC のカテゴリーである「Copilot+PC」が紹介されました。
またWindows 10 のサポート終了に関しては、「いまからでも遅くない Windows 11 提案」と題して、販売パートナーが顧客に対してWindows 11および搭載 PCをどのようにアピールしていくべきかを解説するミニセミナーが行われました。
マイクロソフトの調査(2024 年 11月)によると、国内法人PC市場では約1,900万台のデバイスがWindows 10 Pro からWindows 11 Pro への切り替えが完了しておらず、大きなビジネスチャンスがあるとアピールしました。
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- 日本マイクロソフト

日本マイクロソフト
デバイスパートナーセールス事業本部
マーケティング戦略本部
Commercial Windows 戦略部長
仲西和彦氏
世界のクラウドベンダーも集結 日本でのビジネスはDISに期待
世界トップクラスのクラウドベンダー各社もDIS わぁるど in 長崎に出展しました。Google のブースでは「Google Workspace」「Google for Education」「ChromeOS」の三つのテーマで展示が行われました。これから需要が本格化するGIGAスクール構想 第 2 期に関連するビジネスに興味を持つ来場者が多く、Google のブースでは GIGAスクール構想 第 2 期でデバイスの入れ替え需要に適したChromebookをアピールしており、PCメーカー各社の実機を展示して来場者にそのメリットを説明していました。
またクラウドサービスの Google Workspaceに関しても、GIGAスクール構想の ICT 活用環境に多く導入されていることや、同社の生成 AI「Gemini」などをアピールしていました。
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クラウドベンダーとして世界中で存在感の強い AWS(Amazon Web Services)の日本法人、AWSジャパ ン(アマゾン ウェブ サービス ジャパン)も出展しました。同社のブースでは日本でのクラウドサービスのさらなる普及に向けて、AWS のクラウドサービスはセキュリティ性能とパフォーマンスを高いレベルで両立し、従量課金制のため余分なコストがかからないなどのメリットを来場者にアピールしました。
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- アマゾン ウェブ サービス ジャパン
プロのクリエイター向けソフトウェアベンダーとして知られるアドビも、今やクラウドベンダーとして世界中でビジネスを伸ばしています。アドビのブースでは新たなライセンスモデルである「VIP Marketplace」やPDFソフトウェア「Adobe Acrobat」などの製品が紹介されました。
同社の製品は今回のDIS わぁるどの開催地である九州地域の文教や官公庁に多く導入されていることをアピールしながら、DISおよびDISの九州地域のパートナーと連携してビジネスを伸ばしていくことを期待していました。
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- アドビ
展示会場は「ITインフラ基盤」「ネットワーク」「アプリケーション・AI」「モバイル・エッジデバイス」「行政・地域・教育 DX」などのカテゴリーごとに最新のテクノロジーやソリューションが展示され、各ブースでは説明員の話に耳を傾け、熱心に質問する光景が目立ち、日本の ITビジネスの勢いが増していることを実感できた二日間となりました。
