ダイワボウホールディングスは、2022年4月より東証プライム市場に上場し、持続的な成長と企業価値の向上を実現するために、ガバナンス体制の強化およびグループ経営戦略の推進に力を入れています。西村幸浩社長に、今後の見通しや将来に向けた具体的な取り組みについて語ってもらいました。

ダイワボウホールディングス
代表取締役社長
西村 幸浩

―今期(2023年3月期)の見通しや各事業の重点施策の状況はいかがでしょうか。

 

当社グループの中期経営計画は、ちょうど3ヵ年の半分を終えるタイミングとなります。前半戦を振り返ると、コロナ禍を背景に市況がダイナミックに変化しましたが、特に世界的な半導体不足や原燃料高騰が各事業に深刻な影響をもたらしました。下期以降も需要面では回復基調にあるものの、予測が難しい事業環境が続くと考えています。


ITインフラ流通事業では、一部製品の供給不足や納期遅延が継続していますが、調達力・在庫力の優位性と全国各地の需要への対応力を発揮することで、ビジネスモデルの強みが生かせる局面とも言えるでしょう。また重点施策として掲げているクラウドサービス分野の事業領域拡大については、計画達成に向けて順調に進捗しています。


繊維事業では、原燃料価格の高騰に加えてコロナ禍による市場縮小が長期化し、当初計画より利益水準の引き下げを余儀なくされましたが、構造改革により体制を整えた上で、研究開発の拡充、経営資源の最適配分を徹底して持続的な業績貢献に向けて取り組みます。


産業機械事業については、受注は回復傾向にありますが、需要の見込める市場にフォーカスした提案をしていくことが課題です。あわせて、サービス関連のビジネス拡大により収益力を向上し、従来の主力であった航空機分野の需要回復に備えて体制を強化しています。


そして、各事業を評価する重要な指標が、投下資本に対する利益率を表すROICです。これを日頃から強く意識することをグループ各社の経営層とあらためて共有しました。KPI(重要業績評価指標)に基づくモニタリングや、投資に対する効果測定を徹底し、資本効率を重視したグループ戦略を浸透させていきます。


当社グループでは、期初に中核会社の全役員が出席する「経営方針発表会」により各社方針を周知していますが、今期より事業計画の中間進捗を確認する「中間レビュー会議」を新たに開催することで、グループ全体の計画達成に向けた課題を明確にして成長戦略を議論する機会を増やしていく予定です。

 

―ホールディングスとして今期から新たに取り組んでいることはありますか。

 

まず期初に組織を改正し、新たに経営戦略室とESG推進室を設けました。経営戦略室については、グループ全体の経営情報とステークホルダーとの対話情報を集約・活用し、経営戦略とIR戦略の一貫性を高め、より幅広い観点から戦略を策定するとともに、迅速な意思決定を推進する体制としました。


ESG推進室は、社会的な重要課題の達成に向けて、グループ一体となった施策の企画立案および活動推進に取り組みます。特に当社グループのように異なる事業で構成され、シンプルに表現できないビジネスモデルでは、当社の強みや将来性を正しく評価してもらうために、より丁寧なIR活動が不可欠となります。単に情報を外部発信するだけではなく、社内外の情報を効率的に集約することで、有意義な意見を経営にフィードバックするために経営戦略室と各事業会社との連携強化に努めております。


また8月に本社事務所を移転しました。当社が持株会社としてグループ経営戦略を推進する上で、ITインフラ流通事業の中核事業会社であるダイワボウ情報システム(DIS)との連携がこれまで以上に重要となり、DIS本社と同じビルに入居することで活動を加速していきます。


そして上場企業としての役割については、取締役に対する業績連動型株式報酬制度の導入や継続的な自己株式取得など、株主価値向上に資する取り組みを進めています。

 

本社事務所の移転

2022年8月22日、ダイワボウホールディングスは

中之島フェスティバルタワー・ウエスト(大阪市北区)に

本社事務所を移転しました。

 

―ESG推進などの持続的成長に向けたグループの動きについて教えてください。

 

当社グループは成長戦略を着実に実行するとともに、サステナビリティ活動を一層推進していくことで企業価値の向上を目指しています。


今期から始動したESG推進室では、プライム市場上場企業に求められる適切な情報開示に対応する体制を整えました。また、各種データ公表や目標設定の段階から、運用フェーズへの移行を掲げています。


そして事業会社と連携したプロジェクトを立ち上げ、当社グループの存在意義である「パーパス」を定めるとともに、持続的成長に向けた「価値創造ストーリー」を策定する予定です。

 

個々の事業単位の発想だけでは、将来にわたる企業価値の創造は実現できません。グループ全体を俯瞰する視点、そしてステークホルダーを含めた広い視野を共有しながら、方向性を協議していくことが重要と考えています。これからも、取引先、従業員、株主、地域社会など、さまざまなステークホルダーからの声を真摯に受け止め、長期的に信頼され続ける会社を目指して、グループを挙げて全力で活動を推進していきます。