ダイワボウグループのIR活動やグループ全体の経営戦略の立案・実行、そして事業会社間の連携など、グループの舵取りを担うダイワボウホールディングス 経営戦略室の室長を務める猪狩 司氏が経営戦略担当の取締役に就任しました。これまでダイワボウ情報システム(DIS)で同社のサプライチェーン全体のビジネスを経験してきた、猪狩氏に、ダイワボウホールディングス取締役 経営戦略担当 兼 経営戦略室長としての今後の役割と意気込みについて話を聞きました。

ダイワボウホールディングス
取締役 経営戦略担当 兼 経営戦略室長

猪狩 司

DISのビジネスに関わる一連の業務を経験

ダイワボウホールディングスの取締役に就任した猪狩司氏は、1994年にDISに入社し、東日本営業部長、販売推進部長、マーケティング部長、営業企画部長を歴任し、DISグループの物流、サービスおよびサポートを担うディーアイエスサービス&サポート(現ディーアイエスサービス&ソリューション)において物流・事業推進部長を務め、2020年よりダイワボウホールディングスのIR・広報室長として機関投資家やメディアに向けた情報発信に取り組みました。


そして猪狩氏のこれまでの実績と、ダイワボウホールディングスでの活躍が評価され、今年4月1日に発足した経営戦略室の初代室長となり、さらに今年6月29日に経営戦略担当の取締役に就任しました。DISグループからダイワボウホールディングスに転籍した際の感想について猪狩氏は次のように当時を振り返っています。


「DISでは仕入れから営業、マーケティング、企画、さらに物流までサプライチェーンに関わる業務に携わりました。一方ダイワボウホールディングスのIR・広報業務では機関投資家や株主、銀行および証券会社、新聞や雑誌といったメディアなど、DISのサプライチェーンには登場することのない方々と日常的にコンタクトをとるということが初めての経験だったため、当初は戸惑いの連続でした。IR面談では、機関投資家の皆さまをはじめステークホルダーから厳しい意見をいただくこともありますが、そのベースには当グループへの期待が込められています。また投資いただいている以上、リターンを求められるのは当然のことですので、当グループのIT、繊維、産業機械のそれぞれの事業で中長期のしっかりとした成長戦略を立てて、開示してくことが当社の役割だと認識して業務に取り組みました」と述べています。

IR活動に求められる情報の量と質を改善

猪狩氏がダイワボウホールディングスのIR・広報室長となり2年が経ちました。これまでの取り組みについて次のように述べています。


「ダイワボウホールディングスが本格的なIR活動を始めて実質4年ほど経過しており、この2年間で外部への情報発信について質と量の観点で改善してきました。まずコーポレートサイトを刷新して情報量を増やすとともに、決算説明資料や会社案内、ビジネスレポートなどの文書類もリニューアルして質を向上させました。また外国人投資家向けに英語版の資料も新たに作成したほか、西村社長の動画を用いた決算説明も実施しています」


さらに「株主や投資家とのコミュニケーションを丁寧に実施することがIRの基本だと考えています。現在はコロナ禍のためオンラインを中心にコミュニケーションを取っていますが、IR面談は年間約120件を実施しています」と現在も継続して取り組みを続けています。


今年4月にはIR・広報室と経営企画室を統合して経営戦略室を設置し、その室長に就任しました。経営戦略室を設置した目的について猪狩氏は「IRと経営企画は必然的に横連携が求められる業務内容です。経営企画ではグループの経営情報の収集をはじめ事業計画や資本政策、経営資源配分、M&A戦略の策定などが重点業務となりますが、いずれも効果的なIRを実現するために必要な情報となります。またIRで得た投資家の声を経営企画に連携することも非常に重要です」と説明しています。

報連相ぐせの浸透と風通しのいい企業風土づくり

経営戦略担当の取締役としての意気込みと今後の展望について猪狩氏は次のように述べています。


「長引くコロナ禍、ロシア・ウクライナや米中の問題、そしてインフレや円安といった荒れ続ける外部環境のさなかで重責を担うことになりました。時流や市場の変化を常にウォッチして先を読み、手を打ち続けることが重要です。言い換えるとステークホルダーの期待に応える企業運営を遂行することが私の役割であり、そのための戦略立案、意思決定、業務遂行、事業会社の管理・監督に従事します」


さらに「取締役は変えるべきこと、やめるべきこと、新たに始めることを見極め、意識的に舵を切るための戦略の構築力と実行力が問われると思っています。戦略構築力では会社のビジョンや方針を組織にきちんと伝達し、事業会社や部署の目標をKPIとして策定することが求められます。4月に開催した「経営方針発表会」や10月に初めて開催する「中間レビュー会議」はグループ全体に方針を浸透させるための重要な機会です。またこれらの方針に従ってKPIを達成するためPDCAをまわすことが戦略実行力となり、グループ会社の全役員が経営指標を強烈に意識した組織運営が求められます」と強調します。


最後に「虫歯になると痛いのは神経が通っているからです。だからどの歯が虫歯なのかわかり、治療ができるのです。神経がなければ痛みも感じず、悪化する虫歯にも鈍感になってしまいます。組織も同じで、神経が通った組織運営をすれば、問題点を把握でき、対処できます。基本的なことですが、報連相ぐせの浸透と風通しのいい企業風土づくりにも力を入れていきます」と締めくくりました。