パソコン普及のきっかけを作ったマイクロソフトのWindows 3.1が日本で発売されたのが1993年。その年にパソコンの頭脳をつかさどるCPUの世界的なメーカーであるインテルに入社し、ITテクノロジーの最先端でビジネスおよび社会の変化に携わり続けてきた藤木貴子氏が、ダイワボウホールディングスの社外取締役に就任しました。ダイワボウグループの成長に向けた社外取締役としての役割と、当社グループへの期待について藤木取締役に話を聞きました。

ダイワボウホールディングス
社外取締役
藤木 貴子

インテル在籍時にDISと深く関わる

藤木取締役は1993年にインテル株式会社に入社し、米国アリゾナ州でキャリアをスタートさせました。その後、同社経営企画・ビジネスオペレーショングループ統括部長、同社執行役員 グローバル営業部長などを歴任し、2019年にグーグル合同会社に移籍して執行役員 営業本部長として広告ビジネスの責任者を現在も務めています。

 

インテルに入社した理由について藤木取締役は「米国への留学時にインテルの「テクノロジーの力で世界中の人々の生活を豊かにする」というビジョンに共感して入社しました。日本のインテルの社員も日本の産業の発展に貢献したいという思いが強く、とても働きがいのある会社でした」と振り返りました。


パソコンやサーバーといったIT製品に欠かせない半導体製品を供給する世界的なメーカーで活躍してきた藤木取締役は、ダイワボウ情報システム(DIS)との関わりが深く、DISの事業について深く理解していました。こうしたICT業界での豊富な経験と実績からDISのさらなる成長への助言はもちろん、グループ全体の経営管理を精密化するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進にも藤木取締役の役割が期待されています。

事業会社の共通点は社会や産業のインフラ

社外取締役を引き受けた理由について藤木取締役は、まず「私は長年にわたりICT に関わってきましたが、ビジネスで最も大切なのは「人」だと思っています。DISおよびダイワボウホールディングスの役員をはじめ、いろいろな方々にお会いしましたが、人柄が良い方ばかりで、一緒に仕事がしたいと思わせてくれる方々だと感じたことです」と評価しています。

 

また「私はインテルでビジネスや社会への貢献を意識して仕事をしてきました。ダイワボウホールディングスには3つの事業がありますが、いずれも社会や産業を支えるインフラに携わる事業という共通点があり、社会への貢献につながる仕事をしていることも理由の一つです」と話を続けます。


そして各事業について「大和紡績はテクノロジーを駆使して機能性のある繊維素材を作り出し、我々は日用品や衣服など日々の暮らしの中でさまざまな恩恵を受けています。オーエム製作所も、先端産業の進化のために日本の技術を磨き、工作機械で世界の製造業を支えています。そしてDISは現在のビジネスや社会の発展に欠かせないICTを提供しています。これらの事業会社を擁するダイワボウホールディングスを通じて、日本の社会や産業の発展に貢献できると考えて社外取締役を引き受けました」と説明しています。

多様な人材が働きやすい環境づくり

藤木取締役は自身の役割について、ダイワボウホールディングスが次の成長を目指すにあたり、デジタルやICTの観点で貢献できると説明するとともに、当社グループの魅力である「人」にもこだわりたいと意欲を示しています。「今いる社員の方々、これから入ってくるであろう新しい人材が、それぞれの能力を発揮できる働きやすい環境づくりをお手伝いしたいと思っています」と強調します。

 

会社を形成するのは人であり、事業を成長させるのもまた人です。ICTはあくまでもツールにすぎません。事業の展開、成長に適した人材を維持、獲得するには、その人たちが能力を発揮できる働きやすい環境が求められるということです。


では能力を発揮できる働きやすい環境とはどのようなものなのか。結論から言うと「世代ごとに異なる価値観の違いや変化に、会社が制度として対応すること」だと藤木取締役は指摘しています。「例えば、人生のフェーズで自分の子供の成長に関わりたいと思う若い人が増えています。こうした要望を持つ人材は、男性の育児休暇制度が取得しづらい会社を選びません。働きやすい環境とは世代や国籍、文化によって異なります。考え方の多様性への理解や対応が必要なのです」とアドバイスしています。


企業が取り組むべき課題の一つに「ダイバーシティ&インクルージョン」というテーマがあります。これは性別や年齢、障がい、国籍などの外面の属性や、職歴や価値観、ライフスタイルなどの内面の属性に関わらずそれぞれの個を尊重し、認め合うことを意味します。男女平等や差別撤廃という問題だけではなく、多様な人材を擁することで新しい発想が生まれ、それが社会の発展に寄与するという考え方でもあるのです。


最後に藤木取締役は「あらゆる人が臆することなく意見を言える環境を作っていきたいですね。多様な人材が活躍できる環境を作れば、本来は能力があって活躍できるのに、これまで発揮できていない人が目覚めるかもしれません。また新たな優れた人材が選んでくれる会社にもなれます。新しい事業機会を得るには、多様な価値観を認めなければなりません」と意気込みを語りました。