国内メガバンクや外資系大手証券会社で国際的な金融業務に携わり、さまざまな業種・業態の企業の財務戦略を支援し、数多くの企業の成長に貢献してきた岸波みさわ氏が、社外取締役に就任しました。その専門的な知見と経験、高度なスキルを生かし、ダイワボウホールディングスでは新たな事業ポートフォリオの推進と、それに伴う成長投資において活躍が期待されています。またシングルマザーとして競争の激しい金融業界で多くの実績を挙げてきた経験を、ダイバーシティへの取り組みに生かしたいと語りました。

ダイワボウホールディングス
社外取締役
岸波 みさわ
高校生活がダイバーシティの原点
ダイワボウホールディングスの社外取締役に就任した岸波みさわ氏は兵庫県西宮市で誕生し、生後間もなく神奈川県横浜市へ移住、小学校3年生から埼玉県川口市で過ごしました。岸波氏は幼少のころからお母さまの勧めでピアノを習っていました。
当時、お母さまとピアノの恩師から芸術大学へ進学することを嘱望されていましたが、岸波氏は埼玉県内屈指の進学校である女子高を受験し、入学しました。その理由について「将来、ピアノのスキルだけでは企業に就職することは難しく、生活していくのに苦労するのではないかと考えました。そこで母を説得して公立の女子高を受験することを認めてもらい、進学しました」と当時を振り返ります。
岸波氏が入学した女子高は自由な校風で個性を発揮しやすく、生徒が自発的に行動する環境だったといいます。高校生活について「先生も生徒もお互いの個性を尊重し合い、私にとってダイバーシティの原点でした」と話します。
また高校在学中に1年間の海外留学を経験しました。留学先は米・イリノイ州で、地平線に延々と広がる広大なトウモロコシ畑や小麦畑、そして広い空など、日本では体験できない日々を過ごしました。しかし社会課題にも直面しました。それは人種差別です。
当時は現在よりも異なる人種への偏見が強く、白人のコミュニティにアジア人が入り込むことは難しかったのです。しかし岸波氏は突破口を見出します。
「 校内で一目置かれている生徒、例えばチアリーダーのメンバーやアメリカンフットボールの選手がいるグループの人と仲良くなることで、白人の生徒にも親切にしてもらえるようになりました。アメリカでの留学は本当に楽しかったです」と笑顔で話します。
ライフイベントで退職・復職を経験
大学では英語学科で学び、得意の語学力を伸ばしました。そして就職活動では、専門知識を身に付けられる業界で働きたいという思いから、日本興業銀行(現在のみずほフィナンシャルグループ)に入行し、語学力が評価されて国際取引部門に配属されました。岸波氏が就職した当時はバブル経済崩壊後の就職氷河期で、特に金融機関に女性が就職し、最前線で活躍することは非常に難しく稀でした。
しかし社内結婚を期に、惜しまれながら退職することになりました。その後、シングルマザーとなった岸波氏は金融業界での実績が評価され、ゴールドマン・サックス証券に入社します。当時、シングルマザーの再就職を受け入れてくれる日本企業は多くはありませんでした。
当時の職場について「社内でも忙しい部署に配属されましたが、一人娘が小さかったため残業や休日出勤を控えざるを得ませんでした。しかし上司の理解を得ることができたおかげで、仕事に打ち込むことができました」と話します。その一方で「毎日、同僚よりも早く帰宅するため、私に批判的な人もいました」という苦労もありました。
企業経営に携わる新たな経験を積みたい
ゴールドマン・サックス証券で活躍している最中、お母さまが入院することになり退職を余儀なくされました。その理由は「私が仕事をしている間、娘を見てくれる支援制度がなく、母の看病もあり仕事を辞めざるを得ませんでした」ということでした。
その後、ゴールドマン・サックス証券に復職し、また子どもが中学生になったことを期に、残業や休日出勤を控えることなく仕事に打ち込みました。そして企業の財務戦略や金融マーケットからの資金調達など、企業財務および経済のさまざまな経験を積み重ね、高いスキルを習得しました。
ところがお父さまが病気を患い、再びゴールドマン・サックス証券を退社しなければならなくなりました。退職後3年間、お父さまの看病と育児に専念し、UBS証券に入社して金融業界に復帰しました。
そして2022年6月に株式会社芝浦電子の社外取締役に就任しました。その理由について「それまでは投資銀行の立場で企業の財務戦略を支援してきましたが、その経験を生かして企業経営に携わる新たな経験を積みたいと思いました」と説明します。
そして2024 年6月、ダイワボウホールディングスの社外取締役に就任しました。社外取締役を引き受けた理由について「ダイワボウホールディングスでは繊維事業を独立させるなど事業ポートフォリオを見直しているタイミングであり、今後も成長が期待できるIT市場において大きなビジネスを展開するダイワボウ情報システムの新たな成長戦略に関わることができることに魅力を感じました」と話します。
最後にダイワボウグループの社員に向けて「要望があればダイバーシティへの取り組みについても、ほかの女性の取締役と協力しながら貢献したいと考えています。女性は結婚、出産、介護などのライフイベントで、仕事に大きな影響を受けます。女性社員がキャリアやライフイベントで困ったときに、もし職場に相談相手がいない場合は、ぜひお気軽に私宛にご連絡ください。また、女性社員の育て方がわからないという男性の方も、喜んでご相談に乗らせていただきます」と語りかけました。
DAIWABO HOLDINGS Digest no.73(2024年9月発行)
- 『2030 VISION』の実現を目指して新たなグループ体制で挑戦する|ダイワボウホールディングス 代表取締役社長 西村幸浩
- 中期経営計画 ITインフラ流通事業|ダイワボウ情報システム 経営企画部長 竹林寛臣
- 中期経営計画 産業機械事業 | オーエム製作所 取締役 兼 経営企画管理部長 今井隆二
- グループESG活動目標「Daiwabo Sustainable Action2024」| ESG活動
- 社会とビジネス両面での信頼を高めるための「人権」への取り組み| ESG活動
- 企業の価値は売上や利益だけではない みんなが幸せになれる会社と仕事を目指す | ダイワボウホールディングス 常務取締役 山下隆生
- 国際金融の専門的な知見と高度なスキルを新たな事業ポートフォリオの推進に役立てたい | ダイワボウホールディングス 社外取締役 岸波みさわ