オーエム製作所グループ(以下、OMグループ)では『2030 VISION』に向けて、中期経営計画で掲げた事業戦略を推進しています。国内外で需要が高まっている工作機械部門で積極的な設備投資を行って事業を拡大するとともに、人材不足に伴う自動化・省力化ニーズの高まりに呼応した自動機械部門の成長を強化し、目標達成を目指します。オーエム製作所の取締役兼経営企画管理部長を務める今井氏が意気込みを語りました。

オーエム製作所
取締役 兼 経営企画管理部長
国内市場でトップシェアを維持する中大型立旋盤
OMグループでは『2030 VISION』の実現に向けた中期経営計画で「工作機械部門の拡大」と「自動機械部門への取り組み強化」、「人員不足対策・人材教育の推進」、そして「エンゲージメントの向上」の4つの重点戦略に取り組んでいます。
工作機械部門においてはコロナ禍により観光や出張などの移動制限の影響を受けていた航空機業界の受注が回復していること、また同様の理由から設備投資を凍結していた鉄道業界が設備投資を再開する動きが見られることから、需要が増していくと見ています。さらに海外市場ではエネルギー業界やEV(電気自動車)関連の半導体業界の成長が見込まれており、それに伴う需要も期待できます。
こうした事業環境に対して工作機械部門は「老朽化設備の更新」と「在庫販売戦略の強化」、「サービス体制の強化」、そして「海外市場の拡大」という4つの取り組みを推進することで成長を目指していきます。
新潟県・長岡工場のM5 工場を増設中ですが、特に海外からの工作機械の短納期要求に対応すべく、戦略的に生産・保管する在庫販売戦略を強化して、受注に円滑に対応することで売上を伸ばしていきます。
オーエム製作所で2024 年6月より新たに取締役に着任し、経営企画管理部長を務める今井氏は「国内工作機械市場における1メートルサイズ以上の中大型立旋盤において、当社はトップシェアを維持しています。このシェアを維持しながら、需要が回復している航空機業界や設備投資が再開される鉄道業界での受注機会をとらえることで成長を目指していきます。さらにエネルギー業界では風力発電など再生可能エネルギーを含めた多様化が進んでいますが、いずれもタービン(発電機)は共通の設備であり需要の伸びが期待できるため、これに関わる当社に引き続きビジネスチャンスがあると考えています」と説明しています。
自動化ニーズの取り込み
自動機械部門のオーエム機械では「戦略的受注への取り組み」と「中国包装機メーカーとの協業による中国生産の推進」、そして「重点業界への取り組み」の3つの施策を進めています。今井氏は「業界を問わず人材不足が深刻化しているという背景があり、自動化や省力化のニーズは今後も増え続けます。当社の自動機械をうまく売り込んでいくことで事業を伸ばせると考えています」と強調しています。
その取り組みとして、顧客への積極的な提案営業とスピードを伴った営業活動を図ります。さらに、中国包装機メーカーと協業して中国での生産を推進することで、日本品質を維持しながらコスト削減と納期短縮を図り、中国でのアフターサービス体制を強化するなどして中国市場での競争力を高めていきます。
食品・製菓業界と医薬品業界を重点業界に位置づけ、食品・製菓業界向けに日本食品機械工業会主催の展示会「FOOMA JAPAN 2024」への出展を通じて主力製品のカートナー(商品を自動的に箱詰めする装置)と自動供給装置(リニア搬送システム)の技術力をアピールしました。その効果により受注拡大に取り組みます。医薬品業界向けも業界の展示会「インターフェックス」や中国での展示会「CIPM」を通して、販売を促進して売上を伸ばしていきます。
サービス体制の強化で安定的な収益を拡大
オーエム製作所では、協力企業の新規開拓によってオーバーホール需要の取り込みを拡大し、さらに若手社員への製品知識向上に向けた教育を実施してサービス対応人材の拡充をはじめたとしたサービス体制強化に取り組んでいきます。
海外市場への取り組みについてはインド市場へ進出する準備を進めています。今井氏は「インドは人口が多く経済成長を続けており、市場が拡大していくと見ています。現在、同国において日本製の立旋盤の需要があるのか、メンテナンスの人材確保および体制が構築できるのかなど、進出に向けた調査を進めています」と説明しています。
成長を支える人材への取り組みを充実していく
ここまで紹介してきたOMグループのビジネス成長を加速していくには、施策を実行する人員の確保も重要となります。特に製造業では人材不足が深刻化しており、新たな人材の採用をはじめ、既存の人材の定着やスキルアップなどへの取り組みが重要になっています。
OMグループでは人材不足対策および人材教育の推進を重点戦略に位置付けており、それぞれテーマを絞って取り組んでいます。例えば長岡工場でのワークライフバランスの啓蒙活動を進めており、外注先の開拓によって業務負担の軽減を図るほか、エンゲージメント調査の結果を活用して労働環境の改善を図っています。
新規採用への取り組みでは新潟県のサッカーJリーグ「アルビレックス新潟」や島根県松江市に本拠を置くバスケットボールBリーグ「島根スサノオマジック」とのスポンサー契約や、地域でのテレビCM 放送を通じて企業認知度向上を図っています。
グループ経営について今井氏は「外部への情報開示や発信とともに、社内への情報共有も重視しています。これまで中期経営計画は社内幹部と情報共有していましたが、今春から全社へ説明会を行うようにしました。そうすることでグループ全体の中で自分の仕事がどのような役割を担っているのかがわかり、やりがいにつながると考えています。最近ではグループ経営への関心が高まっており、ダイワボウホールディングスの取り組みに当社がどのように関わっているか知りたいという声が出てきていますので、こうした意識の変化を当社グループ内につなげたい」と、グループ経営への展望を語りました。

自動機械部門では食品・製菓業界と医薬品業界を重点業界に位置づけてビジネスを伸ばしていきます。写真は日本食品機械工業会主催の展示会「FOOMA JAPAN 2024」でのオーエム機械の展示ブースです。展示ブースではVCRC75 連続式横型カートニングマシンと自動供給装置(リニア搬送システム)をアピールしました。
DAIWABO HOLDINGS Digest no.73(2024年9月発行)
- 『2030 VISION』の実現を目指して新たなグループ体制で挑戦する|ダイワボウホールディングス 代表取締役社長 西村幸浩
- 中期経営計画 ITインフラ流通事業|ダイワボウ情報システム 経営企画部長 竹林寛臣
- 中期経営計画 産業機械事業 | オーエム製作所 取締役 兼 経営企画管理部長 今井隆二
- グループESG活動目標「Daiwabo Sustainable Action2024」| ESG活動
- 社会とビジネス両面での信頼を高めるための「人権」への取り組み| ESG活動
- 企業の価値は売上や利益だけではない みんなが幸せになれる会社と仕事を目指す | ダイワボウホールディングス 常務取締役 山下隆生
- 国際金融の専門的な知見と高度なスキルを新たな事業ポートフォリオの推進に役立てたい | ダイワボウホールディングス 社外取締役 岸波みさわ