2030年に2013年度比国内CO2排出量30%削減
2050年までにカーボンニュートラルを達成

気候変動は世界的な社会課題であり、繊維業界に限らず地球規模で脱炭素社会の実現へ向けての機運が高まっています。2022年4月には改正温対法(改正地球温暖化対策推進法)が施行され、企業に求められる取り組みが高度化し、デジタル化により企業から報告された排出量情報を政府が公表するまでの期間が短縮されるなど、ESG投資の活性化にもつながっています。

 

カーボンニュートラルに向けた三つの基本方針

取引先においても脱炭素への関心が高まっており、取引条件としての要請が増えているため、脱炭素への未対応は取引の機会損失につながる可能性があります。こうした社会情勢の動向を踏まえて、当社では生産活動における省エネルギー、省資源、廃棄物の削減を基本方針としてカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進しています。


また業界団体の日本化学繊維協会では資源循環型繊維の標準化について、リサイクル繊維におけるリサイクル原料比率やバイオマス化繊におけるバイオ成分の混率表示など、環境配慮型繊維の環境性能の見える化や、環境性能のより高いものが市場で評価される仕組みづくりについても検討を始めています。


当社においても環境志向の市場ニーズを受けて、環境素材やカーボンオフセット商品への置換えを進めています。例えば生分解性繊維(環境包材、コスメなど)、回収PETボトルや回収原料を製品化したリサイクル繊維製品(衣料、産業資材など)、植物由来原料を使用した環境に優しいバイオマス繊維(生活資材、フィルターなど)など、リサイクル原料および植物由来原料などへの移行による環境配慮型製品の開発に積極的に取り組んでおり、社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献しています。

 

Scope1・2・3への取り組みを加速

世界的に地球温暖化防止への動きが加速する中、大和紡績グループは2050年までにカーボンニュートラルを目指すとともに、通過点の2030年までに2013年度比国内CO2排出量30%削減(Scope1・同2)」を目標に削減活動に取り組んでいます。


Scope1は重油・ガスなど燃料消費や自家焼却による直接排出であり、Scope2は電気・熱などエネルギー消費による間接排出に仕分けられます。大和紡績ではScope1が70%以上を占めており、燃料転換や自家焼却の廃止に向けた取り組みの強化が主な課題となっています。


Scope2についてはCO2排出係数(1kWh の電気を消費する際の排出量)の低い電力選択や、供給電力の再生可能エネルギー転換などによるゼロエミッション化、革新技術を活用したスマートファクトリー化による一層の省エネなどが主な課題です。


生産活動においては省エネルギー性能に優れた高効率設備への更新や蒸気・圧空の配管からの損失低減、エネルギー回収・循環利用などハード面での対策、そして歩留・生産性の向上による地道な省エネルギー活動が基本となります。


大和紡績では環境監査や環境委員会の開催を通じてエネルギーの有効活用と廃棄物の低減への活動を推進しています。具体的には各種省エネ対策(新型蒸発装置の導入、ボイラー・コンプレッサー・高圧ポンプ等の台数制限、ボイラードレンの回収利用、LED照明への転換)、重油ボイラーのLNG・LPG転換(使用燃料の低炭素化)、事務所棟への太陽光発電の導入(再生可能エネルギ−へのシフト)、産業廃棄物の削減(内部リサイクルの促進、廃プラ・廃油の減容化、分別回収の徹底、有価販売促進:Scope3)、製品輸送のモーダルシフト(Scope3)などが挙げられます。今後も環境汚染防止や地球温暖化防止を目的として、環境リスクの低減と意識の醸成を図っていきます。