3年ぶりにリアルで開催 テーマはITを通じた地方創生

元ラグビー日本代表キャプテンと元フジテレビアナウンサーが登壇

ダイワボウ情報システム(DIS)によるICTの総合イベント「DIS わぁるど」が3年ぶりにリアルで開催されました。リアル会場となったのは新潟の朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで、2022年11月16日と17日の2日間にわたって2,689名の来場者を迎えました。また2022年11月21日から30日までセミナーのオンデマンド配信も行われ、リアルとオンラインのハイブリッドで実施されました。

 

「DIS わぁるど in 越後にいがた with Digital Days」では「デジタル変革で狙う、まち、ひと、しごと再活性。」をテーマに掲げ、リアル会場ではDXの推進および地方創生にも貢献する最新のITソリューションが展示されたほか、2日間で6枠の講演やパネルディスカッションが実施されました。


初日の特別講演では元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏と、元フジテレビアナウンサーの田中大貴氏によるトークセッションが行われました。「“変革の時代に求められる大義とは?”この時代に大切な組織づくりとリーダーシップ」と題して、ラグビーとビジネスとの共通点を踏まえながら、リーダーとしての意識や姿勢について両氏が意見を交わしました。


廣瀬氏はラグビー日本代表のリーダーとして意識していたポイントについて「外国人選手と日本人選手が混在した多様性のあるチームだったため、コミュニケーションを重視していました」と語り、自分の意見をチームメンバーに伝えるのではなく、チームメンバーの意見を聞くことを心がけたと話しました。


そして「メディア界には雑談の中にクリエイティブが隠されているという言葉がありますが、雑談の重要性についてはいかがでしょうか」という田中氏の問いに対して、「雑談は大きなポイントですね。コロナ禍で対面のやり取りが難しい中でも、オンラインミーティングの前にLINEのグループなどで雑談をして、そこでの話題をオンラインミーティングの会話の中で触れるといった工夫をしていました」と答えました。


トークセッションの最後に参加者から「雑談を無駄だと感じる人もいますが、どのように声掛けをすると良いでしょうか」という質問に対して、廣瀬氏は「一番簡単な雑談は日常的な挨拶だと思っています。見てもらえているという感覚や安心感が大切で、相手が興味や関心のある範囲内で満遍なく声掛けをしていくことを意識していました」と答えました。

 

中小企業におけるDXの現状と中小企業庁による支援策

2日目の特別講演には中小企業庁 経営支援部 経営支援課 課長補佐 村山 香氏が登壇し、「中小企業がデジタル化に取り組む本質と今後の政策について」と題して中小企業のデジタル化の現状や中小企業庁の支援策、今後の政策の方向性などについて講演しました。


講演の中で村山氏は三つのトピックスに触れました。一つ目は中小企業がデジタル化を進めていく意義、二つ目はデジタル化が産業構造に与える影響、そして三つ目はDXに取り組む上での政府からの支援策でした。


まず中小企業がデジタル化を進める意義について村山氏はデータを示しながら「デジタル化を推進している事業者の方が、業績によりプラスの影響があります。また労働生産性も高い状態にあります」と解説しました。さらにデジタル化に取り組むことで業務が効率化されて省人化するなど、人材確保にも良い影響が出ている事例もあると説明を加えました。


続いてデジタル化が産業構造に与える影響について村山氏は「デジタル産業」という枠組みを示し、「2022年の世界時価総額ランキングでは1989年から時価総額が10倍以上に増えており、上位がデジタル企業に入れ替わっています。デジタルで桁違いに成長する企業がいる一方で、この成長領域に日本企業は進出できておらず、新たな市場の開拓・獲得による収益向上を実現するためにも、DX推進が必要です」と指摘しました。


村山氏は企業のDXを進めるためのさまざまな支援策について、デジタル化診断事業「みらデジ」やIT導入補助金などを紹介し、「これらの支援策を活用いただきながら、DX化、デジタル化への取り組みを進めていただきたい」と締めくくりました。

 

リアル会場の新潟に本拠を置くスノーピークのグループ企業が登壇

特別セッションでは2日間にわたり二つのパネルディスカッションが開催されました。初日は「新たなビジネスの創造へ!地域のIT企業がデジタルで繋ぐ『まち、ひと、しごと』」と題して、新潟県の三条市に本拠を置くアウトドア総合メーカーの株式会社スノーピークのグループ企業で、システム開発や研修などで組織や地方の活性化を支援する株式会社スノーピークビジネスソリューションズ執行役員の坂田真也氏と、スノーピークと連携したコワーキングスペース「osoto Hitoyoshi」(くまりばコワーキングスペース)を運営する一般社団法人ドットリバーの代表理事を務める株式会社システムフォレスト 代表取締役 富山孝治氏をパネリストに迎え、一般社団法人日本デジタルトランスフォーメーション推進協会 代表理事 森戸裕一氏の司会・進行でパネルディスカッションが行われました。


坂田氏は焚き火を通じたコミュニケーションや、それによる製品提案の効果などについて「当社ではシステムを開発・提案するビジネスを行いつつ、キャンプ場などでミーティングをするといった、自然のある環境で働く『キャンピングオフィス』を提案しています」と話しました。また富山氏はコワーキングスペース「osoto Hitoyoshi」について説明し、「ワーケーションによる利用者が非常に増えています」と話を続けました。


二人の話の締めくくりとして森戸氏は「地域のIT企業が地域住民の方々のウェルビーイングをデジタル活用で創造することで、地域にとってなくてはならない存在になります。まずは全体の2割の時間を生み出すためのITによる業務効率化を目指して、その2割の時間で地域全体の幸福度がアップするようなビジネスモデルの創造につなげていきたいと思います」と話しました。

 

新潟へのUターン移住での活躍と新潟県燕市の施策を紹介

二つ目のパネルディスカッションは「アフターコロナにおける地域DX戦略〜ローカルテレワークとスマート行政の2軸で考える地方発展〜」と題して、新潟県の燕市長を務める鈴木 力氏と、新潟県出身でフラー株式会社の代表取締役会長を務める渋谷修太氏、そして総務省「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」座長や「自治体システム等標準化検討会」座長、デジタル庁オープンデータ伝道師、仙台市・三島市・江戸川区などのアドバイザーなども務めている武蔵大学 社会学部 教授 庄司昌彦氏を迎え、大阪市役所で公務員を務めた経験もある株式会社フィラメント 代表取締役 角 勝氏の司会・進行で行われました。


渋谷氏はコロナ禍を契機に2020年に故郷がある新潟県にUターン移住したと話し、「新潟に戻ってきた時に最初に感じたのはデジタル化の遅れでした。そこで当社では地方のデジタル戦略に力を入れたい企業と、アプリを中心としたデジタル化を推進しています」と自社の事業について説明しました。


ものづくりの町として知られる燕市の市長を務める鈴木氏は燕市の魅力をアピールした後で、コロナ禍から早期に回復させた独自の取り組み「フェニックス11+」や、アフターコロナを見据えたクラウドシステムの導入事例、イノベーション拠点としてのシェアオフィスの設置などを紹介しました。


リモートで参加した庄司氏は地域のDXに必要な要素について「認識やインフラ、端末などに加えて、人に優しくデジタルを使うことが大切で、文字を拡大したり、読み上げたりするなど、デジタルの恩恵を皆が受けられるようにするべきです」と説明しました。


モデレーターを務めた角氏は「コロナ禍を通して浮き彫りになったのは、人に寄り添うことの大切さです。これまで物理的でしかなかった寄り添いが、デジタルを通しても行えるようになりました」と締めくくりました。

 

中小企業が2023年に始めるべき「デジタル変革」をアドバイス

ITベンターによる特別セッションも開催されました。初日は日本マイクロソフトとアドビ、マネーフォワード、そしてダイワボウ情報システムの4 社が登壇して「中小企業が2023年に始めるべき『デジタル変革』」について語り合いました。


まず日本マイクロソフト株式会社の鈴木 哉氏は「DXの始めの一歩としてMicrosoft 365は非常に優れたツールです。最新のOfficeアプリケーションが使える上に、ファイル共有が行えるSharePoint Onlineなどと組み合わせて自社を強化するデータ活用も行えます」とアピールしました。

 

続いてアドビ株式会社の岩松健史氏は「ドキュメントの電子化」をテーマに「Adobe Acrobat」と「Adobe Sign」の組み合わせを紹介しながら「紙を単純にPDF 化するだけではなく、電子サインソリューションのAdobe Signを活用することで、契約行為にまつわる社内外の業務プロセスを大きく変革できます」と活用のメリットを説明しました。


株式会社マネーフォワードの栗本賢人氏は「2023年10月からスタートするインボイス制度導入後も紙での運用は可能ですが、請求書の保管義務が送付側にも課されるようになるため、紙の量は2倍に増加します。こうした問題の解決と経理業務の人件費削減に、マネーフォワードクラウドの活用が有効です」とアピールしました。


最後にダイワボウ情報システム株式会社の塚本小都氏が「社会の変化に合わせてコストと収益のバランスを取る上でデジタル変革は非常に大きな力となります」と締めくくりました。

 

ストレージインフラの簡素化とコスト削減を同時に実現

革新的なストレージソリューションをリードするStorONE Inc.のCEO 兼 共同創設者であるギャル・ネオール氏は、ストレージインフラの簡素化とコスト削減を同時に実現するストレージソリューションを紹介しました。ネオール氏はリアルタイムインラインデータ圧縮を開発した最初の企業であるStorWizeのCEO 兼 創設者としても活躍した経験があり、StorWizeは後にIBMに買収されています。また革新的なグローバル教育プログラムであるTalmudIsraeliの会長も務めるコミュニティ活動家でもあります。

 

ネオール氏はグローバルトレンドとして「ランサムウェア」「ソフトウェア」「低コスト」の三つを挙げ、StorONEが提供するストレージエンジンはこれらのトレンドの全てを網羅しており、強固なセキュリティ対策に加えてランサムウェアからのデータ復元にも対応していること、革新的なストレージアーキテクチャーとして「Virtual Storage Containers」(VSC)を採用し、多様なストレージメディア上で仮想マシンを稼働できること、そして本来のハードウェア性能の90%を引き出して、ROIを追求した運用を実現していることなどをアピールしました。


そして販売パートナーに向けて「当社のストレージプラットフォーム「S1 Enterprise Storage Platform」を提案することで、より多くの収益機会を得ることが可能になります。三つのバラバラな製品ではなく、一つの製品によってお客さまに最高の結果を提供します」と、同社のストレージソリューションを提案するメリットを強調しました。