ダイワボウホールディングス
代表取締役社長
西村 幸浩

2020年4月、ダイワボウホールディングスはグループ経営体制を刷新しました。代表取締役社長に就任した西村幸浩社長が、新たな体制のもとで目指すべきグループの姿と、中期経営計画「イノベーション21」第三次計画の最終年度となる2020年度(21年3月期)の方針について語ります。

 

―4月からの新体制について、目的や要旨を教えてください。

 

2020年代の新たな成長戦略に向けて、より効率的で機動的な経営体制を構築することが、この改革の目的です。執行役員制度および当社と子会社との取締役兼任の廃止とあわせて、繊維事業の中間持株会社であった大和紡績を事業子会社との合併により事業運営を主体とする組織に変更しました。


これにより、各社の責任と権限が一段と明確になり、ダイワボウ情報システム、大和紡績、オーエム製作所の3社がそれぞれの事業の中核として迅速な戦略決定と強力な業務執行の推進を担う統一された管理体制となります。そして、純粋持株会社であるダイワボウホールディングスは大局的見地からグループ全体を俯瞰して「グループ戦略の立案」「グループ経営資源の最適配分」「グループ業務執行の監督」に特化し、変化の激しい事業環境に的確に対応していくために経営の意思決定の迅速化と監督機能の強化を図ります。

―2019年度(20年3月期)は、過去最高の連結業績となりました。

 

当社グループは創業から長い歴史を有しますが、2009年7月にダイワボウホールディングスが発足してからは、前期で10周年を迎えました。その節目となった事業年度において、連結売上高9,440億円、連結営業利益328億円といずれも過去最高業績を大きく更新できたことは、グループとしての成果の表れと考えています。売上高の約9割を占めるITインフラ流通事業で、Windows7サポート終了に伴うPC更新需要を的確に捉えたことが好業績の主な要因ですが、これは長年の事業活動の積み重ねによって業界内でのプレゼンスを高め、市場動向への対応力を磨いてきた結果です。

 

-新型コロナウイルスが社会全体に深刻な影響を与えていますが、事業環境についてどのように捉えていますか。

 

今期も第1四半期(4~6月)まで終えて、やはり新型コロナウイルスによる事業環境の変化が顕著になってきました。企業の設備投資の停滞や、外出自粛による消費低迷など、各事業においてマイナスの影響が避けられない半面、テレワークの普及や生活様式の変化など事業機会となるパラダイムシフトが加速していることも事実です。事態収束までの道筋は依然として不透明な状況ですが、引き続きグループ全体で感染症対策に取り組むことはもちろん、新型コロナ禍での社会構造の変化をいち早く察知して、各事業の成長戦略を描いていかなければなりません。

 

―今期は中期経営計画の最終年度ですが、グループとしての方針を教えてください。

 

中期経営計画「イノベーション21」第三次計画については、初年度に続き、2年目も業績目標を大幅に達成することができました。最終年度である今期は、総仕上げとしての計画達成はもとより、新体制のもとで当社グループの2020年代をデザインする1年になります。前期までのITインフラ流通事業におけるPC更新需要の反動減を想定した上で、各事業会社が一丸となってグループ全体の新たな成長軌道の構築を目指す必要があります。そのために今期は次の3つのグループ方針を掲げました。


まずは「リーディングカンパニーとしてさらなる高みへの挑戦」です。それぞれの事業領域で発揮している各事業の“強み”をさらに伸ばしていくとともに、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した企業活動を充実させます。第一段階としてESG推進委員会を新設し、あらためてグループ一体となった取り組みに着手しました。社会を力強く牽引するパイオニアであり続けることを目指し、未踏の領域にも果敢にチャレンジします。


次に「持続的発展に向けた成長ドライバーの創出」です。当社グループは、時代に合わせて変化し続けたことで競争環境を乗り越えてきました。そこで培った経験と組織力を生かして、“ニューノーマル”時代に向けた移り変わりに機敏に反応し、新たなビジネスモデルや商品・サービスの開発に取り組むことで、将来にわたり発展を遂げるための原動力を生み出します。


最後に「たゆまぬ変革による高効率経営の追求」です。これは従来の体制や考え方にとらわれずに、スピーディな変革を実行していくというメッセージです。経営基盤の強化と企業価値の向上により、ダイワボウホールディングスはすべてのステークホルダーの皆様にとって魅力のある会社を目指します。


これらの方針のもと、当社グループは次の時代に向けて、幅広い社会貢献とさらなる業績拡大を実現するためのストーリーを描き、新たな発想で事業の可能性を広げる成長戦略を実行していきます。