新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言などをきっかけに、あらためてその重要性が明確になったのが社会インフラを支える物流機能です。ダイワボウ情報システム(DIS)も子会社のディーアイエスサービス&サポート(Dsas)を通じて物流機能の強化を進めています。2020年5月には新たな物流拠点として関西センター(兵庫県神戸市)が本格稼働し、2016年6月から稼働している関東中央センター(埼玉県吉見町)と合わせて、東西に2つのメガセンターを擁する体制が整いました。

関西センター
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関西センター
関東中央センター
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関東中央センター

新センターにAutoStoreを追加導入

関西センターは、大型商品をメインに取り扱っていた茨木センターと、バランスよく在庫を揃えていた神戸センターを集約して誕生しました。倉庫面積は約1万坪で、DISにおける総出荷量の約25%にあたる年間約1,200万個の商品を取り扱う西日本最大規模の物流センターです。関西センターでは、規模だけではなく設備もさらに充実し、関東中央センターで既に稼働しているロボットストレージシステム「AutoStore」を追加導入しました。小物用自動倉庫として、15,600個のビン(専用コンテナ)に密集収納された商品を30台のロボットが自動で搬送します。また出荷頻度に応じてビンの配置も自動で最適化されるなど小型商品の入出荷・保管・荷役作業の効率化に威力を発揮します。万が一1台のロボットが故障しても、他のロボットがそれを補完することで、システム全体を止めることなく稼働できるなどトラブルに強いのも特長です。

最適ロケーションを追求する

関西センターの稼働により、DISグループの物流拠点は関東中央センターと関西センターの東西メガセンター体制が整い、既存の仙台センター(宮城県富谷市)、中部センター(愛知県小牧市)、九州センター(福岡県筑紫野市)との連携が一段と強化されました。Dsasの太田光俊常務取締役は、これまで進めてきたセンター集約について「在庫のロケーション管理で利点が大きい」と説明します。1,200社ものメーカーから商品を調達するDISにとって、どのセンターに何をどれだけストックするかが、営業戦略上の重要なポイントです。最適なロケーションに在庫を配置することで、顧客へ発送する前に商品を組み合わせるためのセンター間移動を最低限に抑え、まとめ出荷がしやすくなるメリットが生まれます。東西のメガセンターを中心に各地のセンターが有機的に連携することで、これまで以上に効率的な保管と物流費を抑えた入出荷が可能になると同時に、環境負荷の低減にも貢献できます。

さらなる効率化を目指して

太田常務は「協業パートナーである各運送業者も“働き方改革”に取り組み、指定時間内で作業を終える必要があるため、今後も物流業務の効率化が重要になる」と話します。例えば、入出荷時のスタッフの歩行距離を減らす無人搬送車の導入やコンベアの拡張なども課題の一つです。またIoTやAIなどの活用によって人手不足に対応する機械化・自動化を進めることで、より高品質で効率性を備えた庫内環境を目指します。さらには、作業人員の新規採用が難しくなるなど人材確保面でのリスクの高まりや、感染症対策のためにも、機械化による生産性向上は不可欠です。Dsasは「物流センターを止めない」という当たり前の品質を提供する使命を担っています。

ますます重要になる物流機能

新型コロナ禍で活用が広がるテレワークに必要なノートPCや、ヘッドセット、モニターなどの周辺機器の在庫と出荷、教育ICT環境の実現に向けた「GIGAスクール構想」に伴う学習用端末の大規模な在庫確保およびキッティング(出荷前の端末設定作業)など、昨今の需要の高まりに対して物流センターが果たす役割は大きなものになっています。特に「GIGAスクール構想」への対応では、関東中央センター併設の関東キッティングセンターを活用した納品前の準備が着々と進められています。「物流サービスに加えて技術サービスも提供できる優位性を生かし、DISグループの事業拡大に貢献する」と力強く話す太田常務。DISグループの“強さ”を縁の下で支えるDsasの物流機能が、今後ますます重要になってくるのは間違いありません。